【PS2】夏空のモノローグ レビュー
発売元 | アイディアファクトリー (オフィシャルサイト) |
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発売日 | 2010-07-29 |
価格 | 7140円(税込) |
レーティング | 【B】12才以上対象 (CERO について) |
ショップ/リンク | Amazon |
タギングトップ3 | |
タイトル概要 |
■ ジャンル:夏色タイムループAVG ■ プレイ人数:1人 ■ 限定版:9,240円 |
オリジナリティー | グラフィックス | サウンド | 熱中度 | 満足感 | 快適さ | (難易度) |
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2pt | 3pt | 3pt | 2pt | 3pt | 3pt | 1pt |
53pt
GOOD!
一日ループの青春物語。
謎の建造物”ツリー”によって、7月29日が何回も繰り返される世界に放り込まれた科学部の若者達。でも、楽しい。明日には無くなってしまうはずだった、科学部の仲間達といつまでも楽しい時を過ごしていく。
物語は、科学部のみんながツリーの謎を追い、このループから脱出しようとする。しかし主人公はこの瞬間に一種の癒やし、拠り所を感じており、このままでいたいと強く願う。
ツリーの謎とは? ループの原因は? ループから脱出し、不安な明日を踏み出す時、何が主人公を支えているのか。派手さこそ無いものの、丁寧に作られた物語が描かれています。
前半のコメディタッチから、後半の静かだけど美しい展開へと繋がりますが。前半のコメディが面白く。仲間との馬鹿騒ぎの中に垣間見る友情が見ていて微笑ましい、かつ熱く、仲間って良いなあと思わせてくれました。特に、部長さんと先生が良い味を出していました。
周回を重ねる事により、シナリオが加筆されて行き。物語の謎へと徐々に向かって行きく作りは秀逸でした。
BAD/REQUEST
静かで美しい反面、あまり盛り上がりはありません。言い方は悪いですが、地味に進んで地味に終わる感じです。
それによって引き起こされるのが、シナリオのキャラ別ルートに入ってからの中だるみと退屈さです。
キャラ別ルートに入ると、そのキャラとの絡みが多くなる反面、部員達同士の掛け合いが少なくなって行きます。物語の謎を追う形で、盛り上がりはありますが、前半部分にあったパワーは薄れてしまいます。
物語自体も、ストーリー重視のゲームを多数やってきた人には新鮮味は無いと思います。ありがちと言いますか、似た内容のゲームは沢山あります。
主人公の名前を誰も呼んでくれず、主人公の声もありません。物語重視の作品なのですから、完全フルボイスでも良かったはずです。
COMMENT
全体的に、静かで美しいゲームでした。丁寧で雰囲気の良い良作です。ただ、丁寧過ぎて何か尖った要素があまり無かったのが残念でした。
掴みは凄く良かったのですが、後半になって行くほど面白さが落ちていき、最終的には地味に終わってしまったのが残念でした。
ただ、これは私がこのようなゲームを多数経験して来たからであって。それらと比べてしまったのが大きいと思われます。なので、点数は低めですが、実際はこれよりももっと良い内容であると考えて下さい。
恋愛の要素は薄いので、割と万人受けすると思います。地味な印象はありますが、丁寧に作られているので、やってみても損は無いと思います。
GOOD!
■感動モノのストーリー
この作品は「周回プレイ」をすることを前提に作られており、全キャラクターを攻略しないとストーリーの全貌は見えてきません。しかし、全員を攻略し終えた後に見られる物語の真相は、それまでの長いプレイ時間にも納得の感動を与えてくれます。
エンディングもそうですが、全体を通して、ストーリーは涙を誘うエピソードが多かったように思います。日常を描いた部分はもちろん明るいのですが、シリアス部分も多いです。感動する恋愛物語をお望みの方に是非おすすめです。
■バリエーション豊かなLRCシステム
このゲームには、各キャラクターの個別シナリオに入る前に「LRCシステム」というシナリオ選択機能があります。好きなシナリオを選択して楽しめる機能で、周回プレイ毎にシナリオが追加されていくので周回プレイも飽きさせない作りになっています。内容も繰り返される7月29日の謎にまじめに向き合おうとするものから、夏休みらしく遊びに行ったりするものまでバリエーション豊か。科学部メンバーのほのぼのとした掛け合いが、シリアス展開の多い物語の中で効果的に表現されています。
BAD/REQUEST
■恋愛小説というよりライトノベル
悪い点、というほどのことではないですが、全体的にみると乙女ゲームにしては恋愛が薄味のように感じました。感覚としては、恋愛小説というよりライトノベルを読んでいる感じです。恋愛はあるのだけれどそれだけがメインではない、といった感じ。
もちろん、そういった物語の方が好きだという方にはおすすめです。しかし、他の乙女ゲームにあるようなコテコテの恋愛を期待すると、この作品の薄味な恋愛展開に「あれ?」と感じてしまうかもしれません。
■テキスト表示がちょっと古い
折角「VNRシステム」という特殊なイラスト表示方法を導入しているというのに、テキストの大半は背景の前面にテキストを全体的に表示する、という昔ながらのアドベンチャー形式のもので、少し古臭いです。テキストに隠れてキャラの立ち絵が見えづらいのは残念。できることならもっと「VNRシステム」部分を増やしてほしかったです。
■おまけシナリオに声が出ない
これは私個人の感情です。この作品にはおまけシナリオとして「ツリーピース」という物語があるのですが、もったいないことにそれは声がついていないのです。ゲーム本編がフルボイスなだけに大変おしい。特にこのツリーピースというシナリオは物語の全貌を知るのにとても重要な役割を果たしており、できれば臨場感ある声付きで聞きたかったのですが(苦笑)…
COMMENT
終わらない夏休みという世界観と、評判の良さに惹かれて購入。物語に引き込まれて20時間ほとで一気に攻略してしまいました。
恋愛ゲームとして見ると物足りなさを覚えてしまうかもしれまんが、小説のように物語を楽しむのであればこれほどいい作品はないように思えます。20時間という総プレイ時間も、飽きずに楽しむにはちょうどいい長さなのかもしれません。