【PS3】プロ野球スピリッツ2015
発売元 | コナミデジタルエンタテインメント (オフィシャルサイト) |
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発売日 | 2015-03-26 |
価格 | 8208円(税込) |
レーティング | 【A】全年齢対象 (CERO について) |
ショップ/リンク | Amazon |
タギングトップ3 | |
タイトル概要 |
■ ジャンル:プロ野球 ■ プレイ人数:1~2人(オンライン:1~2人) |
- 総合ポイント
- 69
- (難易度)
- 2.00
- レビュー数
- 4
スコアチャート
GOOD!
・総合的な作品の完成度
ここ数年進化が無く、代わり映えしないといわれているプロスピシリーズですが、改めて過去作を何作かやってみると全体のクオリティは確実に良くなっていると感じられました。特にグラフィック面では客観的に見てみても顕著で、過去作品ではモヤがかかっているような印象や不自然なテカリ、選手の体形の違和感などが感じられましたが今作では改善されているように感じます。さすがに15年も続くシリーズともあって、きちんと基準以上ののクオリティは有り、プロ野球ファンならばしっかり楽しめる作品になっていると思います。
・3Dスキャンの恩恵
今作から導入された3Dスキャンの恩恵は凄まじく、選手の顔や体形はかなり実際に近くなった印象を受けました。例えば日ハムの大谷選手であればスラリとした体形に小さな顔、長い手足そしてそっくりの顔、視覚的に選手の個性が表現されており、ファンならばそれだけでも楽しめます。このクオリティ以上のものを求める声もありますが、ライトユーザーや一般的なユーザーには十分だと思いますし、現状でこれ以上のリアルの質感を求めるのもあまり現実的ではないと思います。
・選手の投球・打撃フォームの再現
選手のフォームがしっかり再現されているため、同様に選手に愛着が湧き視覚的に楽しめます。これもまた同じくしてフォームが似ていないという意見もありますが、一般的なユーザーには必要十分の印象を受けました。コアなファンを満足させるためにはフォームをエディット出来る機能(バットの角度、足の上げ方)などがあってみても面白いかもしれません。
・プレー以外での細部の表現
例えば東京ドームのお客さんを見たらタオルを回していたり、球場ごとの演出、イニング間のアナウンスや音楽、売り子の声、観客の溜息、ボールを持たない選手の動き等、よく見たり聴いていたりすると細かい表現が描かれています。プレーしている選手だけでなく球場の雰囲気を再現したり、TV中継のようなリプレイ映像は今後とも追加していってほしい要素の一つです。
BAD/REQUEST
・チャレンジ的な要素や遊び心が少ない印象
モンハンなど長く続くシリーズにつきものなのがマンネリというもので、この作品も老舗のような安心感がある一方、挑戦的な試みや遊び心は少ないように感じました。プロ野球という実在の題材をゲームだからこそ出来る事に挑戦して欲しいです。
例えばベタなところでOB選手の登場、自分で球団を作りペナントに参加したり、自由なリーグ戦(試合数、交流戦の数、チーム構成)、スタプレのオンライン化など、OB選手の登場で言えば、往年の名プレーヤーと現代の名プレーヤーの共演や対決(例えばゴジラ松井VS大谷など)は楽しめるファンも多いのではと思いました。
他に遊び心として、スポーツ新聞の再現(ダジャレのような見出し)を作ってみたり、スマホで撮った顔写真をオリジナル選手の顔に取り込めたり、スマホアプリのプロスピAとの連動、他にはプレー中の演出として選手がファルフライでベンチで飛び込んだり、振ったバットがすっぽ抜けたり、ワイルドピッチが大事な所に当たったり、辛辣なヤジ、誤審や乱闘(選手の肖像権で難しい?)、あまりやりすぎると作品の雰囲気を壊したりしかねませんが、機能のON・OFFをつけたり配慮することで思い切った挑戦や遊び心を取り入れたりするのもアリなのではと思いました。
・自由度・ユーザーの裁量が少ない
このシリーズでは毎回、投打のゲームバランスや選手の能力査定についての不満を良く見かけます。この不満はおそらくメーカーの方が素晴らしいバランスに設定しようと、どう査定しようと消えることはありません。なぜならゲームバランスにおいてはユーザーの好みがあるので、爽快感を求めて遊ぶ人とリアルを求めて遊ぶ人とでは着地点が違うからです。さらに細かくなるとユーザーの趣向は多様になり守備がもっさり感じる人や野手の肩が強すぎると感じる人、いろんな捉え方が出てきます。さらに選手査定についてはユーザーの主観が入る為、ある人は守備力を評価する際UZR(守備指標)のようなデータこそ客観的評価に相応しいという人もいれば、数字で表現出来ない巧さがあると考える人もいます。加えてユーザーごとに贔屓のチームや選手への愛着もある為、こちらも妥当な選手査定というのは難しく、納得する妥協点は各ユーザーによって違ってきます。
ゲームバランスについては野手の動作速度やCPUの思考など、各要素を調節できるようスライダーをつけてみたり、選手査定についてはエディット(但しつけることによって、一気につまらなくなるという否定的意見もある)若しくは現行のスピリッツモードで実在選手の顔と体形を選べるようにし、作り直す(形式上は架空選手)くらいは遊びの幅としてあっても良いのではないか思います。この辺りは個人的な感覚にもよりますが、料理に例えるとメーカーの方が作った作品にそれぞれの好みの調味料を加えるという感じで、本来のゲーム性を大きく損なう物でなければむしろあって良いと思います。
・人間っぽさ、選手の個性・キャラクターの追求
良い点にも書いたように、3Dスキャン等で視覚的に選手のソックリ度は増し非常にクオリティはアップしました。また視覚的に似てくることで個性やキャラクターも感じられるようになりました。なのでより人間っぽい動きをパターンとして追加して見たり(ポップフライを打ち上げたらトロトロと走って見たり…)、人間っぽいブレ(走塁・打球の判断ミス)もたくさんあっても面白いかと思いました。また一部の選手に固有の特殊能力(例えば最優秀救援投手=守護神とか)を与えてより演出して個性をつけるのも良いのでは思いました。
・打球・守備モーションのバリエーションが少ない
技術的なことは分かりませんが、実際の試合に比べて打球のバリュエーションが少ないように思います。ライン際、内野の間、外野の間、似たようなパターンのヒットが多く感じました。打球に高低差が感じられたり、打球のスライスやゴロのバウンド感、土の球場のイレギュラーバウンドなど、打球が立体的に感じられたら面白いだろうなあと思います。それと守備モーションについては全体的にもう少しスピード感が欲しいと思ったのと、汎用パターンがもっと増えてくれれば嬉しいと思いました。また実際の試合を見ていると選手によって守備の時も動きが違うので、それを表現してみるのも面白いと思いました。(※身体能力が高いタイプ、巧いタイプ、外国人タイプなど)
・観客のリアクション
近作ではホームランボールに観客が手を伸ばしたり、ホームビジターで観客比が変わったり、臨場感のある歓声があったり、間違いなく試合の雰囲気には欠かせない演出になっています。それ故にHRやタイムリーを打った時の観客のハリボテ感が気になってしまいます。観客の視線がボールへ向いたり、メガホンを叩くような演出があるだけで随分変わると思います(あまり観客を動かすと負荷がかかってカクカクするのかもですが…)あとは遊び心として良くある観客席のパネルを持った人を再現してみたり、反対に大差がついた試合では歓声も減ったりお客さんも少なくなるのも面白いかもしれません。
・ハイライトのBGM
試合途中、終了後のハイライトはBGMと解説のみで行われるのですが歓声や効果音も一緒に流したほうがより臨場感があるように思いました。
COMMENT
プロ野球ファンならば楽しめる良く出来ているスポーツゲームだと思います。冒頭にも書いたように長く続いているシリーズなので安定した仕上がりで、このゲームとしての根幹はしっかりと出来上がっています。今までのノウハウや蓄積した資産を活かしつつ、新たなコンテンツへの挑戦もはかっていってほしい作品の一つです。また前項にも書きましたが、現状では決められた枠の中での遊び方しかありませんが、自由度や幅を持たせてユーザーが派生させていけるような楽しさもあれば面白いかと思います。
少し心配なのは売り上げ本数が少し減っているようなので、次回作を作るにしても開発コストはあまりかけられないように思う事と、コンシューマーゲームを取り巻く環境を見てみれば、ソーシャルゲームへの移行、ソフト売り切りではなく課金モデルへの転換は避けられないのかという事です。個人としてはスマホアプリのガチャの課金は、一部の人にとっては依存性の強いものであまり賛同しかねますが、企業としての利益なしにはコンシューマーのソフトの開発も行えませんので仕方ない状況なのかとも思います。
最後に海外の野球ゲームと比較されがちなこの作品ですが、開発コストや市場、環境が全く違うので単純比較するのはあまり意味がないし、それぞれの味や面白みはあります。また自分なりに調べてみると、費用や人員、期限や権利、想像以上に色々な制約がある中での開発だと思います。ただこのタイトルを楽しみにしているユーザーは多く、無くしてしまうには惜しい作品と思うので『プロ野球スピリッツ2016』を楽しみにしながら待っています!