【PS3】rain
発売元 | ソニー・コンピュータエンタテインメント (オフィシャルサイト) |
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発売日 | 2013-10-03 |
価格 | 1500円(税込) |
レーティング | 【A】全年齢対象 (CERO について) |
ショップ/リンク | Amazon |
タギングトップ3 | |
タイトル概要 |
■ ジャンル:アクションアドベンチャー 【パッケージ版】 ■ 発売日:2014/06/05 ■ 価格:2,376円 |
- 総合ポイント
- 72
- (難易度)
- 1.14
- レビュー数
- 14
スコアチャート
GOOD!
本作はステルス・アクションゲームであり、いわゆる“雰囲気ゲーム”に該当する。
ちなみに自分はそういった“雰囲気ゲーム”が好きで、これまで結構プレイしてきている。
具体的に言うと
「Flowerly」・「風ノ旅ビト」・「LIMBO」・「DATURA」・「アンフィニッシュド スワン」など。
そして“雰囲気ゲーム”はアタリとハズレが大きい分野だ。
・・・で、自分は今回ハズレてしまった側の人間だ。そういった者のレビューであることを先にご理解下さい。
[サウンド]:5pt
本作において唯一手放しで称賛できる点だ。
耳にこびりつくような雨音、心に染み入るBGM、姿が見えないのに見える以上の存在感をもたらす各種効果音、どれ一つ取っても素晴らしいものばかりである。
その上、それぞれがしっかりとした調和を保った上で成立しており雰囲気を損なうことは決して無い。特にBGMの運用は秀逸だ。どのような場面でどのような曲を使うべきか? もしくは使わないべきか? どうしたらプレイヤーの心に最大限響くか? これらをきっちり計算して使ってきている。
見事だ。
「本作をプレイしたら、雨の日にはドビッシューの“月の光”を思い出す。」
もしかしたら、これが本作のコンセプトかもしれない。
とにかく本作はフルプライスの作品では無いわけだから、この項目だけ期待して買っても間違いでは無いだろう。
[快適さ]:4pt
ロード時間、チェックポイント、カメラワーク、ヒント、AIの挙動、など。
本作のようなゲームでストレスがたまりやすい点は、すべて平均以上の対処がなされている。本作をプレイして不快に思われることはまず無いだろう。
ただ、個人的にはたまにカメラワークに不満を覚えるときがあった。
もっと演出を強調してもらっても良かったのだが。
BAD/REQUEST
残念ながら、個人的にはこちらの方が多く感じられた。
[グラフィックス]:2pt
「絵に動きや変化が乏しく、飽きる。」
本作の舞台は、雨が降るヨーロッパの夜の街。よくBS放送「世界旅行記 ヨーロッパ編」とかそういう番組で紹介されている石畳の街並みそのものである。これ自体さほど目新しいものでは無い。そして終盤に変化が有るとは言え、基本的にその風景が続く。
さらに、「雨」の表情も単調でこれといった変化は無い。
結論として、最初こそ良いと思うがすぐに飽きる。自分は途中から風景が目に入ってなかった。終盤において「ようやく、ここにきて変わったか。」と感じた時にはクリアしてしまっていた。
フルプライスの作品ではないのだから、画質などはそもそも期待していない。しかし、その分演出や効果などで頑張って欲しい。というのが、自分のこの手のゲームに対する期待だ。
そういえば、心に残る演出といえば「水たまりを歩く」程度か。
・・・全体的に控えめにした。とも取れるがそれでも少ないと思う。
例えば、風景は都会から郊外、雨は肌にまとわりつくような小雨や少し先も見えないような大雨、などといったバリエーションぐらいは欲しい。
最初と最後のムービーだけは素晴らしいものだったが、あの手法を是非ゲーム本編にも生かしてくれれば良かったと思う。
予算が足りなかったのだろうか・・・
[熱中度]:2pt
「あくまで、ステルス・アクションであること」
本作は一見すると、アクションアドベンチャーに見える。しかし、厳密に言うとそうではない。アドベンチャーゲームなら備えておくべき探索要素を備えていないからだ。また、パズル要素とかそういったものも無い。ヒントが無くとも繰り返し挑戦していれば、自然と前に進めるだろう。
本作は、ただ前に逃げ進むだけのゲームだ。一応ゲーム性はあるものの、それはゲームとしての必要最低水準にとどまる。
(一応二週目からは収集物が解除されるが、あの程度では蛇足と言わざるを得ない。)
[満足度]:2pt
「一本道!」
ステルス・アクションには名作が数多くあるが、決して本作にそういった期待をしてはいけない。
本作のマップ構造は一本道であり、さらに言うと攻略ルートも一本道である。そこに創意工夫の余地は無い。
したがって、リプレイ性も当然低い。
さらにダメ出しすると、ゲームとしての難易度はかなり低い。大抵の人はスイスイとクリアできてしまうだろう。
[オリジナリティ]:2pt
「雨が出オチ過ぎて、作品に深みが無い。」
本作で個人的に最も不満な点、それが「怪物」の存在である。あのようなありきたりな手法でプレイヤーへの脅威を表現して欲しくはなかった。
なぜなら、このありきたりな存在が結局本作をただの「鬼ごっこゲーム」でしかないものにさせてしまっているからだ。
そして、それはタイトルにある「雨」がただの小道具に過ぎないことも意味している。
極論をいうと「雨」である必要性は無い。「光と影」でも本作は成り立つだろう。
ゲーム内での雨の利用方法が結局一種類しかないことが、何よりの証拠である。
つまり、「雨」は出オチに過ぎずヒネリがない。
ゲームをよくプレイされてきた方ならば、最初の1分で予想が着くだろう。そして残念ながらその予想通りになる。「プレイするほど、先が見たくて惹きこまれるような魅力」は本作には無い。
もしも「怪物」がおらず「雨」だけの世界だったならば、本作は化けていただろう。
なお、熱中度・満足度の項目で辛口の評価をしてしまった遠因が上記にある。
いわゆる“雰囲気ゲーム”はゲームというより芸術作品に近いところがある。そしてそれらの項目は例えゲームとしてはお粗末なものでも、芸術性がカバーしてくれるものだ。
しかし、ただの「鬼ごっこゲーム」に芸術性を感じることは自分にできなかった。
では演出などが優れているかというと、グラフィックスの項目で述べたようにそれも無い。
サウンドは確かに良かったが挽回しきれるほどのものではない。
総じて満足できるものではなかった。
COMMENT
本作を一言で言うと「最初と最後のステージだけで良かった“雰囲気ゲーム”」になるだろう。
本作を今の2分の1のボリュームで、2分の1の値段で売っていれば丁度良かったかもしれない。
本作は“雰囲気ゲーム”をよくプレイしてきた方には、あまり勧められないと思う。もちろん自分のように、アタリハズレが大きいから、と割り切れるなら話は別だが。
むしろ、本作を勧められるのはそういった“雰囲気ゲーム”に興味を持ち始めた方だと思われる。
というのも確かに本作にはありきたりで単調な部分があるが、逆に言えばそれは取っつきやすく安定感があるとも言える。
特に多くの“雰囲気ゲーム”はわかりにくさでプレイヤーを煙に巻くような所がある。本作には幸か不幸かそういったものはない。
そのため、過大な期待を持たなければそこまでハズレないと思う。
(自分はどうもしてしまっていたみたいだ・・・)
なんだかんだ言ってBGMは素晴らしいし、少年と少女の無言のやりとりは見ていて微笑ましい。
少し軽めの気分転換がしたいと思ったら、わりといいかもしれない。
ところで、ものすごくどうでもいいことだが・・・
その昔、PS3初期の作品に「ヴァンパイアレイン アルタードスピーシーズ」というクソゲーの呼び名高いゲームがあったが、アレを思いっ切り簡単にしたら本作になってしまうのではないか、と少し思ってしまう。そういえばそのゲームも雨がキーポイントだった。
・・・確か、「サイレントヒル ダウンプア」も雨が重要なゲームだった。そしてそのゲームもあまり面白くなかった。
・・・待てよ?
もしかして、雨がよく振るゲームはハズレが多いというジンクスでもあるのか!?
・・・いや、そんなバカな・・・