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【PS3】SIREN: New Translation

発売元 ソニー・コンピュータエンタテインメントオフィシャルサイト
発売日 2008-07-24
価格 5980円(税込)
レーティング 【D】17才以上対象 (CERO について)
ショップ/リンク Amazon
タギングトップ3
タイトル概要 ■ ジャンル:ホラーアドベンチャー
■ プレイ人数:1人

【オンライン配信版】
■ 発売日:2008/12/11
■ 価格:4,500円

【廉価版】
■ 発売日:2009/07/09
■ 価格:3,800円



オリジナリティー グラフィックス サウンド 熱中度 満足感 快適さ (難易度)
4pt 5pt 4pt 3pt 3pt 3pt 2pt
総合点
67pt

GOOD!

 私はSIRENシリーズは初めてで、ホラー系は「SILENT HILL」の1と2はやったことがあります。

<良い所>
■グラフィックス
◎秀逸です。人物、背景とも良かったです。その辺にちょっと貼ってあるポスターも作りこんであって楽しめました(敵に追われながらですが)。ポスター集めイベントなどがあれば、もっとじっくり見れたと思います。

■満足感
◎「視界ジャック」
 このゲームの個性である、敵の“視界”を画面右に3つまで表示できるシステムで、敵が今、何を見ているかが判ります。弱いキャラほどこれに頼って逃げることになります。私は非常に面白いシステムだと思いました。

○「多様な操作キャラ」
 ミッションごとに、操作キャラや、守るべき対象が変わっていきます。特に、武器を使えないベラ(10歳の女の子)は視界ジャックを駆使しながら逃げきるという、このゲームの面白さを体現しているキャラクターだと思いました。複数の敵の動きを見切るのはなかなか難しく、面白いところです。

○「登場人物」
 キャラ絵から声優さんまで良かったです。モデルさん御本人が声優も兼ねているケースが多いようで違和感がありません。屍人である看護婦さんのモデルが美人で、これがああなるのか…と感慨深かったです(笑)

 敵キャラである屍人にも、いろいろセリフがあって楽しませてもらいました(視界ジャック時に相手の声が聞けます)。名前を持っている屍人や味方キャラは特有のセリフを言い、愚痴をこぼしたりするので、面白かったです。ただ、全キャラ特有ではないのが残念です。マニアはそこまでこだわります(笑)

○「ドラマ仕立て」
 各章の終わりに次回予告がついていて、雰囲気を盛り上げてくれました。

■熱中度
◎「タイムアタック」
 実は目標、小目標どうりにやる必要はなく、もっと早くクリアできる上手い方法があったりします。物凄いプレイを公開している人達がいまして、それを真似てみたのがクリア後一番楽しかったです。戦略が非常に秀逸で、一度自力で苦労してクリアした人ほど楽しめると思います。
 他に、「敵に発見されずにクリア」「敵を倒さずにクリア」などの称号もあります。

■快適さ
○「目標、小目標の表示」
 ここは評価が分かれているようですね。私は総合的にはプラス評価です。
 主に“アクションゲーム”として楽しみたいプレイヤーには好評なようです。良い点は、迷わないことです。また一つ一つ目標を達成していく感覚が楽しいです。他のアクションゲームも是非真似して欲しいと思いました。

 一方“アドベンチャーゲーム”として、推理、パズル的な要素、つまり「次に何をやるか」までを自分で考えて楽しみたいプレイヤーには不評かもしれません。
 最も悪い所は、寄り道しなくなってしまうことでしょう。目標地点に一直線に進んでも特に困りません。探索する楽しみがなく“この先に何があるのだろう”という扉を開ける時のドキドキ感が減ってしまっていると思います。

○「ロード時間」
 短いです。これだけのグラフィックを誇るゲームで一瞬ということは、他のゲームは文字どうり、何をやっているのか!?

■音楽
 テーマ音楽は雰囲気が出ていると思いました。ただ、エンディングのハードロックは、このゲームには合わない感じがしました。耳障りでかなり嫌でしたのでマイナス。しかし、謎の三人組の歌がとても良かったのでやはりプラスして4点。今でも口ずさめます(笑)
 ゲーム中のラジカセから流れる音楽が、オリジナルの名曲(迷曲!?)と、全般において細部まで作りこまれているのがこのゲームの特長ですね。

BAD/REQUEST

<悪い所>
■満足感
××「恐怖の質」
 私が怖いと思うのは、暗闇や未知のものに怯える感覚で、決してキモさやグロさではありません。このゲームは(前者の怖さもあるのですが)後者寄りだと感じました。そういうのはあまり怖くないのです。キモさは十分ですけど。
 パッケージには「日本土着の恐怖」と書いてありますが、私は“アメリカン”なスプラッター系統だと感じました。日本的な怖さとは“ゾンビ”じゃなくて“霊”ではないでしょうか。

×「戦闘」
 なんでもいいので武器さえ持っていれば、1対1ならなかなか負けません。
 視界ジャックは結構面倒くさく、またわざと見にくくしてありますので、何もせずに特攻した方が楽だったりします。敵は正体不明ではなく、武器で倒せる“物体”なのですから。
 後ろから忍び寄って倒すのはいいのですが、正面きって敵と戦うのはこの手のゲームの醍醐味ではないと思います。強キャラもいていいと思いますが、大半は弱い方が恐怖が大きくなるのでは。武器は“罠”ぐらいが適当かと。

×「ストーリー」
 ネットで考察しているページを見るまで全く分かっていませんでした。
 “なぜ銃で心臓を撃たれたはずなのに平気なのか”、“死んだはずのキャラがなぜ生きて出てくるのか”等々全く理解できず、最後は「このおじさん何を嘆いているのだろう?」と、もはや訳が分からず(笑)

 いわゆる“○○○”のたぐいですよね。○○○にするのなら、何でもありになってしまいます。片方は○○○となる2つの物語を混ぜるくらいなら、条件分岐でそれぞれ別の展開、すなわちマルチエンディング形式にした方が面白かったのではないでしょうか。
 ボリューム不足を補うために、同じステージをもう一度使おうと思って、こういう話にしたのかな…(大人の事情で)

 話を理解したあと、注意しながらもう一周ゲームをしてみたところ、ちょっとした場面の意味がよく分かり面白かったです。実はこのストーリー、深いのだなと感心しました。
 製作者サイドはストーリーを既知だったので、この程度の説明でSIREN初プレイの人にも通じると思いこんでしまったのではないでしょうか。これは簡単にはわからないですよ。

×「アーカイブ集め、武器集め」
 コレクション要素です。取り合えず50個、数だけ揃えたという印象のアーカイブ(物語の背景が分かる様々な手がかり)が多かったです。集めたからといって本編に全く影響を及ぼさないため、苦労して手に入れた割には物足りなかったです。
 武器の資料集もあり、どちらも一応全部埋めましたが…実用性がないのです。そのステージに落ちている、例えば“重い切る武器”を指定できるとか、少しでも何かがなければ、集めたからといって、特に意味も満足感もなかったです。

×「ぶつ切りの話」
 章に分けている意味が感じられず、つながりの分かりにくいぶつ切りのショートストーリーが続きます。ダウンロード販売のためだけに適当に分けたのでは?という悪い印象だけが残りました。

×「武器の持ち越しがない」
 ストーリーごとに、武器の持ち越しがないのはかなり不自然だと感じました。プレイヤーの選択の楽しみを奪っており、自分だけのキャラクターという感覚に乏しくなります。
 持ち越しがあれば、同じステージを複数キャラが通る場合、どのキャラでその武器や罠を取るかという戦略も生まれると思うのですが。

△「登場人物」
 登場人物の大半が外国人なのは、英語の勉強にはなっていいのですが、怖さが少し軽減されてしまうと思います。たぶん、表現のしかたやイントネーションの違いによって感情移入がしにくいためだと思います。「ファック!」より「ちくしょう!」「くそ!」といった方が私はより心に響きます。実際、日本人である美耶古の悲鳴などは“やばい”という感覚を引き起こしてくれました。

△「テーマ」
 “SIREN”ってあのサイレンそのままのことなんですね。題名が先にあって、ストーリーを無理やりこじつけている感じがしました。サイレン鳴らす必要性なんてあるのかな。

■快適さ
××「コントローラーを振る」
 このゲームでは敵に捕まった際、コントローラーを高速で振らなければなりません。これが苦痛で、頭が痛くなりました。このゲームの不快さの大きな部分を占めています。新ハードの追加機能を間違って使っている例だと思います。

××「狙撃銃の操作性」
 普通の人間は銃など扱いませんから、多少ぎこちないのはわかります。が、あまりにも悪い。人間なら速く動かすところと遅く動かすところのメリハリをつけますが、このゲームはいちいちオプションでそれを切り替えなければなりません。実質、一段階です。これを、終盤のメインアクションにもってくるとは…
 アドベンチャーというより、アクション寄りのゲームなのですが、爽快感がないです。はじめにストレスのかかる難しさがあって、慣れてそれが多少減るという程度で。

×「視界ジャック」
 “視界ジャック登録していない画面”から、“登録している画面”に切り替わったとき、3つあるどれに替わったか分からんのです。
 また、視界ジャックしながら移動もできるのですが、その際残像がついて見にくくなるのです。このため、ジャックは使わず、武器を持って特攻し、失敗したらそれを覚えるという方向に。他に、ライフルを構えるたびに、ジャックが解除されるなど(集中力が必要とかいう理由で?)があります。
 リアル志向か分かりませんが、折角のゲームの最大のウリを使いにくくして、実際プレイヤーが使わなくなったら意味がないと思います。ゲームなのですから、割り切りが必要なのでは。

△「親切すぎる」
 敵が襲ってきたのを画面で認識できるシステムというのは親切すぎたかもしれません。全部オフにしてやっていたところ、ふと見ると同行者が敵に襲われる寸前でドキッとしたことがあり、よかったです。視界ジャックも含めて特殊能力の有無や性能はキャラごとに変えてみても面白かったかも。

COMMENT

<感想>
 アクションゲームとしては爽快感がない。アドベンチャーとしては話が解らない。スニーキングとしてはメタルギアに及ばない。怖さしかないのだが、それも履き違えている…印象としては悪くはないゲームなのですが、何か焦点がぼやけているのですよね。

 総合的な評価は現在のように60点台に落ち着くのではと予想しています。「万人にはお勧めできないが、興味がある人には面白い部分もある。やってみてもいい」という感じです。決して遊べないこともなく、及第点には達しているでしょう(私は、MK2の60点台は割と遊べると思っています)。現時点でグラフィックはかなりのものだと思いますので、それを見るだけでも価値はあります。
 と言いつつ、実は一度途中でやめてしまいました。私は「弱いキャラで逃げる」「心理的なホラー」「絡み合ったストーリー」という要素を求めていました(探せばそういうゲームあるかも、ただこのゲームではなかった)。
 特に、このゲームのアクション部分には魅力を感じられませんでした。むしろ、登場人物が子どもばかりで、武器は罠ぐらいしか使えないという方が面白いように思いました。敵を倒しまくる現状は、劣化版“バイオハザード”って感じです。

 前作にはあったようですが、学校ステージなんか欲しいですね。真っ暗な教室は、一目で全てを認識しにくいので、誰もいないと思っていた部屋に何かの気配が…そういう“気配の怖さ”が欲しかったです。病院があまり怖くなかったのは、病室は狭く、何かがいるならいる、いないならいないとすぐに分かってしまうからでしょう。
 そして、「日本的な怖さ」とは未知のものに対する“気配の怖さ”であって、物質としてのゾンビのキモさじゃないと思います。

 実は、YouTubeでこのゲームの動画を見て、衝動的にPS3ごと買ってしまいました。ゲーム自体も3年ぶりぐらいです。私が求めていたものとは、ちょっと違っていましたが。
 これだけのスタッフを揃えていながらこの評価というのは、勝ちとはいえないと思います。しかし、技術は断トツですので、次回作があるなら、期待はしています。

 
プレイ時間:30時間以上60時間未満(クリア済)
ゲッチュー上田さん(Webサイト)  [2008-10-05 掲載]

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総合ポイント
62
(難易度)
2.11
レビュー数
35
スコアチャート SIREN: New Translationレビューチャート

真・三國無双5 購入する
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8.6%
70-79
14.3%
80-89
2.9%
90-100
【60点以上】
57.1%
【標準偏差】
14.66