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【PS3】セインツロウ ザ・サード

発売元 THQジャパンオフィシャルサイト
発売日 2011-11-17
価格 7770円(税込)
レーティング 【Z】18才以上のみ対象 (CERO について)
ショップ/リンク Amazon(廉価版)
タギングトップ3
タイトル概要 ■ ジャンル:クライムアクション
■ プレイ人数:1人(オンライン:1〜2人)

【廉価版】
■ 発売日:2012/09/06
■ 価格:3,990円



オリジナリティー グラフィックス サウンド 熱中度 満足感 快適さ (難易度)
4pt 5pt 5pt 5pt 4pt 4pt 2pt
総合点
88pt

GOOD!

【オリジナリティ】……4点
「馬鹿なグランド・セフト・オート」と一括することなかれ(もちろん馬鹿っぽい下劣で笑える要素も忘れるなかれ)。ダッシュボタンとの組み合わせで発動できる各種プロレス技やスタイリッシュ過ぎる車両の乗っ取り、レーザーライフルやおなら爆弾やどう考えてもディルドーな謎の棒は、他のオープンワールドゲームでは為し得ない立派なオリジナリティ。非常に良く調整された、果てしなく楽しいキャラクリエイトに目が行きがちだが、実は車両改造も素晴らしい出来。キャンディ塗料やパール塗料のような塗装の質感はもとより、車下部に取り付けるLEDの色の豊富さはドライブをより楽しくする。サイファイな航空兵器VTOLやエアバイクのスペクターも最高の追加要素だが、残念ながら改造できない。

反面、ストーリーからは個性が剥げ落ちてしまった。おそらく新キャラクターの魅力不足だろうと思われる(また、本作では一人または複数のメインキャラクターが死亡する。これ自体を批判する人もいるかもしれないが、よく考えてほしい。続編ものとなれば引き続き登場するキャラクターの魅力を掘り下げるのは難しくなるし、ストーリーを引っ張るために新キャラを加えると物語が複雑になりすぎる。まして本作はギャングの血で血を洗う抗争劇で、殺す者は殺されるというテーゼからは逃れられない。最終盤のボスの様子とピアースの台詞に注目すべき。ただ、いなくなるキャラクターと残るキャラクターの魅力が釣り合わない)。が、決して出来の悪い話ではない。というか、深いストーリーがさほど求められていないゲームにしては出来過ぎた内容。

【グラフィック】……5点
近年、日本のゲームは米国のエンターテイメントの主義主張(ゲームは映画に代わる!)に引っ張られ気味だったが、まさか欧米の大作の中からこういう「(日本が得意とする)おもちゃっぽい」ゲームが出てくるとは思わなかった。アメコミ風のデフォルトキャラクターや街の雰囲気、サイファイというか『トロン』のまるパクリなデッカー関連のイベント、上記のキャンディ塗料もそうだ。前作ではシークレット扱いだったウサギ人形は堂々と街に姿を現している(違和感がないという判断だろう)。そんな中で巷の「絵が汚い」や「車がおもちゃっぽい」という評価は明らかにGTAと比べ過ぎているし、ディズニーランドの景観を現実的じゃないと言っているようなもの。確かに現行で最高級なグラフィックではないし、テクスチャが埋もれたりすることもあるが、箱庭ゲーでは異色の「おもちゃっぽさ」を十分に表現出来ているし、ジャンルの中では水準以上。

ただし街には賛否両論あるかもしれない。景観に個性がほとんどないが、前作よりは街っぽくはある(いわゆるギャングの蔓延る田舎というよりは、マフィアの城下町のような感じ)。少なくともドライブしていて楽しいところではない。しかも、広さの割に中身がなく、ほとんどの地域は活用できていない。サブミッションというかミニゲームのための土地はいらないと思うのは僕だけではないはず。

【サウンド】……5点
スライベルズを聴きながら敵車両を吹っ飛ばすのは楽しい。相変わらずサウンドトラックの選び方はセンスがあるし、おそらくはテーマソングであるカニエ・ウエストの「power」も良い出来。終盤の山場でかなりダサアツい(としか言いようがない)80sポップスが流れるあたり、本当によくわかってると思う。ボイスアクトは良質なだけではなく、おそらくボスの声質(男女三種類)の違いは性格の違いにつながってる(少なくとも台詞が異なっているようだ)ので、リプレー性の足しになっている。

【快適さ】……4点
戦闘システムは相変わらず底が浅い。が、悪くはないし、車も飛行機もバイクもスムーズに乗りこなせるはず。及第点といったところ。原点の理由は車両の方で、一部の仲間の挙動がおかしい。車から出てミッションをこなす→仲間が乗り込む→ボスが乗り込む前に仲間が車両から出る(この車ではないと判断するらしい)といったような不毛なことをしているうちに撃ち殺されることがままある。

【バート・レイノルズ】……5点
「エクスペンダブルズ」のシュワルツネガーのようにパッと出てパッといなくなるだけだが(基本的には。その後の選択肢次第では仲間として呼び出せるようになるが、専用のモーションとかはない)それでも出ただけ凄い(大抵のプレイヤーには意味不明だろうが)。このレビューの総合得点には加味されないが五点。一部のプレイヤーには重要なことだ。

【ゾンビ】……3点
こちらもほぼバート・レイノルズと同様の扱いだが、セインツ・ロウの戦闘システムに合わない動きをするため非常にウザい。確かにゾンビは中学生的馬鹿な感性に必要な要素だが、走るゾンビは誰も望まなかったはず。

BAD/REQUEST

【熱中度】……4点
RPG式のレベルアップとスキル取得の要素は良く出来ていて、ゲームに熱中できる要素の一つでもあるが、もちろんそれは自由度とリプレー性の減少につながっている(序盤から好きなスキルを取る、ということができない)。また、ゲームをスムーズに進ませるためには、武器やスキルの購入に必要な金銭が必要だが、そのためには不動産やサイドミッションをこなさなければならず、そのどちらも大抵は退屈。不動産は購入しても日銭以外の利益が薄いし、セインツのブランドの服屋を購入するというおかしな事態を生み出している。新しく追加されたミッションは、前作の退屈なミッションと同じくらい退屈。特にトラを乗せて街を爆走するミッションは「傍から見ていれば楽しい」一発ネタでしかない。さらに、その二つを完璧にこなさなければ新規キャラクターのズィーモの謎の真相に辿り着けなくなるという仕様。まあ、大した謎ではないのだが……。

もしかしたら前作のファンよりも新規プレイヤーの方が楽しめるかもしれない。それは「前作よりも面白くない」という意味ではなく「前作よりは面白いけれど、何か言いようのない、魔力のようなものが欠けている気がする」からだ。あくまでも気がするだけで、それを説明する言葉は見つからないのだが……。

【その他】 
全体的にアイディアに技術力が追い付いていないような印象を受ける。超終盤の無駄に壮大な展開のあたりはまさにそう。「結局やることは同じかよ」みたいな。

本作はストーリー分岐がある。が、魅力的な二択にしては、その影響は小さいというか、片方を得たというより片方を失ったという気持ちしかしない。興味深い選択肢は最終盤のエンディング分岐だけだと思った方がいい(ただし別々の道のような二択ではなく、正しいエンディングとパロディエンドの二択だと思われる)。

武器のカスタマイズ性は大幅に向上したのでやる気が出る。

馬鹿さ加減以上の価値を見出すのは難しい。ゲームにとって「やりすぎ」や「馬鹿」とは何かということを新発見させてくれるゲームではあるが、いずれ飽きる悪ノリという感じは否めない。その飽きるまでが本当に楽しいのだが。

COMMENT

今冬の大作ラッシュの一つとして名を連ねていた本作だが、その正体はリアル路線な各大作ゲームの中で一際異質な輝きを放つ「おもちゃ感」溢れるゲーム。とはいえ全体的に「傑作」とはいいがたいのでゲームズ・オブ・ザ・イヤーを獲るのは無理だが、だからといって触れる価値のないゲームではない。むしろ、ゲームズ・オブ・ザ・イヤー候補作塗れの下半期の中では清涼剤のような魅力がある。完全にGTAの影をふっ切った感があるので、これがシリーズの最高傑作というよりは、ここからが本当のシリーズの始まりだと思わせるものがある。今後の動向をチェックすべき。

プレイ時間:15時間以上30時間未満(クリア済)
ネイバースさん  [2011-11-28 掲載]

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総合ポイント
74
(難易度)
2.07
レビュー数
14
スコアチャート セインツロウ ザ・サードレビューチャート

セインツロウ ザ・サード 購入する
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28.6%
70-79
35.7%
80-89
0%
90-100
【60点以上】
85.7%
【標準偏差】
11.84