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【PS3】428 ~封鎖された渋谷で~

発売元 スパイクオフィシャルサイト
発売日 2009-09-03
価格 7140円(税込)
レーティング 【C】15才以上対象 (CERO について)
ショップ/リンク Amazon
タギングトップ3
タイトル概要 ■ ジャンル:サウンドノベル
■ プレイ人数:1人

【廉価版】
■ 発売日:2010/12/02
■ 価格:3,444円



オリジナリティー グラフィックス サウンド 熱中度 満足感 快適さ (難易度)
4pt 4pt 4pt 5pt 4pt 3pt 2pt
総合点
81pt

GOOD!

 昔、「かまいたちの夜」を楽しんだプレイヤーです。
 本作は、ノベルゲームに少しでも興味のある人には、やってもらいたい良作だと思いました。

<良い所>
■熱中度、満足感
◎ストーリー
 多くのレビューアーが書いておられる通り、本編のストーリーがとても面白かったです。加えて、一つ一つの文章もとても良かったと思います。ボーナスシナリオ1も感動しました。

◎複数の主人公
 一つの事件に、複数の登場人物がそれぞれの視点から絡んできます。はじめは各主人公同士の交わりは緩やかなものですが、各々がやるべきことをやった結果、1つのエンディングに集結していきます。
 困難を乗り越えエンディングを迎えた時には、プレイヤーである自分も、登場人物達と共にやるべきことを果たした、という達成感がありました。

○BADエンド
 このゲームでは、1人の選択が他の人の運命に影響を与えることがあります。
 現実では決して知ることのできない、「もし彼が、あの時、あの行動をしていたら(orしていなかったら)」を体験できるのが、一番の見どころだと思います。
 この話はテレビドラマで観ても面白いと思いますが、“もし”が体験できるのはゲームという形式ならではですね。

○キャラクター
 登場人物、演じる役者とも印象に残りました。皆、ドラマに出てくるような個性的な人物なのですが、そのコミカルさ、熱さ、などが妙に納得でき、あまり不自然には感じませんでした。また、脇役陣もそれぞれ味があって良かったと思います。

■グラフィックス
 「かまいたちの夜」が“人物の影”を表示するだけで、プレイヤーの想像に任される部分が大きかったのに対し、本作は“実写”です。
 想像の余地が全くないというところはあるのですが、反面、静止画にも関わらず迫力のある絵が表現されていたと思います。これは、ゲーム画面は大半が静止画なのに、現場では実際にドラマ仕立てで演技をしていたためのようです。実写も意外に悪くないんだなと、納得させられました。着ぐるみのタマもとても可愛かったです。

■音楽
 このゲームは、一時間ごとにシナリオが区切られており、その時間の全シナリオを終えると、次回時間帯の予告のような演出が入ります。その時の、映像や音楽がとても熱かったです。

 上木彩矢さんの主題歌も効果的に使われていたと思いました。特にエンディングへの入り方はよかったですね。上木さんは劇中の人物なのかと思ったら、現実に存在する歌手なのですね。
 ただ、ひとつ突っ込ませていただきたいのは、現在流行っているという設定のこの曲を、あんなことに使ったら…いつどこでアレするやら計算できないのでは!?

BAD/REQUEST

<悪い所>
 本編に決定的に駄目というところはなかったように思います。ただし、本編以外のボーナス部分が私は面白くなかったです。

■満足感
▲本編以外
 最近のゲームにボーナス要素はもはや必須の感がありますね。

・『ボーナスストーリー』
 選択肢により結果が変わるというものではなく、ただ文章を読んでいくだけのものです。つまりゲームではないのです。私はまずそこが今ひとつだと思いました。
 ボーナス2に関しては、本編では、実写で身近な“人間”を扱っているのに対し、アニメならではの“超人”を描いているところに違和感を感じました。

・『21個のスペシャルエピソード』
 ボーナスシナリオとして、脇役達のエピソードが読めます。しかし、それを出すのが面倒くさい。ある画面で、しばらく待ってからボタン入力しなければならないのです。
 その場面自体が、バッドエンドの途中にあることもあるので、まず条件を整え読み進める必要があります。さらに、40〜150秒じっと待ち続けていないとその画面で合っているかどうかが分かりません。そして、そこまでして獲得したシナリオがどうでもいいものばかりだと感じました。

 トロフィー獲得のための作業でしかなく、正直、時間だけがかかって楽しいことではありませんでした。純無駄時間を浪費させられているなぁ、という思いとともに、本編での感動が徐々に冷めていく感覚がありました。

△本編ストーリー:面白かったのですが、よく考えると妙なところもちらほら。
1.ある人物
 この人の行動はプレイヤーだけでなく、劇中の人物達もびっくりだったのではないでしょうか。人はそこまで突発的に行動できるものでしょうか?
 また彼はあるBAD ENDで主人公の1人を殺してしまいますが、この人の行動目的からして本末転倒でありえないことだと思いました(BAD ENDは時に整合性が今一つ)。さらに、その主人公の母親が死ぬ回想シーンも意味不明。一体、あなたは何を撃ったんだ!?

2.黒幕の計画
 犯人はわざと穴を作っているという設定ですが、やはり穴が大き過ぎると思います。
 製作者側も気付いていたようで、「犯人はなぜ(人名)を利用するという確実な方法を選ばなかったのか」という主旨の発言を主人公の一人にさせています。しかし、それに対する答えはありませんでした。
 更にもっと根本的な疑問があります。そもそもこの事件、“真の××”の所属スパイが直接(人名)を買収していれば、それで終わりだったのではないでしょうか? 一般人を巻き込んだり、渋谷を壊滅の危機に陥れることは、彼らの本意ではなかったはずです。

3.中○の工作員
 渋谷という限定された地域を扱っているにも関わらず、関係してくるのが中○の工作員…本編プレイ中から違和感を感じていました。最低でも日本人の工作員を使わないと目立ってしかたがないと思うのですが。

 その他にも細々ありますがこの辺で。

▲血の表現
 あまりにチャチでした。実写のマイナス部分がでてしまいました。

▲428(題名)
 私ははじめ店頭で見たとき、何のジャンルのゲームかわかりませんでした。「よんにーはち」が正式名称らしいですが、“渋谷”のことですね。四谷かもしれませんが、いずれにせよ私には馴染みがありません。
 東京の具体的な地名が出てくることに、少なからず抵抗があるのですよね。ひょっとすると自分だけが知らないのかもしれないという疎外感、または、製作者側が内輪で勝手に盛り上がっているのかもしれないという疑心暗鬼感、とでもいうのでしょうか。
 もし地方での売り上げが芳しくないとすると、この題名が原因ではないか…と想像してしまいます。

COMMENT

【感想】
 今回、久々にノベルゲームをやりましたが、面白かったです。ただし、MK2の注意書きにもあるとおり、ジャンルを越えての点数比較はしない方がいいと思います(現在非常に高得点ですが)。

 私がはじめてノベルゲームをやったのは「かまいたちの夜」(1994年)です。その作品に大変熱中したのですが、続いて他社から出た類似ゲームは、よくある話ですが、あまり質のいいものがありませんでした。そして、これならば!と期待し、予約までして買った「かまいたちの夜2」が全く楽しめず、その後このジャンルのゲームを全くやらなくなってしまいました。

 今後ノベルゲームというジャンルがどうなっていくか分かりませんが、またいつか、こういう良質の作品に出会いたいものです。

 最後に、主人公の1人である記者の発言に、レビューをする際、心に留めておきたい言葉がありましたので紹介させていただきます。

 『客観性がなければ事実は伝わらない。主観性がなければ思いは伝わらない。』

 セリフの一つ一つまで磨かれている。名作と呼べる作品だと思いました。

   
プレイ時間:30時間以上60時間未満(クリア済)
ゲッチュー上田さん(Webサイト)  [2010-03-20 掲載]

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総合ポイント
86
(難易度)
1.90
レビュー数
29
スコアチャート 428 ~封鎖された渋谷で~レビューチャート

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90-100
【60点以上】
82.8%
【標準偏差】
16.81