PlayStation mk2 :: PS4評価レビューサイト

GOOD!

・雨という舞台装置を最大限に活かしている
雨にあたっている間は姿が見え、屋根の下では消えてしまう。
それを利用して敵から逃れたり、おびきよせてみたりして状況を打開する。
アクションゲームはこちらから攻撃できるものしかやったことがなかったので、新鮮な気持ちでプレイできました。

・独特の世界観
例えると大人向けの上質な絵本の世界に迷いこんだという感じです。
雨にとじこめられた夜の街は幻想的で物悲しく美しい。
少年が進むにつれて画面に小説の一節のように文章が次々に浮かび上がる演出は斬新だと思いました。
プレイ中の画面を抜き出して本にしたとしても、もとがゲームとは思わないかもしれないですね。

・操作が簡単
少年ができることはとても限られているので、あまり操作は難しくないです。
何度も失敗していると、ちゃんとヒントが表示されるのも良い。
また、私はアクションが苦手なので結構頻繁に死ぬのですがリトライがすぐに出来るというのはありがたい。

・効果音、BGMの美しさ
サウンドは本当に美しい。
降りやまない雨の音、水たまりを駆けまわるときの足音、ここぞという時に流れるドビュッシーの「月の光」の旋律、街角から流れてくる物悲しいバンドネオンの演奏。
この世界の空気そのものを作っていると感じました。

BAD/REQUEST

ものすごく些細なことなのかもしれないのですが、違和感を覚えたこと。
ゲームプレイ中のテキストは徹底して日本語ですが、メニューの表記は基本的に英語です。
例えばゲーム開始時には、「Press Start Button」、
前回のセーブポイントから開始したい場合は「Restart from last checkpoint?」と表示される。
「いいえ」は「chancel」、「はい」は「conform」。
別に難しい単語ではないのですが、複数の項目が小さい白文字でこちゃこちゃっと詰まった感じで書かれているので一瞬どういう意味なのか考えてしまう。
このゲームは世界観・雰囲気が大事なので、この統一感のなさが微妙な違和感を生み、ゲームの世界への没入度を阻害しているという印象を受けました。

COMMENT

雨の街をゆっくり見て回って雰囲気に浸れるゲームだと思っていたら、意外にも始終不安と緊張を強いられるゲームでした。
別にホラーというわけではないのですが、こういうのが苦手な人にはホラーものなみに怖いと感じるかもしれないです。
少年が怪物にやられるときも妙に生々しい嫌な音がするんですよね……。
視点が変更できないということもあり、「風ノ旅ビト」や「ICO」などと比べると作りこまれた景色を楽しむという要素は薄く（追いかけられているとますますそんな余裕なんてない）、何回もくり返しやってみようという気持ちにはなりにくい。

しかし、ゲーム全体の雰囲気は本当に素晴らしい。
この雰囲気が好きかどうかで評価は変わってくると思います。
気になっている方は1500円とそれほどお高くもないですし、やってみてはいかがでしょうか。

あんなふうに雨に濡れるのを一切気にせずに水たまりに入って思う存分駆け回れたらどんなに気持ちがいいだろうな……、とそんなことを思わせてくれるゲームです。