PlayStation mk2 :: PS4評価レビューサイト

GOOD!

○オリジナリティー
ショパンの夢の世界という設定は面白いですね。
実際に現実にいた歴史上の人物をモチーフにする事で、
作中の世界が「夢」である事への厚みも増してますし。

○物語り
考察したり、人の考察を読んだり、人と伏線やキャラの心情をディスカッションしたりするのが好きな人はかなり楽しめるでしょう。
勧善懲悪なので、敵を殺して後味が悪いっていうのもないです。

○登場人物
個性的なキャラが沢山います。声優さんの演技もいいですね。
ビートとマーチの掛け合いとかかなり可愛かったですし。
ショパン、ジルバ、クラベス、ビオラ辺りが特に良かったかと。

○グラフィック
これは手放しに褒めてもいいですね。流石、次世代機。
特に広大な草原のフィールドと、白を基調にした潮の香りがしてきそうな海辺の町は必見です。

○音楽
ショパンのピアノ曲は、当然と言えば当然ですが良かったです。

○戦闘
ビシッと必殺技が敵に決まって倒す時の爽快感がたまりません！

○パーティー非固定
主人公やヒロインがパーティー固定され、好きなキャラだけで戦闘メンバー組めない作品も多いですが、本作はパーティメンバーが固定されてないので、好きなキャラでパーティーが組めます。

BAD/REQUEST

○物語り
「無気力だったショパンが懸命に生きる人々に感化され、生きる意義を見出す成長物語」

「違う正義がぶつかり合い、戦争の虚しさに苦悩しながら、平和への道を模索し、歩みよる努力をする戦争物語り」

死生観、成長物語、戦争物語りは期待しない方がいいです。
勧善懲悪、丸投げの設定、掘下げ不足　等々。深い題材を活かして描き切れていません。


○登場人物
全体に掘下げ不足感が否めません。材料は良いのに調理しきれなかった感じですね。
またジルバを巡る三角関係はクラベス派でも、ファルセット派でも、フラストレーション溜まると思います。

○音楽
悪いか良いかで言えば良いですが、ショパンという題材で音楽への期待値を高くしている事を
考えると「普通の王道ＲＰＧの音楽」の域は出ていないものばかりなのはマイナス。

○ショパンが主人公ではない
「ショパンの夢」という題名、取扱説明書の人物紹介で最初に載っている…
これらの要素からショパンが主人公だと思い、彼に感情移入するつもりで始めたら、違ったので戸惑いました。

○主人公
目上の人に対する不遜でぶしつけな態度や、自分が原因で起こった厄介事を仲間に押し付け、
好きな女の子の所に行ってしまうなど、少し常識がなさ過ぎです。

○グラフィック
人物のアクションが過剰な所があったり、ポーズに変なものがあったり、動きが不自然だったり。背景が綺麗なだけに浮いていて勿体なかったです。

○戦闘
タイミングよく防御ボタンを押さないと、ボス戦は勝てないもの多数。
遊び手に技術力と反射神経が求められます。

○サブイベント
基本的にサブイベントは２周目以降でないと最後まで見れません。
また、サブイベントで仲間になるキャラがいるんですが、話に一切絡んできません。
好きなキャラだけに残念でした。

○演出、脚本
キャラはイベント度に長い自分語りを始めます。
敵の目前で延々自分語りしたり、悩んでいたのに長い独り言で自己完結したり…。
意味不明な理屈で、変な答えに辿りつく人が大半で置いてけぼりにされます。

○メッセージ性、テーマ性
言いたい事は分かるし、深いテーマなんですが、上手く調理出来ていないので、
説教臭さや、製作者の自己満足、ナルチシズムが透けて見えて、不快感の方が大きいです。

作品中での主張は、【現実＞＞ゲーム世界】と「現実逃避するな」みたいな事をキャラが散々訴えているのに、作中で【ショパンの夢の世界＞＞ショパンの現実】という「現実の世界の否定」がなされているという矛盾もあり…。

COMMENT

結論から言うと長所の裏返しが短所です。はっきり言って、好みが分かれますね。

・物語りの考察が好きな人には向いているが、逆に作中で伏線や謎が全て解けるのが好きな人には向かない。
・戦闘に自分の技術が求められる方がやりがいがある人にはいいが、そうでない人には向かない。

もう少し、上手く調理出来れば、傑作にも名作にも成り得たでしょうね。
とにかく色々と惜しい作品でした。