Amazonレビュー
レビュー者: tetsuhiko
レビュー日: 2017-06-12
レビュー日: 2017-06-12
シリーズは全てプレイしてきました。最近のこのシリーズはタイアップや有名人の出演にばかりとらわれて根本のドラマがだいぶおろそかになっているように感じます。システムや、映像の進化は確かに素晴らしく、その点は満足できましたが、肝心のストーリーはというとひどいとしかいいようがありません。今回はシリーズワースト1かと個人的にはおもいます。そもそも、ヤクザの話ともだいぶかけ離れてきているし、個人的には1や2の頃のもっとハードな話を望むので、正直有名人の出演に金かけるよりストーリーに深みを持たせて欲しいです。シリーズのふぁんなだけに、次回作を期待します!
GOOD!
■グラフィック
0や極みも十分凄かったですが、それらを圧倒的に凌ぐクオリティでした。
日本の普段良く見る風景をリアルに作りこんでいるため、ファンタジー系のリアルな見た目のゲームが多い中、より鮮烈に感じます。
特に新しい街、広島尾道は、行ったことも無いのに、ノスタルジックな気持ちで胸がいっぱいになりました。
人についても、ムービーはもちろん、リアルタイム中の表現もライトの当たり具合によっては実写にしか見えず、ゲームキャラのはずが実在するようにしか思えないようになるほどです。
好みは置いておいて、見た目に関しては日本のゲームの中では明らかにトップと言えると思います。
■シームレス感
お店に入る時や、バトルに入る時など、今までで一番ストレスがありません。
特にバトルは龍が如く1の頃からずっとどうにかしてほしい所だったので、一番感動しました。
名前が出るところから攻撃することができます。本当に素晴らしい。
バトル中にコンビニの中にまで入ってバトルできるのも感動しました。
■俳優さんの演技
一部を除き、新規投入された俳優さんの演技は見事の一言です。
特に宮迫と小栗旬が個人的には好きで、とてもいいキャラをしていました。
■サブストーリー
龍が如くの代名詞とも呼べるサブストーリーですが、全てプレイし、今回も面白かったです。
今までに比べてボリュームダウンしていたものの、その分外れも少なかったように思います。
個人的には小野ミチオとスナック関連がとても好きでした。
小野ミチオは衣装として買えないのでしょうか?あの姿のままプレイしたいです。
草野球もずっとやってしまう中毒性があり、全てのミッションをクリアするほど楽しかったです。
ライザップも今風で良かったです。ちょっとあっさりしてましたが。
■BGMや歌
場面場面に合わせたBGMが、今回は得にいいなと感じました。
特にバトルのBGMはいつも楽しみにしているのですが、今回はすごく好みでかっこよかったです。
あとカラオケの歌ですが、今作は今までで一番好きです。ポップになり、少し今風です。
カラオケムービーも凝ってて最高でした。
ストーリークリアで新曲「hands」が解放されたのにも感動しました。
サントラがほしくなります。
■ストーリー
いろいろ思う事もありますが、個人的にはすごく面白かったと思います。
遥の失踪や事故の真相、ハルトの親や尾道の秘密…
次から次へ起こる事件に、次が気になって仕方ありませんでした。
演出や俳優陣の演技が相まって、最高にドラマチックに仕上がっていたと思います。
■キャラクター
旧キャラの出番が少なかったのは残念ですが、その分新キャラが十分魅力的でした。
清美さんや広瀬一家やはもちろん、敵として魅力的だったハン・ジュンギ…
特に染谷(小栗旬)の最後のエピソードは胸に来るものがありました。
たけしはただの悪役かと思いきや、すごくいいキャラでした。
しっかりと驚かされる場面もあり、うまい配役だと思いました。
清美役の真木よう子は、ドラマではすごくいい演技をするのに、ゲーム中は棒読みなのが気になりました。
実際の演技と声優の仕事は全く違うものだと考えさせられました。
そう思うと宮迫や小栗旬は、さすがの一言です。声優の仕事が十二分に生かされていると思いました。
■アイテムボックスと武器所持の廃止
ずっと面倒に感じていた部分なので、今回のシステムは好きでした。
武器についても相手から奪うのが基本になったので、シンプルに楽しむ事が出来ました。
武器を集めるのが好きだった人にとっては、残念な仕様かとは思います。
■キャバ嬢のカラオケ
キャバ嬢の歌のうまさにはびっくりしました。
同伴時はカラオケ一択かと思います。
専用のムービーもあって凝っているなと思いました。
バグかもしれませんが、SORAとカラオケにいって、ほぼ満点なのに「桐生さんってカラオケ苦手なんですね」と言われたのは腑に落ちませんでした。
■クランクリエイター
言ってしまえばにゃんこ大戦争のようなものです。
思ったよりもおおざっぱな感じではありましたが、クリエイター集めや、誰(どの必殺技)を使うのかなど考えたりするのが楽しかったです。
桐生会がどんどん増える感じや、ミーティング時のいろいろなネタも楽しめました。
レスラー陣は棒読みで寒いシーンもありはしましたが、全体的には十分楽しめました。
個人的には最初の女の子との絡みがもっとほしかったです。マネージャー的にいろいろ働いてくれるとか。
元ボクサーの必殺技がドロップキックなのは気になりました。
■ライブチャット
今までもきわどいミニゲームは多かったですが、一番攻めたのではないでしょうか。
桐生さんのキャラ性がどうとか野暮な事は言いません。
こういうバカなノリは、龍が如くらしくて好きです。
BAD/REQUEST
■なれ初めの描き方
ネタばれになるので詳しくは言いませんが、なれ初めの描き方が最悪です。具体的にはルポライターの下りです。
Amazonの評価が酷く荒れていますが、一番の原因はここではないかと思っています。
どういう形にしても結局納得はいかないとは思いますが、それは仕方ないにしても、あのエピソードはあまりにもひどすぎます。
あれで好きになるのは頭がおかしいとしか思えません。
言ってしまえばたった一つのムービーです。
たった一つのムービーが、約十数年のユーザーの想いを裏切る結果となってしまったと言っても過言ではありません。
それだけ大事なシーンでした。
あそこが、たとえば命を張って守るエピソードや、桐生と重なる演出が入るなど、もう少し「こいつなら仕方ない」と思わせるシーンになっていれば、印象は大きく異なっていたのかと思います。
どういう想いで例のシナリオを書いたのか、是非インタビューで聞いてみたいです。
■バトルの単調化
相当ボリュームダウンしています。
ヒートアクションの数も少なく、スタイルチェンジもありません。
敵のガードも固く、毎回同じような戦い方になってしまいました。
今までも、最終的には一つの戦い方に収束していたように思いはしますが、今回はかなり割り切ったなとは思いました。
■トラブルミッション
急に発生するお使いのようなものです。
サブストーリーのように、もう少し話があれば変わったのかもしれませんが、非常にタンパクで面白くなかったです。
手抜きするくらいなら、最初から無いほうがよかったです。
どこかに爆弾を仕掛けた…は、まったくやる気が起きませんでした。
■猫カフェ
いろんなところにいる野良猫をなつかせて猫カフェを猫いっぱいにするというアイデアは素晴らしいと思いました。
ところが、猫をコンプリートしても、エサをあげるシーンが見られるだけです。
お客が増えたり、猫がいろいろ絡んで来たり、いろんなポーズしたり、写真を撮ったり、猫ごとにちょっとしたイベントがあるとか… さまざまな妄想をしていただけに残念です。
■キャバ嬢の棒読み
これも龍が如くの醍醐味と言ってしまえばそれまでですが、相変わらず棒読み感がすごく、疑似恋愛の妨げになって仕方ありません。
一番良かったのが0のユキちゃんです。
声優さんのすごさを改めて感じます。
プロフィールを埋めるためにいろんな話題を振ったり、評価を高めるために話題に気を付けたりするところは、会話の楽しさをなんとなく味わえました。
さりげなく過去作の話題が出たりと、会話のクオリティーには満足していますが、棒読みがすべてを台無しにしています。
監督は恐らく普段通りに…とアドバイスしているかと思いますが、普段通りでは絶対だめだと思います。
今後もやるのであれば、是非プロの声優からアドバイス、指導を得てやってほしいです。
それでも棒読みになるのであれば、キャバ嬢ではなく、アイドル声優と疑似恋愛をするシステムを組み込んで欲しいです。
■写真
スマホで写真が撮れますが、あまり意味がないのが残念でした。心霊写真くらい?
一部リアクションするモブもいるみたいですが、たとえばサブストーリーで指定の場所を写真で撮るとか、浮気現場を撮るとか、ハルトと広瀬一家がいるところに向けるとポーズを撮るとか、ミチオくんとみんなで撮るとか…、写真を撮りたくなるシーンがもっと欲しかったです。
■ラスボス
とにかくテンションの上がらないラスボスです。
ストーリー的には「あり」というか、クズなので倒すカタルシスもありはするのですが、いわゆる「カリスマ性」が皆無です。
最後の大どんでん返しの為、あからさまなラスボス感を出さないように配慮したせいかもしれませんが、個人的には龍司のような、かっこよくてわかりやすいラスボスのほうが好きです。
■自動販売機のUI
リアルな背景なのに、自動販売機すべてにやじるしアイコンが表示されているのが萎えます。
親切ではありますが、せめてオンオフできれば良かったなと思います。
■スナックでのカラオケ
女性が歌う曲では、誰もいない状態で歌声だけが流れます。
せっかくなのでみなとママか、あるいは清美ママが来て歌ってほしかったです。
他の知らない女性客でも良いです。歌っている人がいないのはシュールです。
■キャバ嬢の合いの手
キャバ嬢同伴でのカラオケで、キャバ嬢が歌うのは新鮮でとても良いのですが、桐生が歌うのは変化が少なく正直めんどくさかったです。
キャバ嬢が入れる合いの手が寒いので、できればデュエットとか、ハモリとかしてほしかったです。
■プレイスポットの大幅減少
今作は今までで一番プレイスポットが少ないです。
他に力を注ぐために、あえて減らしたのだとは思いますが、プレイスポットが魅力の一つだった龍が如くでは、残念としか言えません。
特に、卓球、ビリヤード、ボウリング、ゴルフ、UFOキャッチャー、ポケットサーキット、闘技場は欲しかったです。
仲間やキャバ嬢と、いろんなプレイスポットで遊びたかったです。
また、0の水商売アイランドが面白すぎたので、何かしらの形で復活することを願います。
■カラオケ
仲間とも行けるようにしてほしいです。
宮迫や小栗旬ともカラオケに行きたかったです。
■金庫
ほとんど開けずに終わりました。
やりこみ要素だとは思いますが、複雑すぎてめんどくさいです。
コインロッカーも微妙でしたが、今回はそれを上回っています。
■屋上
屋上に行けるのは最初感動しましたが、クリアしてみるとほとんど意味がありませんでした。
落ちそうな人を助けるイベントくらい?追いかけっことか、いろんなイベントで使ってほしかったです。
■海の中の表現
素潜り漁で海に潜れますが、地上の表現は素晴らしかっただけに、海の表現はいまいちでした。
ただのミニゲームなので仕方ないかとは思いますが、今後に期待したいです。
■街の移動
とにかく昔から街の移動が苦痛です。
今回はタクシーが街の中を走っていて、改善しようという心意気は感じられましたが微妙すぎます。
なにより苦痛なのは、人とぶつかった時のリアクションです。
うわあとか、あああとか、特にバトル後とかは悲鳴を上げられるので、イラっとします。
苦痛な事は逆にメリットを与える事で面白くなるのではないでしょうか。
例えば人にぶつかるとたまにアイテムやお金がもらえたり、ぶつかった時のセリフがさまざまで面白かったり、人とぶつかると逆に加速したり、経験値をもらえたり…
クロヒョウのような主人公であればスケボーに乗れて、モーゼのように人が避けていくとかならストレスも少なく移動が楽しくなりそうだと思いました。
COMMENT
十数年前の初代に始まり、外伝、クロヒョウ含め、龍が如くはすべてプレイしてきました。
正直マンネリ感もありましたが、0で持ち返し、今作は非常に楽しみにしていました。
結論としては、とても面白く、いろいろ思うところもありますが、やって良かったと思います。
ただ、最終章という事もあり、クリア後にこれほど考えさせられたのは、シリーズで初めてかと思います。
今回は親と子がテーマだったように思いますが、ユーザーは恐らく主人公の桐生、つまり親目線でストーリーを追っていき、基本的には子供に対して腹が立つ場面が多かったのではないでしょうか。
ここが今作のカラクリでもあるのかなと思うのですが、僕を含むほとんどのユーザーは、今作のストーリーに素直に怒りを覚えたと思います。
遥の件だけではなく、ローの息子や巌見兵三の息子も、ほとんどの人がクソ息子だと思ったのではないでしょうか。
作者の意図はわかりませんが、個人的にはこれはあえてやったことなのではないかと思えます。
僕は最終的にそれを許す桐生に、親の偉大さを感じました。
親の思う通りに生きる子供は、いったいどれくらいいるでしょう。
僕自身、親の満足のいく子供である自信はありません。
つまりは、いい意味でも悪い意味でも、すごくリアルだったように思います。
ゲームをしているとなぜか、自分の都合の良いように行くのが正しいと思ってしまいがちですが、こうやってことごとく裏切られ、怒りを感じる事こそ、これって実は普通な事なのかもと思いました。
実は親って、今作をプレイしたユーザーのような気持ちで、それでも尚、許しているのではないかと。
例えば娘が彼氏を連れてきたとして、娘がどれだけ彼のいいところをアピールしたとしても、いいとは思えないと思います。
あるいは99いいところがあったとしても、たまたま1悪い所みたら、それがすべてだと思ってしまうかもしれません。
今回はゲームなので、シーンで少し描かれますが、本来であれば見えないところで事は起きます。
無情な結果だけを突きつけられるという意味では、逆に掘り下げがあまりなかったのは、わざとではないかとすら思えます。
今作はわかりやすいほど子がクズに描かれ、親はかっこよく描かれています。
自分はどうでしょう。
親目線でプレイはしているものの、ストーリーに怒りを覚えた時点で、どちらかといえば子供なのかなと感じました。
子供がクズだと思っていたのは、ある種の同族嫌悪だったのかもしれません。
子供(ストーリー)がこうなってしまったのは、親(自分)のせいだと思えたら、初めて桐生たち親側の気持ちがわかるのかなと思いました。
今作のストーリーはかなり賛否両論かと思います。
僕自身、初代から10年以上、龍が如くを追ってきたファンとして、最終章として納得できるかと言われれば微妙だと答えます。
ただ、納得できるストーリーなんて人生に何回あるでしょう。
見た目ばかりリアルで、結局はすべてハッピーエンドのゲームよりも、ユーザーを裏切ってまでリアルを追及した今作こそ、歪でもユーザーの心に残り続けるのではないかと思います。
桐生さんの最後という事ですが、今後も期待せずにはいられません。
ひとまずお疲れ様です。
またいつか、新しい形でお会いできればと思います。
神室町よ永遠に!