【PS3】ジョジョの奇妙な冒険 オールスターバトル
発売元 | バンダイナムコゲームス (オフィシャルサイト) |
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発売日 | 2013-08-29 |
価格 | 7980円(税込) |
レーティング | 【B】12才以上対象 セクシャル 暴力 (CERO について) |
ショップ/リンク | Amazon |
タギングトップ3 | |
タイトル概要 |
■ ジャンル:スタイリッシュ対戦格闘ジョジョアクション ■ プレイ人数:1〜2人 |
- 総合ポイント
- 33
- (難易度)
- 1.43
- レビュー数
- 44
スコアチャート
GOOD!
まず、私はこのゲーム『ジョジョの奇妙な冒険』を題材とした格闘ゲームとして意見させえていただくこと、そしてジョジョはあまり原作を読んでおらず、アニメもまちまちで、ジョジョのファンではないということを了承していただきたい。
まずはキャラクターグラフィックは、原作のペンタッチを再現したということもあり、原作の独特な面白さをちゃんと落とし込めてると思う。原作が漫画であり、静止画というところから考えると、ちゃんと動いている『ジョジョ立ち』というのも面白さを感じる。
ボタンの割り当ては『弱攻撃』『中攻撃』『強攻撃』、『スタイル』。『弱→中→強→(特殊技→)コマンド技(必殺技)』の繋ぎが基本。バンナムの格ゲーでは珍しく(?)、上、中、下の判定がある。珍しい。
そしてこの連携に関して『イージービート』というシステム。弱攻撃を連打するだけで『弱→中→強→必殺技(あらかじめ設定されているもの)→ハートヒートアタック(超必殺技)』までつなげてくれるので格ゲー初心者でも最低限のコンボは可能。
このゲームの最も特徴的なところは、『挑発』だろうか。相手がダウンしているときに行うと、原作を再現した演出が入り、相手のハートヒートゲージ(超必に必要なゲージ)を削ることができる。かつてSNKのゲームでは挑発にそういった効果を持たせたものもあったが、それらは無防備になる故にリスクを負うのが当然だった。自分の身の安全を確保しつつ挑発で攻撃が行える稀有なシステムといえよう。
この挑発の演出やセリフも、収集してカスタマイズでき、いろんな挑発ができる。
原作再現のステージには、特定の場所でダウンすると発動するステージギミックがある。車が走り抜ける、物が落ちてくるなどステージによって様々。
BAD/REQUEST
見た目は確かに面白いし、演出もなかなか目を見張るものがある。ただし、ゲームとしては残念ながら難点のほうが多い。
たしかに挑発を本格的に戦略に組み込もうとするシステムは面白い。しかしあれではまだ目玉として弱い。削れるゲージの量も少ないと言える。さらに相手がダウンした度に行えるため、毎回演出が入っていたら試合展開がもっさりとしたものになる。
もっさりと言えば、このゲーム、1ラウンドの時間が非常に長い。というのも、一撃のダメージ量が非常に少ないのだ。デフォルトが1ラウンド勝負ならば一撃の量が少ないゲームも多々あるが、このゲームはデフォルトが2ラウンド先取なのだ。もしゲームセンターならば、客の回転率が悪いことだろう。
システムとしては、キャラごとに戦い方が異なるスタイルというシステムは存在するものの、これは単にキャラの個性とも捉えられる。他に、攻撃がかち合う『相殺』、攻撃を強制キャンセルする『プッツンキャンセル』、直前ガードで回避行動を行う『スタイリッシュムーブ』、などの一連のシステムはあるが、昨今の格ゲーでは特筆するものではない。いわゆる『ロマキャン』の類も、最近ではさして珍しいものではなくなった。
なお、回避行動のはずのスタイリッシュムーブは、軸移動の距離が短いために割とよけきれない。使えなくはないシステムではないが、たやすく出せる分暴発することも多く、難点だろう。
技の関連でいえば『キャラゲー』の宿命なのか、ロック系の超必が多い。多少ならばロックしないものもあるが、『あたりどころが悪かった故に途中で抜ける』ということが起こりにくいのは格ゲーとしては退屈と言えるのではないだろうか。
ステージに関しては、原作全体を内包している割に少なすぎると言わざるを得ない。一般の格闘ゲームから比べると少ないとは言えないだろうが、そこは天下の『ジョジョの奇妙な冒険』。ストーリーモードの存在、ステージギミックという個性を付けたことで、全体を抑えきれていない感が否めない。
致命的なのは、『永パ』の存在。格闘ゲーム、特にシリーズ初期に一つ二つあるのはある意味宿命ではあるのだが、いかんせん発見された数が多い。この存在はコンボの難易度にかかわらず、プレイヤーのモチベーションを萎えさせる原因になる。
あとは有料DLC。これは捉え方だろうが、やはりゲーム単体以上のお金はできるだけ払いたくはない、というのが本音だが、発売日前日に4人の有料DLCキャラが発表され、これからもそういった発表がされる可能性もある。
有料DLCの事情については、恐れながら私は把握できていない。しかし、楽しみにしつつも、先に述べた理由によりBADに書かせていただく。
格ゲー以外のシステムとしてはどうだろうか。
まずはストーリーモード。1部から現在連載中の8部までが収録されているのだが、文字のみの進行で、かなりストーリーを端折ってある。端折っている部分はシリーズ処女作ということで、キャラ不足という事情もあるのだろうが、文字のみの進行というのはわびしすぎる。しかもその文字はロード画面で行われており、おまけのような感じが否めない。さらにステージ不足も相まって、完全にお話しと矛盾が生じ、盛り上がりにも面白みにも欠ける。
次にキャンペーンモード。これはエネルギーを消費してキャラを探索して云々という説明はあるが、簡単に言うとソーシャルゲームを模倣したもの。さらにこのゲームの売りの一つであるカスタマイズのパーツは全てではないがこのモードをやり込むことで収集することができる。さらにこのキャンペーンモード、オンラインによって配信されるので、くじ引きのような要素が大きいこともあり、サクサク集めることができない。延々と戦闘をこなしていく様は、どうしても作業感にあふれてしまう。退屈である。
そしてオンライン対戦だが、これがラグが酷い。電波が三本立っている相手であっても、ラグが無いということは皆無であり、当てにはならないくらいラグがあることもある。
オンライン対戦に関して他に大きな欠点は特にないが、やはりアクションゲームでのラグは致命的に思える。
一応一通り書いたと思うが、長くなりすぎるのも好ましくないので、この辺で区切ろうと思う。
COMMENT
永パの存在を無視したとして、このゲームを一言で評価するなら、残念ながら『凡作』ということになるだろうか。発売までの盛り上がりがすごかっただけに残念な限りだ。
素人の意見で申し訳ないが、思うに、このゲームが発表された当時から、松山氏が自ら格ゲーが苦手だと自称しているが、これは格ゲー制作の強みにならないのではないだろうか?ゲームが下手な人間はゲームが上手い人間の本当の本心を理解しうるだろうか?
たしかに、格闘ゲームというのはプレイヤーにとって敷居が高いものかもしれない。対戦である以上、勝てなければ面白みはないだろうし、強くなるというのは必ずしも簡単なことではない。そんな人のために敷居を下げるという考えは共感できる。しかし、敷居を下げることと甘いこととは違う。
以前、CC2社のゲームを題材としたアニメで登場人物が「ゲームにログインすればそれで楽しめると思ったのか?」と、うろ覚えで申し訳ないが、そういった発言をしていた。私はその言葉にショックを受けたものだ。
イージービートをその対策とした旨を松山氏はイベントで語っていたが、上手くなる努力をしない人間はイージービートしか使わないのではないだろうか。対して、与えられている条件はみな同じなわけだから、努力する人間はいろんな可能性を試し、イージービートだけに頼らない柔軟なプレイができ、上達することができるだろう。結果、前者は面白さを見いだせず、辞めていってしまうのではないか、そう疑問に感じている。
それでも私はこのゲームをそれなりに楽しめている。初めに断った、ジョジョのファンでもないのにだ。
確かにゲームを触ったときは、これまでの盛り上がりに対してのギャップを感じた。しかし、だからと言って楽しめない訳ではない。楽しむことができるゲームだった。
このゲームが手にしている素材は最高なものだと思う。
ストーリーにしても、同社のナルティメットストームを例にとっても、ちゃんとキャラクターが演技をして物語が展開されている。今回のゲームは、長い歴史を誇る『ジョジョの奇妙な冒険』全『部』を扱ったゲームだ。時間が足りなかったという印象が強く感じられる。これまでの熱の入れ方からすると、ちゃんとキャラクターに演技をさせて、細かく作りたかったに違いない。何の根拠もない話しだが、私はそう思いたい。
発展の仕方で、オリジナリティ溢れる楽しい格闘ゲームにも仕上がる予感がしてならない。
今後のシリーズ展開が楽しみだ。だって、『ジョジョ』初心者の私がこんなに文章書けるゲームだもの。