プラチナトロフィー獲得済み。 私は少年ジャンプで原作を読んでいました。アニメは見たことがありません。 <ゲーム紹介> 本ゲームには以下のモードがあります。 ・伝説編…原作ストーリーを追うアクションアドベンチャー。全5キャラ。 ・幻闘編…無双ゲームです。全8キャラ。 ・挑戦編…1対1で戦う。オンラインランキング対応。 ・入門編…練習モード。 ・ギャラリー…北斗事典、ムービー、サウンド 操作できる登場キャラクターは8人です。その他、敵として何人かいます。 ・北斗タイプ…ケンシロウ、トキ、ラオウ ・南斗タイプ…レイ、シン、サウザー ・特殊タイプ…マミヤ、ジャギ 本作は、北斗の拳の世界観を表現するために、「従来の無双」+「ボスとの1対1アクション」という2つの要素の融合を目指したものだと思います。 <良い所> ◎“北斗の拳”の世界を表現できている 北斗のゲームははじめてやりましたが、本作は十分、原作の世界を表現できています。各キャラの技やモーション、伝承奥義(必殺技)もそれぞれ雰囲気が出ていて良かったと思いました。 ゲームですから、原作と全く同じかどうかではなく、雰囲気を受け継いでいることが大事だと思います。中でもラオウ、レイ、サウザー辺りは特に素晴らしい出来だと思いました。トキはもうちょっとがんばって欲しかったです。 ○挑発 L1+L3同時押しで出せる挑発は、本作ではかなり実用的な意味があります。挑発をすると敵が一箇所に集まり、その後一斉に攻撃してきます。その一箇所に集まった時に範囲の広い攻撃をぶちあてると、気持ちがいいです。 ○伝承奥義 挑発からの奥義は、このゲームの一番面白いところかもしれません。 奥義とは、他のゲームでいう、MP(本作では闘気)を使っての必殺技のようなものです。ちなみに本作での必殺ゲージというものは、真・伝承奥義のレベル(1〜3)のことを指し別物です。 真・伝承奥義とは、まず残り闘気ゲージを全部使って、戦闘能力が高い状態にします(闘気覚醒)。その上で奥義を使うと特別な奥義が出るというものです。これが強く、残りゲージが1の時は迷わずこちらを使ったほうがいいです。サウザーの真・奥義は演出も含めて特に良かったです。 【各編について】 ・伝説編 もちろん原作全部を再現するわけにはいきませんので、省略はあるのですが、原作で印象に残ったシーンは上手く再現できていたと思います。“ケンシロウ対ラオウ”“トキ対ラオウ”などは特に良かったです。サウザーの最後はもうちょっとがんばって欲しかったです。 ・幻闘編 ミッション遂行型の戦国無双系に似ています。そのため、別キャラで同一ステージを使っても全く同じになりません。これは伝説編も同じで、同じステージを通っても、ルートや行動が違っています。この辺りのちょっとした工夫が嬉しかったです(ただし、使い回し量自体が多く、ステージ中盤以降の展開が同じになることもよく有りました)。 また、両編ともキャラ同士のかけあいが面白かったです。
<悪い所> 長くなりますが、メーカーさんに対しても書いておく必要があると思いましたので、書きます。一言でまとめると、“テンポが悪い”です。 【演出に関して】 (1)「動きが重い」 移動のはじめに変な“重み”がついています。回転に関しても同様に重く、キャラの立ち位置や角度を微調整することが難しいです。これは過去の無双ゲームにもあるものなのですが、本作は特に重いです。北斗の拳の世界を表現するためにワザとそうしたと思いますが、不快です。 ただし、少し走り続けると、走り方が変わり、移動スピードがアップするところは良かったです。 (2)「遅いモーション」 はじめから使える主人公のケンシロウが、元々パワー系の遅キャラです。それにつけても遅い! 成長すると無意味に思えたチャージ攻撃の間(ま)に連続蹴りなどが挿入されるので、はじめほど遅くは感じなくなるのですが、1、2発目のパンチがスローなことは変わりません。全体的に1.5〜2倍速でよかったと思います。 (3)「遅い演出」 キャラの起き上がりがとんでもなく遅いです。ノロノロノロノロ“もうフラフラっす”という感じで起き上がります。時間制限イベントなどではとてもイライラします。 奥義を決めたあと、バン、バン、バン、と3方向からキメカットと技名が入ります。はじめの一回だけか、ボスや中ボスに止めを刺したときだけでよかったのではと思います。 さらに、多くのキャラはそのキメカットの後に、まだそこから隙があります。例えば、マミヤの初期奥義では、髪をかき上げるカットが入ります。敵が先に起き上がって、こちらの無敵が切れるの待っているぐらいです。 ステージオブジェクトがアップになるカットシーンがよく入ります(ここを弓で撃てという合図など)。その時、自キャラは操作不能になりますが、飛んできている矢や、敵は(攻撃はできないものの)動いています。どうして、全部を一瞬停止するようにしなかったのでしょうか。 顔有りキャラと遭遇するたびにショートムービーが流れます。会ってすぐ流れるのならいいのですが、すでに連続攻撃に入っている最中でも容赦なく分断されます。また、それが専用のムービーではなく、ある程度汎用性のあるもので、同じキャラに対してはどこで会っても同じセリフをいいます。オプションでキャンセルできるべきだったと思います。 【戦闘に関して】 (1)テンポの悪さ キャラの動きや演出以外に、戦闘自体に関してもテンポが悪いです。 顔有りキャラや中ボスは、こちらが2回連続攻撃を決めたり、奥義を決めた後、起き上がりに必ず無敵状態で全方位にふっとばし攻撃をします。よって、一気に畳み込めず、待っていなければなりません。やるなら、ピンチになった一回だけにするとかでないと。 (2)敵の奥義 ボス系の敵は、こちらが攻撃を加えると頻繁に闘気覚醒状態や奥義を使ってきます。 前者はこちらも闘気覚醒すれば対抗できるのですが、ゲージを全部使いますので毎回はやっていられません。逃げ回ったり弓を構えたりして時間が過ぎるのを待ちます。 後者は、敵のゲージが溜まっているのは腕が光ることで認識できます。そして、奥義中の無敵を利用してこちらの攻撃にかぶせてくるのは見え見えです。しかし、分かっていても攻めるしか選択肢がなく、取れる対策は、せいぜい時間の長い奥義で互いに空かすぐらいです。 (3)敵のガードの堅さ 本作は、回避技と呼べるものを持っているのは、ケンとレイしかいません。よって、敵の攻撃を待っていてはジリ貧に陥ってしまい、こちらから敵を崩す必要があります。しかし、中ボス以上のガードは堅く、崩し方を知っておかないと、ただ殴りかかるだけのとんでもなく単調なゲームになってしまいます。 “顔有りキャラ”は、基本的にジャンプ攻撃でガードを破れます(×押してすぐに□)。しかし、攻撃後の隙が大きいキャラは続いての攻撃が間に合いません。トキやマミヤは割と安定して入ります。 ケンシロウは、ダッシュ攻撃が強いです。無双シリーズ伝統どうり、7歩走ればダッシュ攻撃が出ます。どちらも駄目なキャラはもう奥義で勝負です。通常技から投げにつなげるのも時々通ります。 “中ボス(太め&巨人タイプ)”は特にガードが堅く、更にこちらの攻撃モーションを無視して技を重ねてくる強敵です。正直、ちょっと強すぎるのではないかと感じました。 特殊系は、マミヤは通常攻撃で安定して、またジャギもチャージ3で崩せます。南斗系は見切りに集中してなんとかする。北斗系はラオウはチャージ3で強引にいけますが、ケンは危なくなったら回避、トキは奥義で対抗するしかないかも。 というように、いくつか対抗策はあります。しかしです、こんなやり方はそんなに面白い勝負ではありません。こちらの攻撃の隙はジャンプキャンセルで消せるので、一応テクニカルに戦うことはできます。しかし、回避としては少し弱く、何より頻繁にピョンピョン飛ぶのは雰囲気がそがれます。 そこで、まず中ボスはガードを固めるのではなく攻めさせる。そして、ケンやレイのような回避行動を全キャラ標準装備しておけば、アクションゲームとして成立していたのではないかと思います。 【各編について】 ■伝説編 ボスを倒した後に必要な○×□△入力は、私も他の方々と同一の評価です。私はそこそこできる方なのですが、少なくとも面白いとは感じませんでした。1個でもミスすると、敵の体力が最終形態まで全回復するというのは、プレイヤーのやる気をそぐに十分です。 ■幻闘編 ケンシロウやサウザーなどは、「スローな動き+攻撃範囲狭い」なので、多数の敵を倒すには通常攻撃ではやっていられないです。挑発を使って、一箇所にまとめ、奥義で葬るしかありません。 結局、いかにゲージを溜めて奥義を使うかというゲームになっています(幸い、奥義自体は使っていて気持ちがいいです)。通常攻撃の速度と範囲をもう少し上げるべきだと思います。 また、私が無双シリーズで気に入らないのは、体力(HP)や闘気(MP)回復アイテムを持てないことです。一々回復アイテム探しの旅に出なければなりません。ストックしておいて、「周りに敵がいない時に使える」というようにならないものでしょうか。 さらに、本作は回復アイテムが尽きるととんでもなく厳しくなります(体力が減ってもMPが自動回復しない)。ご利用は計画的に。 ■挑戦編 2つのモードがあります。「北斗四連破」と「南斗五連破」。顔有りキャラと1対1の勝負をします。 敵の強さは、体感で難易度ハードの“死闘の兆し”と同じだと思います。ところが、闘気ゲージが0ではじまるうえに、回復アイテムが0なので、難しさははるかに上回ります。 4〜5回チャレンジしてみたのですが、実はどちらも一人目に勝てませんでした。オンラインランキングを見てみると…何も表示されないのですが、誰もクリアしていないということでしょうか!?本腰入れてがんばったとしても…自信は限りなく無いです。 一応、このモードはキャラを鍛える目的として入れたのだと思いますが、残念ながらないものと考えた方がいいかもしれません。 ▲死闘の兆し 伝説編で1度やったステージを再度やると、7つ目に「死闘の兆し」という項目が加わります。そして7つのミッションに成功すると「強敵(ステージボス)が全力で襲いかかってくるようになる。技量ポイントを大量に獲得する。」という効果がある、とのことです。この死闘の兆しにはびっくりすることが3つありました。 (1)ボスの攻撃力がかなり高くなります。難易度ハードでやると、攻撃を正面から食らおうものなら一撃死もありえます。また、防御力も高く、戦闘時間が長くなります。 (2)○×△□入力が凄いことになります。通常は、ハード1面だと4→4→4ぐらいです(1セットの入力は4秒以内ぐらいかな)。難易度ハードで、死闘の兆し状態にするといきなり8コきました。「まさか、8コ×3〜4セットくるのか!?」と覚悟はしましたがまだ甘かった。7セット目に入り動揺を隠し切れず撃沈。数回やりましたが駄目でした。 後日、難易度ノーマルで再挑戦。今度は並びが“□△□△○□○×”などで多少規則性があります(ハードはおそらくランダム)。たぶん8コ×8セットで終了だっと思いますが、ノーマルですらもう2度とやりたくないですね。真の最強敵は○×入力というのがカオス!メインイベントはどっちなのかよく考えて! (3)最後にもう一度驚かされました。通常、もらえる技術ポイントは合計で100なら少ない、300ならまあいいというぐらいの感覚です(999でカンスト)。 死闘の兆しの説明には技術ポイントが大量に入ると書いてあるので「これだけの難易度なのだから600ポイントぐらいもらえるのかな。いやいや贅沢はいえません」とほくそえんでいました。 で、「最強敵撃破成功!+30ポイント獲得」。ある意味、衝撃的でした(笑) 【グラフィクス】 全体的に、他の会社の進歩に追いついていないな、という印象を受けました。ただし、エンディングにはセンスを感じました。 ・コスチュームについて 初回特典として、ケンシロウの原作コスチュームがダウンロードできました。初回でなくとも300円でDLできます。しかし、本編のコスチュームが良く出来ていることもあって、しょぼく見えました。また、ほとんどのキャラクターは2つ目のコスチュームを持っていません(髪が白いだとか、上半身が裸だとかその程度)。気分を変えてプレイすることができませんでした。 ・キャラクター 表情や、顔色はよくできていたと思います(これは良い点)。ただし、髪が固定なのです。最近のゲームは髪がさらさらしているものが多いと思いますが、本作は一世代前のグラフィックスだと感じました。 ・ステージ ステージの各箇所に多くの使いまわしがあります。それはいいのですが、見分けが付きにくく道に迷うことがありました。また、世紀末の荒廃した世界を描いているため、全編に渡って茶色く、気分のよいものではありませんでした(世界観を表現するうえでは仕方がないことだと思いますが)。 【音楽】 私は、音楽にはこだわりがない方なのですが、本作に関しては全体的に今ひとつだと感じました。ただし、幻闘編エンディングの谷村奈南さん“FAR AWAY”は北斗の拳の世界観とマッチしていて良かったと思います。 ・効果音 全体的によくなかったです。 ?バイクや馬で敵をひいた時の音が軽すぎ。?北斗有情拳を決めた時の音が、太い中ボスにガードされたときの「ぽよん」と全く同じで、敵を倒している気がしない。?壁を登る時のグラフィックもひどいが、「ペッタペッタ」という音がさらに悲しい。 【その他】 ・初期状態が弱い 完成形から、能力を削っていって初期状態のキャラクターを作っていると思いますが、削りすぎだと思います。私もはじめ「なんだこのゲーム…地雷踏んじゃったか!?」と思いましたもの。ジャンプやダッシュによる敵の崩し方に気が付くまで、ただ単に殴りかかる以外にやることがありません。ゲーム序盤がとても単調なのです。 ・トゲ付きの中ボス 殴りかかってもこちらがダメージを受けるだけの相手です。倒すには物で殴るか、貴重な奥義ゲージを使用しなければなりません。これは必要のないキャラでした。 ・カメラワーク シン戦などで気付いた方も多いと思いますが、敵がケンシロウの背中で完全に隠れています。また、他にも地面スレスレのところにカメラが移動したり、全般的にアングルが不安定でした。 ・ジャンプ 画像では足まで完全に飛び越え、さらに余裕があっても飛び乗れなかったりします。 例外として、レイはジャンプ攻撃をすると少し高く飛んで後ろに下がります。これを利用すると直接ジャンプで上がれないはずのところに登れたりして楽しいです。
<感想> プラチナトロフィーを獲得するまでやっておきながら、微妙な評価です。いろんなところでバランスがおかしいです。 振り返ってみて、このゲームの面白かったところの8割が「北斗の拳の面白さ」だったかもしれません。「1対1アクション」として、あまり出来のいいものではありません。また、不快な要素が多々あり「無双ゲーム」としても今ひとつです。 しかし、それでもです、北斗の拳のキャラクターの雰囲気が十分出ており、それを自分の手で動かせるということは、この上もない喜びでした(あとシュウが使いたい)。 メーカーさんは、1対1アクションに関して研究が不足していると思います。昔、三國無双2で呂布がちょっとした隙に体力全回復するというのがありましたが、今回の○×△□入力にもその系統の臭いを感じました。 「ただ難しくする」ということにばかりに捉われるのではなく、「そのイベントによって、ユーザーが何か少しでも楽しめるのか?」を真剣に考えて欲しいと思います。ボタン入力はあってもいいですが、だからといって最終形態の体力が全回復するというのは、誰がどう考えても面白いことではないはずです。入力失敗による“罰”を与えるのではなく、入力成功によりフィニッシュの演出が変わるなどの“褒美”を与えるようにしなければ。 一方、本作には光るところもありました。特に、南斗系の“見切り”からの連続攻撃はなかなか爽快でした。レイの空中連続技は最終的に8回と表示されるのですが、表示が6回の時点で14回攻撃できていました。バグなのか仕様なのかは分かりませんが、“見切り”→“地上7発+蹴り上げ”→“空中13発+強1発”→“地上7発+強2発”などの連続技は、気持ちが良かったです。この辺りの仕組みを軸に、今後がんばっていって欲しいと思いました。期待はしています。 最後に本作がお勧めかどうか言っておきます。 純粋にアクションゲーム、あるいは無双ゲームとして見ると…北斗ファンとしては苦渋の決断ですが、私は強くお勧めはできません。 しかし、キャラクターはよく考えて作られており(ゲームの快適さを捨ててまでも)、私自身はそれなりに熱中しました。キャラクターゲームとしては良く出来ている方で、原作ファンにはお勧めしてもいいのではと思います。
GOOD!
プラチナトロフィー獲得済み。
私は少年ジャンプで原作を読んでいました。アニメは見たことがありません。
<ゲーム紹介>
本ゲームには以下のモードがあります。
・伝説編…原作ストーリーを追うアクションアドベンチャー。全5キャラ。
・幻闘編…無双ゲームです。全8キャラ。
・挑戦編…1対1で戦う。オンラインランキング対応。
・入門編…練習モード。
・ギャラリー…北斗事典、ムービー、サウンド
操作できる登場キャラクターは8人です。その他、敵として何人かいます。
・北斗タイプ…ケンシロウ、トキ、ラオウ
・南斗タイプ…レイ、シン、サウザー
・特殊タイプ…マミヤ、ジャギ
本作は、北斗の拳の世界観を表現するために、「従来の無双」+「ボスとの1対1アクション」という2つの要素の融合を目指したものだと思います。
<良い所>
◎“北斗の拳”の世界を表現できている
北斗のゲームははじめてやりましたが、本作は十分、原作の世界を表現できています。各キャラの技やモーション、伝承奥義(必殺技)もそれぞれ雰囲気が出ていて良かったと思いました。
ゲームですから、原作と全く同じかどうかではなく、雰囲気を受け継いでいることが大事だと思います。中でもラオウ、レイ、サウザー辺りは特に素晴らしい出来だと思いました。トキはもうちょっとがんばって欲しかったです。
○挑発
L1+L3同時押しで出せる挑発は、本作ではかなり実用的な意味があります。挑発をすると敵が一箇所に集まり、その後一斉に攻撃してきます。その一箇所に集まった時に範囲の広い攻撃をぶちあてると、気持ちがいいです。
○伝承奥義
挑発からの奥義は、このゲームの一番面白いところかもしれません。
奥義とは、他のゲームでいう、MP(本作では闘気)を使っての必殺技のようなものです。ちなみに本作での必殺ゲージというものは、真・伝承奥義のレベル(1〜3)のことを指し別物です。
真・伝承奥義とは、まず残り闘気ゲージを全部使って、戦闘能力が高い状態にします(闘気覚醒)。その上で奥義を使うと特別な奥義が出るというものです。これが強く、残りゲージが1の時は迷わずこちらを使ったほうがいいです。サウザーの真・奥義は演出も含めて特に良かったです。
【各編について】
・伝説編
もちろん原作全部を再現するわけにはいきませんので、省略はあるのですが、原作で印象に残ったシーンは上手く再現できていたと思います。“ケンシロウ対ラオウ”“トキ対ラオウ”などは特に良かったです。サウザーの最後はもうちょっとがんばって欲しかったです。
・幻闘編
ミッション遂行型の戦国無双系に似ています。そのため、別キャラで同一ステージを使っても全く同じになりません。これは伝説編も同じで、同じステージを通っても、ルートや行動が違っています。この辺りのちょっとした工夫が嬉しかったです(ただし、使い回し量自体が多く、ステージ中盤以降の展開が同じになることもよく有りました)。
また、両編ともキャラ同士のかけあいが面白かったです。
BAD/REQUEST
<悪い所>
長くなりますが、メーカーさんに対しても書いておく必要があると思いましたので、書きます。一言でまとめると、“テンポが悪い”です。
【演出に関して】
(1)「動きが重い」
移動のはじめに変な“重み”がついています。回転に関しても同様に重く、キャラの立ち位置や角度を微調整することが難しいです。これは過去の無双ゲームにもあるものなのですが、本作は特に重いです。北斗の拳の世界を表現するためにワザとそうしたと思いますが、不快です。
ただし、少し走り続けると、走り方が変わり、移動スピードがアップするところは良かったです。
(2)「遅いモーション」
はじめから使える主人公のケンシロウが、元々パワー系の遅キャラです。それにつけても遅い!
成長すると無意味に思えたチャージ攻撃の間(ま)に連続蹴りなどが挿入されるので、はじめほど遅くは感じなくなるのですが、1、2発目のパンチがスローなことは変わりません。全体的に1.5〜2倍速でよかったと思います。
(3)「遅い演出」
キャラの起き上がりがとんでもなく遅いです。ノロノロノロノロ“もうフラフラっす”という感じで起き上がります。時間制限イベントなどではとてもイライラします。
奥義を決めたあと、バン、バン、バン、と3方向からキメカットと技名が入ります。はじめの一回だけか、ボスや中ボスに止めを刺したときだけでよかったのではと思います。
さらに、多くのキャラはそのキメカットの後に、まだそこから隙があります。例えば、マミヤの初期奥義では、髪をかき上げるカットが入ります。敵が先に起き上がって、こちらの無敵が切れるの待っているぐらいです。
ステージオブジェクトがアップになるカットシーンがよく入ります(ここを弓で撃てという合図など)。その時、自キャラは操作不能になりますが、飛んできている矢や、敵は(攻撃はできないものの)動いています。どうして、全部を一瞬停止するようにしなかったのでしょうか。
顔有りキャラと遭遇するたびにショートムービーが流れます。会ってすぐ流れるのならいいのですが、すでに連続攻撃に入っている最中でも容赦なく分断されます。また、それが専用のムービーではなく、ある程度汎用性のあるもので、同じキャラに対してはどこで会っても同じセリフをいいます。オプションでキャンセルできるべきだったと思います。
【戦闘に関して】
(1)テンポの悪さ
キャラの動きや演出以外に、戦闘自体に関してもテンポが悪いです。
顔有りキャラや中ボスは、こちらが2回連続攻撃を決めたり、奥義を決めた後、起き上がりに必ず無敵状態で全方位にふっとばし攻撃をします。よって、一気に畳み込めず、待っていなければなりません。やるなら、ピンチになった一回だけにするとかでないと。
(2)敵の奥義
ボス系の敵は、こちらが攻撃を加えると頻繁に闘気覚醒状態や奥義を使ってきます。
前者はこちらも闘気覚醒すれば対抗できるのですが、ゲージを全部使いますので毎回はやっていられません。逃げ回ったり弓を構えたりして時間が過ぎるのを待ちます。
後者は、敵のゲージが溜まっているのは腕が光ることで認識できます。そして、奥義中の無敵を利用してこちらの攻撃にかぶせてくるのは見え見えです。しかし、分かっていても攻めるしか選択肢がなく、取れる対策は、せいぜい時間の長い奥義で互いに空かすぐらいです。
(3)敵のガードの堅さ
本作は、回避技と呼べるものを持っているのは、ケンとレイしかいません。よって、敵の攻撃を待っていてはジリ貧に陥ってしまい、こちらから敵を崩す必要があります。しかし、中ボス以上のガードは堅く、崩し方を知っておかないと、ただ殴りかかるだけのとんでもなく単調なゲームになってしまいます。
“顔有りキャラ”は、基本的にジャンプ攻撃でガードを破れます(×押してすぐに□)。しかし、攻撃後の隙が大きいキャラは続いての攻撃が間に合いません。トキやマミヤは割と安定して入ります。
ケンシロウは、ダッシュ攻撃が強いです。無双シリーズ伝統どうり、7歩走ればダッシュ攻撃が出ます。どちらも駄目なキャラはもう奥義で勝負です。通常技から投げにつなげるのも時々通ります。
“中ボス(太め&巨人タイプ)”は特にガードが堅く、更にこちらの攻撃モーションを無視して技を重ねてくる強敵です。正直、ちょっと強すぎるのではないかと感じました。
特殊系は、マミヤは通常攻撃で安定して、またジャギもチャージ3で崩せます。南斗系は見切りに集中してなんとかする。北斗系はラオウはチャージ3で強引にいけますが、ケンは危なくなったら回避、トキは奥義で対抗するしかないかも。
というように、いくつか対抗策はあります。しかしです、こんなやり方はそんなに面白い勝負ではありません。こちらの攻撃の隙はジャンプキャンセルで消せるので、一応テクニカルに戦うことはできます。しかし、回避としては少し弱く、何より頻繁にピョンピョン飛ぶのは雰囲気がそがれます。
そこで、まず中ボスはガードを固めるのではなく攻めさせる。そして、ケンやレイのような回避行動を全キャラ標準装備しておけば、アクションゲームとして成立していたのではないかと思います。
【各編について】
■伝説編
ボスを倒した後に必要な○×□△入力は、私も他の方々と同一の評価です。私はそこそこできる方なのですが、少なくとも面白いとは感じませんでした。1個でもミスすると、敵の体力が最終形態まで全回復するというのは、プレイヤーのやる気をそぐに十分です。
■幻闘編
ケンシロウやサウザーなどは、「スローな動き+攻撃範囲狭い」なので、多数の敵を倒すには通常攻撃ではやっていられないです。挑発を使って、一箇所にまとめ、奥義で葬るしかありません。
結局、いかにゲージを溜めて奥義を使うかというゲームになっています(幸い、奥義自体は使っていて気持ちがいいです)。通常攻撃の速度と範囲をもう少し上げるべきだと思います。
また、私が無双シリーズで気に入らないのは、体力(HP)や闘気(MP)回復アイテムを持てないことです。一々回復アイテム探しの旅に出なければなりません。ストックしておいて、「周りに敵がいない時に使える」というようにならないものでしょうか。
さらに、本作は回復アイテムが尽きるととんでもなく厳しくなります(体力が減ってもMPが自動回復しない)。ご利用は計画的に。
■挑戦編
2つのモードがあります。「北斗四連破」と「南斗五連破」。顔有りキャラと1対1の勝負をします。
敵の強さは、体感で難易度ハードの“死闘の兆し”と同じだと思います。ところが、闘気ゲージが0ではじまるうえに、回復アイテムが0なので、難しさははるかに上回ります。
4〜5回チャレンジしてみたのですが、実はどちらも一人目に勝てませんでした。オンラインランキングを見てみると…何も表示されないのですが、誰もクリアしていないということでしょうか!?本腰入れてがんばったとしても…自信は限りなく無いです。
一応、このモードはキャラを鍛える目的として入れたのだと思いますが、残念ながらないものと考えた方がいいかもしれません。
▲死闘の兆し
伝説編で1度やったステージを再度やると、7つ目に「死闘の兆し」という項目が加わります。そして7つのミッションに成功すると「強敵(ステージボス)が全力で襲いかかってくるようになる。技量ポイントを大量に獲得する。」という効果がある、とのことです。この死闘の兆しにはびっくりすることが3つありました。
(1)ボスの攻撃力がかなり高くなります。難易度ハードでやると、攻撃を正面から食らおうものなら一撃死もありえます。また、防御力も高く、戦闘時間が長くなります。
(2)○×△□入力が凄いことになります。通常は、ハード1面だと4→4→4ぐらいです(1セットの入力は4秒以内ぐらいかな)。難易度ハードで、死闘の兆し状態にするといきなり8コきました。「まさか、8コ×3〜4セットくるのか!?」と覚悟はしましたがまだ甘かった。7セット目に入り動揺を隠し切れず撃沈。数回やりましたが駄目でした。
後日、難易度ノーマルで再挑戦。今度は並びが“□△□△○□○×”などで多少規則性があります(ハードはおそらくランダム)。たぶん8コ×8セットで終了だっと思いますが、ノーマルですらもう2度とやりたくないですね。真の最強敵は○×入力というのがカオス!メインイベントはどっちなのかよく考えて!
(3)最後にもう一度驚かされました。通常、もらえる技術ポイントは合計で100なら少ない、300ならまあいいというぐらいの感覚です(999でカンスト)。
死闘の兆しの説明には技術ポイントが大量に入ると書いてあるので「これだけの難易度なのだから600ポイントぐらいもらえるのかな。いやいや贅沢はいえません」とほくそえんでいました。
で、「最強敵撃破成功!+30ポイント獲得」。ある意味、衝撃的でした(笑)
【グラフィクス】
全体的に、他の会社の進歩に追いついていないな、という印象を受けました。ただし、エンディングにはセンスを感じました。
・コスチュームについて
初回特典として、ケンシロウの原作コスチュームがダウンロードできました。初回でなくとも300円でDLできます。しかし、本編のコスチュームが良く出来ていることもあって、しょぼく見えました。また、ほとんどのキャラクターは2つ目のコスチュームを持っていません(髪が白いだとか、上半身が裸だとかその程度)。気分を変えてプレイすることができませんでした。
・キャラクター
表情や、顔色はよくできていたと思います(これは良い点)。ただし、髪が固定なのです。最近のゲームは髪がさらさらしているものが多いと思いますが、本作は一世代前のグラフィックスだと感じました。
・ステージ
ステージの各箇所に多くの使いまわしがあります。それはいいのですが、見分けが付きにくく道に迷うことがありました。また、世紀末の荒廃した世界を描いているため、全編に渡って茶色く、気分のよいものではありませんでした(世界観を表現するうえでは仕方がないことだと思いますが)。
【音楽】
私は、音楽にはこだわりがない方なのですが、本作に関しては全体的に今ひとつだと感じました。ただし、幻闘編エンディングの谷村奈南さん“FAR AWAY”は北斗の拳の世界観とマッチしていて良かったと思います。
・効果音
全体的によくなかったです。
?バイクや馬で敵をひいた時の音が軽すぎ。?北斗有情拳を決めた時の音が、太い中ボスにガードされたときの「ぽよん」と全く同じで、敵を倒している気がしない。?壁を登る時のグラフィックもひどいが、「ペッタペッタ」という音がさらに悲しい。
【その他】
・初期状態が弱い
完成形から、能力を削っていって初期状態のキャラクターを作っていると思いますが、削りすぎだと思います。私もはじめ「なんだこのゲーム…地雷踏んじゃったか!?」と思いましたもの。ジャンプやダッシュによる敵の崩し方に気が付くまで、ただ単に殴りかかる以外にやることがありません。ゲーム序盤がとても単調なのです。
・トゲ付きの中ボス
殴りかかってもこちらがダメージを受けるだけの相手です。倒すには物で殴るか、貴重な奥義ゲージを使用しなければなりません。これは必要のないキャラでした。
・カメラワーク
シン戦などで気付いた方も多いと思いますが、敵がケンシロウの背中で完全に隠れています。また、他にも地面スレスレのところにカメラが移動したり、全般的にアングルが不安定でした。
・ジャンプ
画像では足まで完全に飛び越え、さらに余裕があっても飛び乗れなかったりします。
例外として、レイはジャンプ攻撃をすると少し高く飛んで後ろに下がります。これを利用すると直接ジャンプで上がれないはずのところに登れたりして楽しいです。
COMMENT
<感想>
プラチナトロフィーを獲得するまでやっておきながら、微妙な評価です。いろんなところでバランスがおかしいです。
振り返ってみて、このゲームの面白かったところの8割が「北斗の拳の面白さ」だったかもしれません。「1対1アクション」として、あまり出来のいいものではありません。また、不快な要素が多々あり「無双ゲーム」としても今ひとつです。
しかし、それでもです、北斗の拳のキャラクターの雰囲気が十分出ており、それを自分の手で動かせるということは、この上もない喜びでした(あとシュウが使いたい)。
メーカーさんは、1対1アクションに関して研究が不足していると思います。昔、三國無双2で呂布がちょっとした隙に体力全回復するというのがありましたが、今回の○×△□入力にもその系統の臭いを感じました。
「ただ難しくする」ということにばかりに捉われるのではなく、「そのイベントによって、ユーザーが何か少しでも楽しめるのか?」を真剣に考えて欲しいと思います。ボタン入力はあってもいいですが、だからといって最終形態の体力が全回復するというのは、誰がどう考えても面白いことではないはずです。入力失敗による“罰”を与えるのではなく、入力成功によりフィニッシュの演出が変わるなどの“褒美”を与えるようにしなければ。
一方、本作には光るところもありました。特に、南斗系の“見切り”からの連続攻撃はなかなか爽快でした。レイの空中連続技は最終的に8回と表示されるのですが、表示が6回の時点で14回攻撃できていました。バグなのか仕様なのかは分かりませんが、“見切り”→“地上7発+蹴り上げ”→“空中13発+強1発”→“地上7発+強2発”などの連続技は、気持ちが良かったです。この辺りの仕組みを軸に、今後がんばっていって欲しいと思いました。期待はしています。
最後に本作がお勧めかどうか言っておきます。
純粋にアクションゲーム、あるいは無双ゲームとして見ると…北斗ファンとしては苦渋の決断ですが、私は強くお勧めはできません。
しかし、キャラクターはよく考えて作られており(ゲームの快適さを捨ててまでも)、私自身はそれなりに熱中しました。キャラクターゲームとしては良く出来ている方で、原作ファンにはお勧めしてもいいのではと思います。