【PS3】ジョジョの奇妙な冒険 オールスターバトル
発売元 | バンダイナムコゲームス (オフィシャルサイト) |
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発売日 | 2013-08-29 |
価格 | 7980円(税込) |
レーティング | 【B】12才以上対象 セクシャル 暴力 (CERO について) |
ショップ/リンク | Amazon |
タギングトップ3 | |
タイトル概要 |
■ ジャンル:スタイリッシュ対戦格闘ジョジョアクション ■ プレイ人数:1〜2人 |
- 総合ポイント
- 33
- (難易度)
- 1.43
- レビュー数
- 44
スコアチャート
GOOD!
【グラフィック】……5点
各演出も含め、文句なしで満点の出来栄え。能力バトルものでありながらも、戦略や心理戦のサスペンスを重視している「ジョジョ」を格闘ゲームに落とし込むという無茶をやり遂げている。キャラ数も新規格闘ゲームとしては凄まじく多い(のだが、少ないと言う人もいる。気持ちはわかるし私自身もアナスイの不在を不満に思っているのだが、これは本当に多い方なのだ)。数は少ないが3D化されたマップも素晴らしいクオリティだが、その代償として長いロードが必要となっている。
DLC商法は「近年のゲーム業界の厳しさを鑑みれば仕方がない」や「初日から六百円で販売するなど消費者を馬鹿にしている」等の意見が良く見られるが、ここではあまり触れられていない無料キャンペーンDLCについて指摘しておきたい。個人的にもバンナム系列のDLC商法は気に入っていないのだが、今作ではいつものバンナムと違い、多くのコスチュームやカラーを定期的に(あまり評判の良くない)キャンペーンモードの定期バージョンアップの際に、完全無料で大量追加してくれるのである。最近の多くの格闘ゲームに比べても、これは破格に太っ腹な待遇であると擁護しておきたい。
【サウンド】……5点
キャラクターボイス、BGM、SE、どれ一つとっても非常に良く練られている。それ故にBGMがクドく感じられることもある。
【熱中度】……3点(BADの方にも記述アリ)
兎にも角にも「動かすことが楽しい」というキャラゲーの要求を満たしている。キャラクターカスタマイズもファンの心を擽る出来。しかしストーリーモードは快適さに掛け、キャンペーンモードは連続して行うことが出来ず(現在はそれなりに改善された)、ヴァーサスモードでもコンピューター戦はやや面倒。一人プレイ用のアーケードモードが欲しかったところ(しかし熱狂的な格闘ゲーマーを除けば、格闘ゲームというジャンルそのものが”飽きやすい”ということも出来る。このレビューを見ているみなさんは、自分が格闘ゲームというものをよく理解していて、それを好きだと思っているのかどうか、買う前に自問しておくべきだろう)。
BAD/REQUEST
【オリジナリティ】……3点
格闘ゲームとしては正直凡作以下と言ったところだろう。
多くの人が「永パ」だとか「タルい」だとか「ラグい」だとか「バッタ」だとかネット上に飛び交うヒステリックな言質に惑わさた不満を口々に唱えているが、そうした問題は多くの格闘ゲームが抱えるもので、アーケード版のカプコン版三部格闘ゲームにもあったし、ゆくゆくは修正されていくものだ。
本当の問題はそういった些末なところにはない。このゲームは格闘ゲームとして、全く新しいところがなく、故に全く魅力がないのだ。そうした圧倒的なオリジナリティの欠如に比べれば「永久」は楽しめる要素でしかない。
しかし反面、格闘ゲーム”周り”にはオリジナリティが見られる。前述のキャラクターのカスタマイズなどがそうで、特に挑発周りのカスタマイズは非常に豊か。キャンペーンモードに関しては新しい試みだし、それなりに面白いところもあるが、全体的に成功しているとは言い難い。多くの人が言うほどまどろっこしくもないが、擁護できるほど楽しくはない。DLC商法にしては商品を買う必要性に圧倒的に欠けるなど、何をしたいのかよくわからない。
【快適さ】……2点
念の為に事前に書いておくが、あの内容なら長いロード時間は仕方ない部分もある。特に対戦前のロードは。しかしトップメニュー画面回りのロードが遅い理由が皆目わからない。一々モードの説明を挟んでくれるのも面倒。また一戦一戦が非常に長く、全体的に「戦闘は爽快なのに全体的にタルい」というのがこのゲームの雰囲気だ。
これもまた多くの人が問題として挙げている点だが、ネット環境のラグは他の格闘ゲームの初期段階に比べて劣っているわけではない。しかしスクリーニングが甘く、改善の余地がある(要するにゲームそのもののバグでラグっているわけではない。そのうちアップデートで改善されるだろう)。
【熱中度】……3点
個人的には他のレビュアーのストーリーモードに対する不満に同意する気持ち半分、わからない気持ち半分である。確かに出来は酷いが、ステージ数やキャラクター数の問題、格闘ゲーム自体が大した物語を描くことが出来ない問題、そもそもジョジョを格闘ゲーム化する際の壁の問題など、正直あれ以上どうすることも出来ないのも事実で、かといって完全にストーリーなくしてしまうと「原作は知らないが、このゲームはやりたい」という奇特な層を切り捨てざるをえない。ハッキリ言ってキャラ間の掛け合い以外の魅力が全くないモードであるが、このレビューを見ているみなさんに理解してもらいたいことは「妥協というものはゲームにとって必要なものであるが、それは必ずしも良い結果になるとは限らない」ということだ。ストーリーを愉しみたいなら、原作を読むべきだ。
つまるところ私はストーリーモードに対しては「まあ、仕方ないよな」と思っている。ただし、ストーリーモード以外でコンピューター連戦を愉しめる場所を用意しておくべきだった(キャンペーンはその不完全な代用品でしかなく、真面目な対戦ツールとしては正直面白味に欠ける。友達と遊ぶ分には良いが……)。前述の通り、格闘ゲームの寿命は、あなたが格闘ゲームをどの程度愛しているかで決まる。格闘ゲームとしての出来が期待できない本作では、なおさらである。
キャラクター数は非常に豊かである一方、ステージ数は少な目に”感じる”(実際のところ、格闘ゲームとしては普通の数だが、キャラ数とのギャップを”感じる”のだ)。あのステージクオリティを維持しながら数を揃えるのは非常に難しいところだが、DLCで頑張ってもらいたい。
また、現時点で販売されている四体のDLCキャラのクオリティは非常に高いので、飽きたとしてもソフト持ち続ける意味はある。完全版に期待する、という手もあるが……。
また、全てのモードにおいてCPUは弱い。格闘ゲームとしてはかなり物足りないのでネット対戦や友人の強さに期待すべきだろう。一方、このジャンルに馴染みのないジョジョのファンにとっては適当な難易度だ。
COMMENT
【満足度】……5点
個人的には非常に満足出来た。それも三部格ゲーをゲームセンターで遊んだ時よりも。唯一の不満は、発売初日から二週間後に、このソフトが定価の半額で買えるという事態を目の当たりにしたことくらいだ。三千円程度で買えるみなさんは非常に幸運だろう。
ここのF評価の中で、このような前向きな投稿をすることは非常に勇気が要ることで、仕方なく「個人的には」と言ってしまったが、これが正直な感想になる。初めからキャラゲー×格闘ゲームという危険な組み合わせに何も期待できないと考えていたせいかもしれない。ましてジョジョと格闘ゲームは、本来不可能なほど合わない。ジョジョの魅力はジャンプ漫画らしい肉弾戦ではないからだ。
いずれにしてもF評価を下されるほどのゲームではない。控え目に言ってもCくらいが妥当だと思う。このゲームの常識はずれな値下がりも(どんなに酷いゲームでも、こんなことは通常ありえない)このソフトに対する妥当な評価とは言い難く、キャラゲー×格闘ゲームにも関わらず予約分だけで五十万本というありえない成績や、みなさんの期待の異様なふくらみの方に問題があると私は見ている。
みなさんは商品に不満を抱いた時、その不満が理不尽な期待から齎されたものであっても、商品に不満を言う権利がある。ましてゲームソフトは高い買い物だ。しかし、みなさんはもっと高い買い物に慎重になるべきだ。ファンだがゲームのことは良く知らずに買ってしまった、という状況から発せられる怒りは正当だが誇れるものではない。ゲーム好きではあるが、情報が少なかったから判断など出来なかった、PVで期待を煽られたという人もいるが、どうして三部の格闘ゲームという滅多にない奇跡の再来に山を張ろうと思ったのかわからない。みなさんは、この高い授業料の元を取るために、商業ゲーム開発の難しさや限界や期待できないコンセプトなど、ゲームに対する知識を身に付けるべきだろう。
ちなみに私は二十代前半で、ジョジョファンとしては十三〜四年程度、格闘ゲームもだいたい同じ程度の経歴であり、地雷を踏んだ数は多く、おそらくみなさんよりも軽率だった時期が長く、もしかしたら今も軽率な人間かもしれない。どのような商品にどの程度の金と期待を掛けるべきなのか、よく考えるということは大事である。