【PS3】リトルビッグプラネット
発売元 | ソニー・コンピュータエンタテインメント (オフィシャルサイト) |
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発売日 | 2008-10-30 |
価格 | 5980円(税込) |
レーティング | 【A】全年齢対象 (CERO について) |
ショップ/リンク | Amazon |
タギングトップ3 | |
タイトル概要 |
■ ジャンル:アクション ■ プレイ人数:1〜4人 ■ DUALSHOCK(R)3同梱版:7,980円 【廉価版】 ■ 発売日:2009/09/03 ■ 価格:2,980円 |
GOOD!
・オリジナリティー … 5点
ある意味、ただの横スクロールアクションです.
しかしながら、プレイヤーキャラクターを素材から小道具に至るまで多彩に装飾できるカスタマイズ性によって、シンプルなアクションがこれまでにない楽しみと緊密に結び付いています.
そして何よりも、きわめて表現性の高いクリエイトモードの存在は、このゲームのオリジナリティーをリファレンス実装のレベルにまで高めていると言えるでしょう.
・グラフィックス … 5点
PS3やxbox360で制作されるゲームの殆どが、既存の「CG的な質感」を向上させるという点のみに映像技術を傾注しているのに対し、このゲームのグラフィックスは「現実的な質感」を高品質で表現することを目的としています.
実写と遜色ないリビッツの素材感や、スポンジやソファ生地で作られたオブジェクト、鉄材・木材などなど、どれもこれも日本の大作RPGや海外のFPSでは到底拝み得ないような再現度です.
パッと見の「美麗」を追求する映像が多いなかで、カメラを肉迫させるほどその凄味がいや増す『リトルビッグプラネット』のグラフィックスは、「適確」を目的とした独自性に溢れるものになっています.
こうして「適確」に再現された質感が、それそのものとして使われるのではなく、おとぎ話のような世界観を構築するために用いられているので、映像に対する感動は持続的です.(たとえば、セロハンを表現するためではなく、セロハン「炎」を表現するための「適確」さですから、その圧倒的な質感に対する感動が様々な場面で生じてきます)
・熱中度 … 5点
ストーリーモードに関しては、良い意味で「やめどき」が見つかるというか、イラついてきたら適度なところで切り上げることができます.それでいていつまでも飽きが来ないので、この種のゲームとしては理想的な熱中度を確保していると言えるでしょう.
ただし、クリエイトモードに手を出すと時間を忘れて没入することになります.特別な創造性を持たないユーザーでもかなりのものが作れますから、熱中度は尋常ではありません.
・満足感 … 5点
誰もがクリエイトモードに取り組むわけではないでしょうが、こういう拡張性が盛り込まれているというだけでも充足感が得られると思います.用意された無限の可能性をどこまで遊び尽くせるかはユーザーサイドの問題であって、たとえクリエイトモードに触れないままソフトを放り出したせいでボリューム不足を感じても、それは制作サイドの責任とは言えません.
また、自分でクリエイトしなくても他のユーザーが制作したステージをダウンロードするだけで事実上いつまでも遊び続けることができます.これ程の満足感を与えられるゲームは滅多にないでしょう.
・快適さ … 4点
インターフェイスはよく練り込まれていて快適そのもの.ただ、ロードが長く感じられます.
アクション自体については、挙動に慣性が含まれるため、ジャンプが重たげであったり着地点で滑ったりと、思うように操作できないことが多いです.
しかし、それはこのゲームの根底にある素材感の表現というテーマに関わる問題で、仮にプレイヤーキャラクターだけがゲーム的に物理法則を無視して動ける仕様になっていたとしたら、それはそれで不満が出たのではないかと思われます.
文句があるほどではありませんが、ロードの長さと、人を選びそうな挙動にマイナス1点.
BAD/REQUEST
・サウンド … 3点
長くプレイしていても飽きさせない絶妙な曲が多いのですが、もう少し自己主張してもらいたいところです.
総評としての不満にも関わってきますが、『リトルビッグプラネット』は新世代標準のレベルに達しているゲームです.それなのに、どうも万事において控えめで、キャッチーな側面に乏しすぎる印象が強い.
せめて音楽くらいは、耳に残って離れないような、本作を代表する楽曲を押し付けてくれても良かったのではないでしょうか.
・難易度 … 4ポイント
アクションゲームとしての手応えは十分です.歯ごたえがあり、ハードゲーマーでもかなり楽しめるでしょう.難度の高さは評価できる部分でもあります.
しかし、この作品を広く普及させるという観点からすると、些か難しすぎる.
誰が見ても感服できる見事なセンスや、途方もない完成度、ジャンルの普遍性からいって、『リトルビッグプラネット』の発売を契機にPS3が著しく販売台数を増やしてもいいくらいなのに、世間ではあまり知られておらず、この作品の評価は「ゲーマーズゲーム」としての絶賛に留まっているきらいがあります.正直、勿体無い.
それには、宣伝の稚拙という作品外の問題のみならず、DSで『脳トレ』しかやったことのないような女性に「PS3とセットで買え」と薦めるには難度が高すぎるという作品内の問題も影響しているのではないでしょうか.実際、一緒にプレイしている妻には手に余る場面が少なくないようです.
ストーリーモードはもう少し簡単でも良かったと思います.
・ストーリー
独特の物語がないわけではないのですが、これだけの拡張性を誇るなら、ストーリーモードは「愛と感動のおとぎ話」にしてしまっても差し支えなかったはず.
チュートリアルの途中でクリエイトモードに引き摺られてしまうのも、ストーリーに対する注意を散漫にさせます.
・その他
オンラインで他のユーザーが作ったステージを検索する機能に不満が残ります.自己満足のきわみのようなひどいステージに入ってしまった上に、それが海外のユーザーの手になるものであったりすると、徹頭徹尾わけがわからん状態が続いてかなりガックリきます.タグ付けを明確にして、国別の検索機能を実装してほしいです.
ストーリーモードで入手できるアイテムだけでも十分ですが、ダウンロードできるアイテムが有料のものばかりだと、なんだか悔しい.大したものでなくても構わないので、もっと無料アイテムを配信して欲しいところではあります.
宣伝が下手です.買ってみるまでどんなものだかよくわかりません.
COMMENT
絶賛に値する大変な傑作だと断言できます.
ただ、やはり「勿体無い」という気分は拭えません.
ストーリーモードの難度を下げ、物語性を高め、ムービーなども差し挟んで、作品を代表するような音楽を用意し、それでもっと一般層にアピールすれば、Wiiの存在意義を消滅せしめるほどの決定的なライトユーザー向けタイトルにもなり得たものを……
総じて言えば、「万人向けなのに人を選ぶ」という、その点だけが惜しまれます.