【PS4】Dishonored 2
発売元 | ベセスダ・ソフトワークス (オフィシャルサイト) |
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発売日 | 2016-12-08 |
価格 | 8618円(税込) |
レーティング | 【Z】18才以上のみ対象 暴力 (CERO について) |
ショップ/リンク | Amazon |
タギングトップ3 | |
タイトル概要 |
■ ジャンル:ステルスアクション ■ プレイ人数:1人 |
- 総合ポイント
- 73
- (難易度)
- 2.75
- レビュー数
- 4
スコアチャート
GOOD!
※前作・DLC2・DLC3をPS3版でトロフィーコンプリート済。PS4版は未プレイ。
※隠密系、または隠密要素を含むゲームは、アサシンクリード6作、ウォッチドッグス2作、シーフ(リブート)、ホライズン、クライシス、ラスアスなどをクリア済。
前作の事件から月日が流れ、女王エミリーと王室護衛官コルヴォ(前作の主人公)についての不穏な噂が立つ最中、クーデターが起き、エミリーが女王の座から追い落とされます。
時空を超越した存在で本シリーズの狂言回しでもあるアウトサイダーから魔法力を授かったエミリーは、噂の発端となった、反女王派を狙う殺人鬼「クラウンキラー」事件の真相を端緒に、反乱グループの悪事・秘密を探っていき、王座奪還を狙います。
前作同様の特徴は以下のとおりです。
■各章攻略手順の自由度
本作はアドベンチャー形式で各章に分かれており、ほぼ毎回、アジトでのブリーフィング→街での物品購入→敵基地への侵入→アジトへの帰還、の繰り返しで進行していきますが、街に入った時点からアジトに帰るまでの間は、地形把握、ボス攻略、アイテム収集(盗み)、レベルアップ、これらを消化するタイミングは自由です。ボス殺害などの目的を果たした後も、弾薬購入をしに一旦街に戻り、また基地に戻って敵兵に対処し洗いざらい金品をせしめる、というプレイも可能です。
■経路選択の自由度
隠密ゲームの面白さは、建物構造や見張りの巡回路などの各要素を分析し、「警備の一番のザル部分はどこか」「見つからないのはどのタイミングか」「いかに目線をそらし、その隙にどこに移動するか」などの答えを出す部分にありますが、本作でもそのあたりを突き詰める要素が数多く用意されています。特に、前述のような配管や、床下、天井裏、戸棚の上、机の下など、本作ならではの多様な通り道や隠れ場所に魅力があります。
また、部屋を決まった順番で一つ一つ抜けていくゲームではないので、建物全体、場面によっては街全体を多方面から少しずつ掌握し、吟味していく自由度があります。
■魔法による瞬間移動が可能
敵の動きを観察するための高所への移動や敵の背後への接近が容易であるため、他の隠密作品よりもゲームテンポを速くできます。高さ5mの壁も2アクション程度で登れます。
姿を見え難くして敵の視界内を通り抜けたり、配管の中を伝って別の部屋に行くなどの能力もあります。
魔法使用はマナ(MP)を消費するので、ポーションでの回復が必要ですが、発動後少し待てば自己回復しますので、逃亡などで急いでいるときは瞬間移動を連発してポーション使用、じっくり探索・観察する際はちまちま自己回復しながら、というコスト管理ができます。
■敵兵攻略の自由度
ボスを含めた完全不殺プレイを徹底することも可能ですが、殺害して突破する場合も、その方法は多岐にわたります。拳銃、クロスボウ、地雷など、戦術にあわせた武器があるのはもちろん、魔法を活用して同士討ちを狙ったり、警備機器をハックして罠に転用したり、プレイヤー自身の知恵や「陰険さ」を生かして局面を乗り切ることができます。
前作との違いは以下のとおりです。
■物品購入機会が増えた
前作では、序盤のみ(言わばゲームに慣れるまでの間)街で物品の追加購入が可能でしたが、本作ではほぼ全章で、街の中に闇屋があります。また、街の一部エリアは姿を晒して歩いていても警戒されず、抜刀していても問題ありません。(前作のボイル邸と同じく、画面内で宣言されます)
■気絶させる方法が増えた
前作では高所から敵に「落下致命」を行なうことしかできませんでしたが、本作では「落下気絶」も可能になりました。背後に瞬間移動して首絞めを行なうのに比べて、操作の正確性・敏捷性が求められる代わりに、高速で確実です。
また、パリィから首絞めに移行することもできます。
■ボーンチャームの合成ができる
回復力、移動速度、ボルト回収率(運のよさ)などを上昇させるアクセサリ「ボーンチャーム」の種類が増えました。サーチアイテム「心臓」で場所を特定したときに、高威力なものは「黒のボーンチャーム」、デメリットが並存するものは「堕落したボーンチャーム」(前作DLCと同様)と表示されるので、リスクを負ってでも拾いに行くべきかどうかを判断できます。
また、ボーンチャームのうち低威力なものは、破砕して合成できるようになりました。ひとつのスロットで2つ以上の能力を装備できます(3つ以上の合成は、確率によって堕落します)。ただし、継ぎ木のように使う無能力の「鯨骨」が必要で、道中の探索や、他のボーンチャームの破壊とのトレードになります。
■ジャーナルがより分かりやすくなった
取得文書はすべてストーリーに関係ないものでも参照できる、金庫の番号など明白なものはミッションヒントに再掲される、という前作の仕様は、もちろん踏襲されています。
本作ではさらに、主人公の日記によってストーリーの流れがおさらいできるようになりました。プレイに間を置いてしまっても容易に追いなおせます。
また、前作でのエリア地図は、道中に掲げてあるものを見るしかありませんでしたが、本作では地図を見つけ次第ジャーナルに控えることができ、いつでもポーズして参照できます。
BAD/REQUEST
ところどころ、注意事項を含みます。
■瞬間移動能力「ファーリーチ」の仕様
Rスティックで調整した視線の先にある場所を、魔法力でできた長い腕で掴んで、自分の体を瞬間移動させる、という能力なのですが、
1.レティクルとはずれた場所を狙うことがある
上にずれたり下にずれたり様々です。左右にずれる場合もあります。下にずれるときはあたかも「そこまで行きたいでしょうけど、失速してここに落ちます」というような軌跡が描かれるのですが、もう少しレティクルを上空に向けると、ちゃんと到達できたりします。
2.レベルアップして得る「プル」能力が使い難い
アイテムを掴んで引き寄せる能力「プル」(前作DLCとほぼ同じ)と統合されました。床を掴めば自分が向こうに飛んでいき、物を掴めばこちらに飛んできます。しかし、アイテムを掴めているのか床を掴んでしまっているのか、エフェクトに違いはあるものの、一見して分かりにくいです。また、移動しようと思った先にあった鯨油タンク(衝撃で爆発する)が猛スピードで飛んでくることなどもありました。ファーリーチとプルは、武器ホイール上は別個になっていてほしかったです。
3.足元がすべる、引っかかりやすいなど
前作の「ブリンク」と同様、庇や手すりに向けると、Λ型のマーカーが出てきます。これは、「移動後即座によじ登りますよ」という予告なので、「ずり落ちることなくそこに乗れる」という絶対的な保障にもなっていました。しかし本作では、ところどころであっさりずり落ちます。
また、掴んだ対象までの経路の周囲にワイヤーなどのオブジェクトがあると、ひっかかって空中で叩き落されます。このあたりは、ゲームエンジンを変えたことで前作の挙動が失われたのかもしれません。
ちなみに、路地裏の配管など(おそらく、一定の決まった場所)に乗っている間中、「ぺぺぺんぺんぺん!」と小刻みにジャンプするバグもあり、同根の問題なように思います。
■操作方法が変わった
PS3版の前作を1周ひととおりプレイした直後のプレイでも、キャラクターの操作感は非常に良く似ていてすんなり移行できました。○決定・×キャンセルも良かったです。しかし、
1.前作どおりのボタン設定はない
前作では背後からR1で必殺、R2で首絞めでしたが、逆になりました。L1・L2も逆になっています。不殺を目指してプレイにするには致命的な変更です。やることはまったく逆なんですから。ゲームオプションに操作方法の選択肢は幾つかあるものの、なぜか前作そのままのものはありません。
結局、PS4のアクセシビリティ設定でR1・R2/L1・L2を入れ替えました。これで困るのはポーズ時ぐらいなので、以降は問題なくプレイできました。
2.△+左スティックでの覗き込みがやりにくくなった
前作よりも操作が「ガクガク」しています。特に、ニュートラルに戻すときの挙動が大きく異なります。前作では△なしで左スティックを操作し後方に移動すると、自然にニュートラルに戻っていました。これを前提に「覗き込んだ状態からすっと下がって抜け出して、斜めに前進して敵の背後に」という動きをしていたのですが、本作ではしばらくの間、視線が斜めのままになってしまいます。
同じような感覚に陥った方は、△ボタンのみを一度押して解除するといいでしょう。
■VERYHARDが異次元
前作での VERYHARD がそもそもたいしたことなかったとも言えますが、比して本作は度を越しています。序盤から既に前作DLC3最終面くらいの難易度であると覚悟してください。
COMMENT
ごく序盤だけ初期バージョン・VERYHARD、以降はVersion1.04・Normal。エミリーでのプレイです。コルヴォでのプレイもできるようですが、まだ見ていません。
前作と異なり一長一短な点を補足します。
前作では敵兵を殺すなどしたあと隠すと、別の兵士が順回路を増やす為、安全箇所がなかなか減らないと言う点が面白かったのですが、一度鉄板の場所・方法を見つけると、それを繰り返せば数人やっつけることができてしまう、というデメリットもありました。
本作では普通の隠密系と同様、敵兵の巡回路は一定です(幾つか、前作どおりの場所もあるかも知れません)ので、場所ごとの攻略法をきちんと考えていく必要があります。前作どおり、同じことの繰り返しで攻略したい場合は、爆発音などで無理矢理呼び込めばよいでしょう。
敵の知覚力などの難易度の上昇については、キャラクター能力の上昇とセットになっているものと思われます。
例えば、うっかり見つかって敵兵に囲まれたときに新能力「ドミノ」を素早く発動し、一人に麻酔弾を撃って全員に伝播させ、その場を治めることが可能でした。
隠密失敗後のプレイの選択肢として、アサクリ・ウォッチドッグスとも共通する「素早く殺す」「素早く逃げる」に加え、「素早く気絶させる」こともできるほどに強力なキャラクターになったのは、面白さを追求した結果であり、このキャラクターに対抗させる敵キャラクターもまた強くなるのは、当然だと思います。
序盤は難しいと思いますが、根気良く「ルーン」(能力強化用の消費アイテム)を拾い集めれば、次第に簡単かつ面白くなっていくでしょう。
オリジナリティ:5点。
魔法、武器ガジェット、地形などの要素が充実しているからこそ作られる「多様性」がゲーム全体のテーマとして確立しています。
グラフィックス:4点。
前作と違ってリアル調になっており、非常に美しく高精細ですが、デザインセンスなどには前作の雰囲気を残しており、「綺麗なだけでつまらない」ところには落ちていません。アイテムと背景の境目が前作より分かり難いなど、細かい課題があります。
音楽:4点。
環境音楽やSEなどは前作のものをそのまま受け継ぎつつ、センスの調和した新たな音楽も入れるという、ゼルダのようなスタンスでのサウンドでした。出来は「普通」の3点ですが、続編タイトルとして、真新しさよりもファン向けの安心・安定をとったところに1点足します。
熱中度:4点。
序盤はファーリーチの仕様の欠点などが目立って、楽しめるか不安でしたが、最終的には、前作と同じ頭を使って「隠密パズル」を解くことにすっかり熱中していました。
満足度:3点。
各章ストーリーの展開は面白かったものの、非致死の選択肢が平板で、前作DLCほどの多様さを感じませんでした。ただ、ある章のみ凝った作りにしてあり、別の選択をした場合の展開を楽しめそうです。
快適性:3点。
瞬間移動でのテンポの調整の余地がシリーズの地の強さとして既にあり、かつジャーナルのさらなる充実で加点。その一方で、「ファーリーチ」の仕様の詰めの甘さからくるギャンブル性で、減点しました。
難易度は、FPS操作に慣れていればごく普通です。上述どおり、敵と自分の戦力差はレベルアップによって埋まっていきます。
ただし、ノーキルノーアラートなどのハードルを課したり、または逆に、隠密行動や魔法の活用を度外視して、剣と銃器で暴れながら乗り切るというプレイスタイルでいくのは、すこぶる難しいでしょう。