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【PS3】ニード・フォー・スピード モスト・ウォンテッド

発売元 エレクトロニック・アーツオフィシャルサイト
発売日 2012-11-15
価格 7665円(税込)
レーティング 【B】12才以上対象 (CERO について)
ショップ/リンク Amazon
タギングトップ3
タイトル概要 ■ ジャンル:アクションレーシング



オリジナリティー グラフィックス サウンド 熱中度 満足感 快適さ (難易度)
4pt 4pt 4pt 5pt 4pt 3pt 3pt
総合点
81pt

GOOD!

NFSシリーズは本作が初プレイ。バーンアウトシリーズを手掛けたクライテリオンゲームズが開発ということでプレイしましたので、バーンアウトパラダイスと比較を中心にレビューしています。

作り込まれた箱庭世界を自由に走り回れる。ただ広いだけでは無く脇道やジャンプ台、中に入れる建物など遊び心をくすぐる仕掛けが満載。ロケーション風景も変化に富んでいて走り回っているだけでも楽しい。道路も高速道路からヘアピンカーブまで走りの趣がことなるフィールドが用意され単調にならない。バーンアウトパラダイス以降やっと満足できる箱庭レースが出たという喜びが大きい。

グラフィックはオブジェクトの質感や遠景がリッチに描かれていて非常に綺麗。空から差し込む陽射しや舞いあがる砂埃などが妙にリアルで空気感がうまく表現されている。バーンアウトパラダイスから着実に進化していて見応え有り。干渉できるオブジェクトが豊富で壊れ方も多種多様なためリアクションを楽しめる。フレームレートも30FPSで安定しており混戦時にフレームレートが落ちてプレイしにくいということもなかった。欲を言えばバーンアウトパラダイスのように60FPSの滑らかさも欲しかったがグラフィックとのトレードオフと思えば不満はない。

サウンドはどっしりと重みのあるエンジン音が印象的で、周辺環境で音響が変わるため臨場感が高い。また警察車両に追跡されてるあいだは警察無線が飛び込んでくるのだが、日本語音声ローカライズにより運転しながらそのやりとりを楽しめるのが◎。プレイヤーに翻弄される警察官を声優もノリノリで演じておりプレイヤーの行動に対してリアクションをするので非常に気持ちがよい。

自由に散策できるフリードライブとレースイベントに垣根が無くシームレスにすべてが繋がっていて非常にスムーズ。十時キーからいつでも画面切り替えなしでアクセスできるEasydriveというメニューによりSTARTメニューを開くことなくレース参加やリスタートが実行でき、プレイヤーの気持ちを途切れさせないゲームデザインが秀逸。カスタムパーツの変更や車種変更など頻繁にアクセスする項目が揃っているのでストレスフリーに操作ができる。

操作感がリアル寄りで重めとレビューで聞いていたので、不安だったが全く問題なし。たしかにバーンアウトパラダイスに比べると重量感があるが、クセがある分使いこなせるようになる楽しさの方が勝り、次第にコーナリングのドリフト操作などキビキビと気持ちの良い挙動がクセになる。

マップのナビゲーションが親切で優秀。目的地やチェックポイントを示すルートが常にマップ上に表示されルートを誤ってもすぐに修正ルートが更新される。バーンアウトパラダイスではルート表示が無く頻繁に全体マップで目的地を確認する必要があったため正当に進化していて安心した。ナビ上に自由に目的地をセットすることも出来るし、一度プレイ済みのレースイベントに再挑戦する場合はマップからファストトラベルも出来る。車種の乗換ポイントも豊富に用意されているためほぼマップのどのエリアにも即座にジャンプでき、煩わしさがない。

レースの難易度が絶妙。常に接戦となるゲームバランスで基本リトライを繰り返しながらのプレイになるのだが絶望的な高難易度ではないため挑戦する意欲が湧く。デットヒートで勝ち抜いた時の達成感はひとしお。またすべてのレースで1位にならなくても進行できるシステムのため詰むということもない。このあたりのさじ加減がよく調整されていると感じた。

レースも車種により趣が全く異なるのが面白い。スポーツカータイプでは300km超えの超高速でのスリリングなスピード感が味わえるし、ドリフトカーでは曲がりくねったコーナの連続をドリフトを駆使しながら攻略する爽快感、SUVタイプではダートレースのようなオフロードをゴリゴリと走り抜ける迫力感・・・といったように別のゲームをプレイしているかのよう。それらをひとつの箱庭の中にシームレスに納めてしまったのには驚く。

8台のプレイヤーが入り乱れるマルチプレイは非常に面白い。ただストイックにレース一位を目指すだけでは無く、プレイ中の様々な行動によってポイントが得られるため「上級プレイヤーが圧倒的で勝負にならない」という状況になりづらいのが◎。ゲームルールもシンプルなレースから「チャレンジ」というタスクを全員でこなしてくモード、チームレースなどがローテーションしていき変化に富んでいる。とくにチャレンジはジャンプの距離を競うものや建物の屋上など特殊な場所に集合するものなど箱庭をうまく活かした条件が豊富に用意されていて面白い。チャレンジによって「こんなロケーションあったんだ」とオフラインでは気づかなかった場所を知ることが出来るためマルチプレイは本作を楽しむ上で必須と感じた。

各ゲームの開始まえにはスタート地点に集合するのだが、自由度の高さが気持ちいい。この間は一番乗りを目指して疾走するも良し、マシンのセットアップを見直すも良し、集合地点を無視して自由に走り回るも良し(最終的にはリミットがきて集合場所へ強制ワープ)と枠に縛られない行動が出来る。オープンワールドとレースの特性がうまく結びついていて面白い。

オンラインのマルチプレイであってもオフラインと遜色ない品質(フレームレートや解像度)でプレイできる。ラグも少なく途中からでも合流しやすい設計のためマッチングも数秒で6〜7人が揃う。オンラインのシステムまわりは非常に優秀。

BAD/REQUEST

ロードがすこし長い。初回のロードに45秒程度かかりこれ以降はオープンワールド内のどのエリアへもシームレスで移動できる。だがレースイベントなどを開始するとライバル車をロードするため15-20秒程度、レースのリトライに10秒程度要するのはちょっとストレス。とくにリトライはゲーム難易度によっては何度も行うためスムーズに行えると良かった。HDDへのデータインストール機能を付けて欲しい。

クラッシュ演出中にEasydriveが操作できない。マルチプレイではパーツの付け替えや車種選択をしている途中にクラッシュされると選択中の状態がリセットされてしまい煩わしい。4〜6秒あるクラッシュ演出の間ただ見ていることしかできないのは×。

オフラインで車種を変更すると、その車種のデフォルト停車位置へワープしてしまう。オンラインではその場で変更できるのでワープするかその場に留まるかを選ばせて欲しかった。

オンラインのマルチプレイには警察車両が登場しない。処理的に厳しかったのかもしれないが、他のプレイヤーと警察車両から逃げ回るようなイベントがあったら・・・と考えると残念であることは否めない。

マルチプレイのアンロック要素(成長要素)が車種毎に別扱い。ある車種で条件を達成して入手したパーツは他のパーツでは使えない。基本パーツは走行距離(**kmを走行等)でアンロックされるため普通にプレイしていれば解除されていくのだが、車種を変えても共通で装備できるアイテムがあると良かった。

マルチプレイのチャレンジルールにある「退場」要素が蛇足。チャレンジでは「最長距離をジャンプ」などタスクが与えられ、それを達成すべく皆で競い合うのだが、他のプレイヤーをクラッシュさせると「退場」扱いになりそのプレイヤーの記録はロックされる(以降記録更新ができなくなる:次のルールに移ればロックは解除)という要素がある。自分の記録を守るために他のプレイヤーを排除するという要素なのだが、その結果妨害を公式に助長してしまい本来の「記録を塗り替えるために競う」ということが損なわれてしまっている。

ガレージがない。ガレージ的な機能(パーツのセットアップや車種変更)はすべてEasydriveで行えるのだが、マイカーをじっくり眺められるような場所が欲しかった。

COMMENT

NFSシリーズファン(オリジナルのMost Wantedファン)からすると評価が芳しくない本作ですが、バーンアウト系のオープンワールド・カーアクション好きには十二分にお勧めできる作品だと思います。とくにバーンアウトパラダイスにハマった人なら満足度は高いはず。わたしも購入以降時間を忘れて走り回っています。街を走り抜けるスピード感、ドリフトをきめる爽快感、テイクダウンするカタルシスなどプレイしていて気持ちいい要素がたっぷり詰まっています。オープンワールドのゲームとしてストレス無くデザインされたゲーム設計に、クライテリオンの培ってきたノウハウを感じます。

一部のレビューに「オンラインとオフラインの成長要素がまったく別扱い」というのがネガティブに語られていますが、これは一部誤解があるようですので以下に詳しく記載します。スピードレベルと(SL)いうレベルの概念が本作にはあるのですが、このSLはオンもオフも”共通”です。オンではこのSLに応じて使える車種(性能の良い車種)がアンロックされていくのでオフでレースやイベントをこなした努力成果はオンにもしっかり還元されています。ただしカスタムパーツ(モッド)は完全に別扱いとなり取得条件も異なります。モッドは車種毎に用意されており全車共通では使い回せません。しかしプロモッドと呼ばれる上位モッドは条件を満たしてアンロックすれば他の車種でもアンロックしたことになります(ただし上位互換なので新たな車種ではすぐに使用できず、その車種の下位モッド解除時に同時に使えるようになる)。成長要素の説明については以上です。

オフのレースイベントは繰り返し感が強く人によっては作業っぽさを感じるかもしれませんが、本作の魅力はオンのマルチプレイにあると思います。一部の上級プレイヤーのみの独壇場になりがちなレースのマルチプレイを"皆で楽しむ場"として成立させたゲームデザインは秀逸です。わたしもレースの腕はからっきしですが、その他のチャレンジイベントをこなして総合1位を獲得できたりします。投稿時点でのオンライン人口も非常に多くマッチングに困ることはありませんので、多くの人に是非プレイしていただきたい一作。

   
プレイ時間:60時間以上100時間未満(クリア済)
ピポパニクスさん(Webサイト)  [2013-02-23 掲載]

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総合ポイント
63
(難易度)
2.29
レビュー数
7
スコアチャート ニード・フォー・スピード モスト・ウォンテッドレビューチャート

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90-100
【60点以上】
57.1%
【標準偏差】
11.83