【PS4】ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて レビュー
発売元 | スクウェア・エニックス (オフィシャルサイト) |
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発売日 | 2017-07-29 |
価格 | 9698円(税込) |
レーティング | 【A】全年齢対象 (CERO について) |
ショップ/リンク | Amazon |
タギングトップ3 | |
タイトル概要 |
■ ジャンル:RPG ■ プレイ人数:1人 |
- 総合ポイント
- 72
- (難易度)
- 1.31
- レビュー数
- 29
オリジナリティー | グラフィックス | サウンド | 熱中度 | 満足感 | 快適さ | (難易度) |
---|---|---|---|---|---|---|
4pt | 4pt | 4pt | 4pt | 3pt | 2pt | 2pt |
67pt
GOOD!
ドラクエ10は未プレーのため、10とのシステムの比較はできていない状態での感想です。
【オリジナリティ/4点】
特に目新しい要素はなく、恐らく他社が今これを真似たらゲームを出したら古臭いと一蹴されます。
でもこのスタイルを世に知らしめたのがドラクエなのだから、やはりオリジナリティは感じます。
自分が初めて遊んだRPGがドラクエ2という原体験の影響もあります。
【グラフィックス/4点】
100点満点なら70点ぐらいです。特にフィールドマップはきれいに作られています。
モンスターの質感は3DCGを覚えたての学生かと言いたくなるぐらいベタな表現が多い気もしますが、もともとのデザインと動きが良いので単純に見ていて楽しいです。
【音楽/4点】
過去作の音楽をやたら使いまわしているのに寂しさを覚えつつ、それでもやはり楽曲のクオリティは高いです。
ぱっと聞いてドラクエだとわかるのはやはり強みです。
【熱中度/4点】
わりと暇な序盤を終えて一気に盛り上がる中盤、驚く展開の後半と熱中度がどんどん高まり止め時を失います。
王道のストーリーながら節目節目で「そうきたか」という展開が待っており、この感じを味わえるゲームは年に何本もありません。
【満足感/4点】
総じて非常に質の高い、遊ぶ価値のあるゲームです。
想像通りのドラクエすぎて大満足とはいかないものの、100時間以上楽しませていただきました。
最初にデザインを見た時は誰が使うんだと感じたシルビアやロウも使ってみると面白く、最終的にはキャラクター全員に愛着がわきました。(ただ主人公は…)
昨今の大作ゲームによくある未完成っぽさがまるでなく、DLCに多いキャラの衣装やクリアしなくても良いサブストーリーが初めからパッケージに含まれているのも高評価です。
BAD/REQUEST
かなりボロクソに書いていますが、それでも面白さがこれら短所を上回っていることだけは初めに断っておきます。
【最凶のカメラワーク】
近年遊んだゲームの中で最悪の部類に入るカメラワークです。
ここまで酷い3D酔いは初代PS時代以来だなと。
ネットの対処法を色々試しつつも序盤は30分おきに休憩をはさみ、10時間ぐらい遊んだところでようやく慣れました。
それ以外にもカメラ手前のオブジェクトを透過させることなくそのまま映すのはちょっとクレージーだなと思います。
【痴呆気味の主人公】
ドラクエの主人公がしゃべらないのはあくまで主人公=プレーヤーの分身というスタンスは理解しています。
でもそれはSFCまでのドット絵時代だからこそ通用したのであって、ここまでしっかりしたキャラクター造形をしておい無言無表情は滑稽です。
例えば襲われる主人公を身を挺して庇うキャラクターのムービーがあるのですが、主人公は助けておいてもらいながら無言で焦点の合わぬ目をしており、「今日の晩御飯中華にしようかなー」とか心の中でアテレコしてしまう始末です。
とにかく主人公に関しては何でそんな態度なんだよと思うシーンがてんこ盛りで、これならいっそ初代かまいたちの夜みたいに主人公だけシルエットにしてほしかったです。
他のキャラクターが生き生きとしている分、非常に残念でした。
【お前のものは俺のもの】
人の家にずかずか入ってツボ割ってタンス開けてものを取っていくのはわざわざモーションまで設けてやることではありません。
どう見ても泥棒であり、2頭身キャラならともかくリアル頭身でこれをやられてもギャグに見えないです。
ドラクエらしさを維持することと思考停止は別物ではないでしょうか。
【無機質なAI】
前半はこれだけで進めるぐらい便利ではあるものの、とても淡泊な思考でロボットと冒険してるみたいでした。
例えばバッチリがんばれの場合パーティで戦闘しているにもかかわらず常に自分一人の火力で敵を倒しに行こうとするため、MPの無駄遣いがはなはだしいです。
MPが半分切ったから回復行動をとるとか、弱めの魔法を使って他のパーティメンバーにとどめを任すとか人間臭さを持たせてほしかったです。
その他のパターンも似たり寄ったりで、結局中盤以降は全員手動で動かさざるをえませんでした。
【攻撃偏重の戦闘】
攻撃される前に殺すのが基本で、補助魔法の出番がほとんどありません。使うのは一部ボス戦ぐらいでしょうか。
高火力攻撃こそ至高であり、おのずと取るべき行動は限られ、中盤以降は敵が変わってもやることがずっと同じになってしまってやや退屈でした。
【だだっ広い街と歩くような速度で走る自分】
それなりに密度感のあるフィールドに対して、町や城はグラフィックが単調でそのくせだだっ広く、移動が苦痛でした。
なんで小さなメダルを交換するのにルーラで飛んだ場所から長い距離をノロノロと走らねばならないのかと。
全体的に1.5~2倍速で走ってもらえたらちょうど良いと思います。
【PS4専用のマジスロとボウガンチャレンジ】
自分はパチスロは遊んだことが無いので、マジスロには全くハマれませんでした。
というかルールがよく理解できません。もっと万人に楽しめるものに力を入れて欲しかったです。
ボウガンチャレンジはそもそも存在意義がよくわかりません。
チャレンジ自体がつまらない作業というのもさることながら、このために設けられたボウガンというシステムが邪魔です。
色々な役割を持つ〇ボタンにボウガンの発射も割り当てられており、モンスターに誤射して戦闘になったことが何度もありました。
COMMENT
ドラクエシリーズはファミコンの時代から10以外全て遊んでいます。スマホも含めてリメイク版もほとんど遊んでいるのではないかと思います。
新しさは無いのですが、おっさん的にはやっぱり楽しいです。ゴルゴ13読んでる気持ちと同じです。
ゲームの作りも懇切丁寧で、レベルデザインを含めてどんなプレーヤーが遊んでもそれなりに楽しく遊べる仕上がりはさすがです。
未だにドラクエが日本No.1RPGであることに物足りなさを覚えつつ、今日もクリア後のやり込みを頑張ります。
オリジナリティー | グラフィックス | サウンド | 熱中度 | 満足感 | 快適さ | (難易度) |
---|---|---|---|---|---|---|
3pt | 4pt | 4pt | 3pt | 4pt | 2pt | 0pt |
66pt
GOOD!
・ドラクエらしいグラフィック。
ハード性能の向上に伴い、かなりリアルな感じになってきているが、ドラクエらしい親しみやすい雰囲気は顕在。ロードは長いが処理落ち等は無く、見た目が変わる装備も8よりは多い。
・BGMが良い
フィールド曲、戦闘曲共に雄大かつドラクエっぽくて素敵だった。新曲が良い曲な分、数が少ない事が本当に残念。
・王道なストーリ
勇者が運命に翻弄されつつ、仲間と出会い、数々の苦悩を乗り越え、世界を救う。所々強引な展開や、ベタな演出等もあるが、昔ながらの古き良き王道ストーリ。少なくともドラクエが好きな人なら安心して楽しめる内容だと思う。
・全体的なクオリティが高い
敵の強さや難易度、マップの構成、ストーリ展開なども、プレイヤを飽きさせないよう良く考えられており、バグも無くゲームに集中できる。どこが良いと言うよりも、全てがバランス良く高クオリティ、高品質。流石日本の国民的RPGと言った所。
・敵の動きが躍動感溢れている
スライムのプルプル感もドラゴンの重量感も躍動感があり、道端でモンスタ同士が挨拶していたり寝ていたり、親しみやすいデザインもありとても個性的。
・サクサク進む
難易度はかなり低く、特にレベル上げなどしなくても苦戦する事はほぼ無い。一部状態異常持ちのボスなどに壊滅させられたが、すぐにリトライできる親切設計で、対策も簡単に取れるので、クリアできずに詰む事はまず無い。
むしろ上がりすぎな勢いでレベルが上がるので、逆に歯ごたえが欲しい人は、意図的に雑魚戦を避けなければいけないのが大変。
・余計な事をしないのが良い
変に声を付けてキャライメージを固定させたり、主人公が身勝手な俺様正義を押し付けてきたり、主人公信者の仲間がそれを褒め称えたり、ラスボス直前に性欲全開でイチャつきだしたり、仲間同士が勝手に泥沼化して本来の目的から逸れたり、そんな余計な蛇足が無く、淡々と勇者の冒険をするのが安心できる。
BAD/REQUEST
・ストーリに矛盾や説明不足が多い
ネタバレになるので詳しくは言えないが、明確に「これはこういう事だ」と説明される内容に矛盾があり、結局何がどういう事なのか解決しない。ぼかす事で深まる設定もあるだろうが、今回の場合はただの矛盾、説明不足。設定が崩壊しているだけ。
それに伴い、今までの冒険や、共に戦ってきた仲間との絆などが「全部無かった事」になる展開には本気で萎えた。
他には、ファンサービス的な展開も多いが、何の脈絡も無く唐突にねじ込まれてる事が多いのも残念。
・使い回しが多い
呪文や特技のモーションやエフェクト、鍛冶、BGM、効果音、グラフィック、多くのものがドラクエ10からの流用。10の他にも過去作品からの流用が多数。
その他にも中盤、後半のモンスタは、前半の使い回しばかり。所謂色違いモンスタよりも酷く、体のとある一部分の色が違うだけの敵ばかり出てくる。
・戦闘AIが馬鹿
まず2人がかりで敵を倒すという発想が無い。HP200の敵が3匹出てきたら、全体100ダメージの技を2人で使えば倒せるのに「一撃で倒せないなら出来るだけ大ダメージを与えよう」という発想にでもなってるのか、単体150の技を使い出す。それを6回使い敵を倒すという何とも無駄な行動をとる。
他にも止めを刺す事を優先しているのか、イオを使えば敵5匹全員倒せるのに、1匹だけ弱っている敵に通常攻撃したり、MP消費を考慮せず優先順位が設定されてるのか、同じダメージで消費MPが4と10の技があっても消費10ばかりを乱発する。
・快適さがイマイチ
無駄にかかる移動時間、長いロード時間、リセットすると鍛冶が出来なくなる陰湿仕様、室内や木々がある場所だと何も見えなくなる操作性最悪のカメラ、こっちが背後から先制攻撃したのに逆に不意打ちをしてくる敵、敵への攻撃と挑発とアイテムを拾うボタンが全部同じで誤爆が多い事など。
・乗り物がただの別マップ程度
お約束の船や空飛ぶ乗り物だが、自由度が全く無く、決まった場所にしか降りられない。世界が広がったワクワク感などまるで無く、ただの特定のダンジョンに降りるためだけの中継マップ程度の扱い。
・開発者の価値観の強要が鬱陶しい
これもネタバレになるので詳しくは控えるが、例えるなら「ドラクエ5で3人目の花嫁デボラを追加したから結婚してね。でないと天空装備や王者のマントとか手に入らないようにしたから」って感じ。ただの嫌がらせ。
・キャラ性能の差が悪い
過去作品に比べるとだいぶ良くはなっている。少なくとも某6の引換券のような、明らかな役立たずは居ない。だがそれでも1人ぶっ飛んだ強さの奴が居てバランスを壊している。しかも設定上はそれほど強くない、ただの盗賊にもかかわらず。
・キャラデザインが酷い
中分けロング主人公、デコっぱちヒロイン、パッツン幼女、のっぺりオカマ。ゲームを進めればどれも魅力的なキャラだったが、イラストを見た時はかなり購買意欲が落ちた。せめて主人公ぐらいはキャラメイクしたかった。
・ミニゲームがつまらない
PS4限定のボウガンとか馬レースとか、こっちはRPGをやりたくて買ってるのであって、レースゲームに興味は無い。しかも最強装備をレースの高難易度部門の商品にするとか問題外。
仮にするのならFF7のチョコボレース的に、馬の育成をゲームに取り入れて、楽しみつつ時間をかければ誰でも手に入るようにしなければ、それはRPGじゃない。
・マップの構成が無茶苦茶
主要国家を結ぶ唯一の道が、崖をよじ登る必要があったり、丸太の橋をだったりする。逆に誰も立ち入った事の無い土地や、立ち入り禁止の地区に立派な橋が架かっている。
他にも、各国と貿易をしている設定の港町があるのに、そもそも港がある国が1つしかない。未開の秘境なのに町から道が続いており、案内看板も設置されている。山に囲まれて一般人では辿り着く手段が無い町が有名な観光地。など、矛盾を挙げればキリが無い。
住人のセリフも、同じ町の事を「旅なれた俺でも初めて聞く町」と説明する人と「有名な観光地」と説明する人が居るので、設定が意味不明。
・危機感や悲壮感が無い
これもネタバレになるので詳しくは避けるが、物語後半になると世界崩壊レベルの危機が訪れ、世界は滅んだ人間は死に絶えたと、言葉では散々危機感を煽ってくるが、実際は町が1つ入れなくなるだけで他は平穏無事。敵の将軍が町を襲撃しても、どこも住民は全員無事で建物も被害ゼロ。
COMMENT
良くも悪くも普通。ただし高品質な普通、といった感じ。
フルコース料理でも斬新な料理でもないが、すごく美味しい焼魚定食みたいな。変わらない良さとか、王道の安定感が流石と言える内容だった。
基本的な出来が良いだけに、細かい不満点が多く出てしまったが、総評としてはかなり楽しめた、オススメできるゲームだと思う。
あからさまな水増しなどは一切無く、一通りクエストなどはやる自分で、クリアまで110時間ほど。道中も目的が絶えず示され、イベントも頻繁にあり、サブクエストもあり、クリアまで飽きるとか面倒になるとか全く無く、これだけ安定して長時間楽しめたゲームは中々無い。
もちろん、どんなゲームにも人それぞれ好みはあるだろうが、ドラクエが好きな人ならプレイして損は無い、中々の名作だと思う。
オリジナリティー | グラフィックス | サウンド | 熱中度 | 満足感 | 快適さ | (難易度) |
---|---|---|---|---|---|---|
3pt | 4pt | 3pt | 3pt | 3pt | 3pt | 1pt |
62pt
GOOD!
ドラゴンクエストのナンバリングである。若い人には分からないでしょうが、それだけで価値が有る。
今までは一番売れているハードでしか出さないと言っていたのに、PS4でも制作したこと。
最新のグラフィックで制作したい人、PS2世代のゲームしか制作できない人、ドッド絵で遊びたい人、ソニーの人も、任天堂の人も、みんなが幸せに成れる方法を選んだ。
グラフィックが綺麗。
女性キャラがかわいい。
モンスターの、モーション、モデリングが素晴らしい。
BAD/REQUEST
ドラクエ10に、アンリアルの皮を被せて、レベリングと、移動距離を調整したものが、ドラクエ11。
エリア制で探索感、冒険感が無い。北に行くか?西に行くか?、町が見えた無事たどり着けるか?などの楽しみが無い。
シンボルエンカウントで緊張感が無い。フィールドに敵がいないと見た目が寂しいので、シンボル、ランダム両方採用してほしい。
四人で並んで歩かない。棺桶引きずって歩くのがドラクエの象徴的な場面。
酔い対策が足らない。探索するのがゲーム性なのに、探索すると酔う。
戦闘が遅い。
ムービーが多すぎる。ロープレとストーリーの相性は悪い。ロープレは戦闘と探索。
保守のようで、簡単過ぎたり、ムービーが長い、戦闘のカメラ、ルールが変わったりで、そうでもない変更の数々。もっと保守が良い。
COMMENT
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 リメイク版無しでクリア済み、(10はディスク1のみ) 2と8が好き。ロープレにストーリーは無くてもいいというスタンス。
ドラクエ11を一言で言うなら、ドラクエの皮を被ったファイナルファンタジー。ドラクエを遊んでいる気がしない事が多い。
ストーリーとセリフより、探索と戦闘が楽しいロープレが遊びたいです。
けして悪いゲームではないが、普通なんです。不動産販売などの手法、ブス、ブス、ナミと同じで、9、10が酷すぎたので、普通の11が凄く良く感じる。
8の発展形が遊びたかった。8より劣っていることが多い。10が好きな人には良いでしょうが、8が好きな人には満足できないでしょう。
ワールドマップが有り、空を飛んで下に降りる、ルーラを頻繁に使うなど、以外とJRPGは特殊なので汎用エンジンではなく、専用のドラクエエンジンが必要だと思います。
Amazonレビュー
レビュー日: 2017-08-02
オンラインの10を除くとDSの9以来8年ぶり、据え置き機だとPS2の8から13年ぶりのナンバリングドラクエって事で全ての情報を遮断して楽しみに待ち、PS4版は近所の店で並んで買って、3DS版はアマゾンで注文っていう買い方をしました。
そして29日からは睡眠時間が削られて削られて…('д`)
ほんとに楽しい。
これに尽きる。
ほんと何をしててもドラクエテイストというか、自分は今ドラクエをプレイしている!という気持ちにさせてくれます。
時代の流れからか、「へんじがない、ただのしかばねのようだ」の様なおなじみの台詞が「へんじがない、すでにこときれているようだ」みたいにちょっと変わってたりするのは寂しいかなぁと思うけど、それでも台詞回しがほんとドラクエ。
勇者が居て魔王が居る王道のストーリーだからなんか古いなぁと感じる人も居ると思うけど、それがドラクエでそれを求めて1からリアルタイムでプレイしてる自分からすると「それがいいのに!」と言いたくなる。
戦闘も今時のRPGやってると古くさく感じるかもしれない。
でもやっぱりドラクエだからそれがいい。
…さて、コントローラー充電少し出来たし、次のキャンプまでは進めておかなきゃ!
GOOD!
勇者とは何かについて集大成らしく一応の結論を出すことになる物語自体や世界観について言えば、かなり気合が入っていると思える。
据え置きでの前作となるドラクエ8も当時としては1級品の演出力を発揮出来ていたが、本作の演出、魅せ方の進歩も決して8に劣らない。
ただ、8の場合は世界マップやその広がりそのものにアイディアを反映させていたのに対し、本作では個性溢れる(かつ決して嫌味を感じさせない)キャラに溶け込む演出、楽しさあり山場ありのバラエティ溢れる城町村や高所から見渡す絶景といったミクロ面でその秀逸さが光る。
そして、本作ではこのPS4版において感動に溢れるミクロな演出の数々が煮詰まって見える。だからこそ、芸術面での評価が高いのだ。
この辺、旧来の魅せ方から抜け出ていなかった故に「ハッタリ」という印象を与えた8を、明らかに超えているところだ。
8を上回っているといえば、もうひとつ重要なのは、「物理特技万能説」或いは「魔法不要説」を払拭したことだ。
魔法の利便性という意味ではシリーズ最高。
それだけではなく、近作は特技一辺倒で進めるような作りだったが、本作ではそのマズさを踏まえていたのだろう、
戦闘における物理・魔法の切り替えポイントを相当数用意しており、魔法を使えば明らかにラクができる箇所も多い。
このことによって、「モンスターの分析・判断による攻撃の使い分け」という、ドラクエの醍醐味が見事に復活した。
さらに、このPS4版ではターン制の違いにより俗に言う色物「オネエ」キャラであるシルビアが独自の有能なキャラに化けていることだ。
ただし、ロウは弱いまま。MPがあり余るこのゲームでMPパサーの必要性もない。唯一の見せ所は加入する前のNPC時。
PS4版ではゲームバランスが少なからず変容。行動者のターン制になったことで、少なくとも序盤の難易度は一段と下がることになった。
例えば、序盤にしてこのゲーム1,2を争う難所と言われているアラクラトロはPS4版ならレベル10台後半で何とか渡り合う事が出来る(3DS版だとレベル20は必要)。他にもホメロス(一回目)やクラーゴン等もPS4版の方がハッキリと弱い。
反対にゾーン技や全体回復については条件が厳しくなっており、おかげで後半の難易度においては3DS版と同じぐらいか部分的に若干上ぐらいになっている。
PS4版では後半のブギーやキラゴルド、ガリンガ等もなかなかの強敵。
3DS版は「序盤だけそこそこ難しい」という構成だったが、結果として歪なバランスが幾分改善されたのではないか。
BAD/REQUEST
ゲーム全体のバランスをウリにしているドラクエとしては「偏った印象」を受ける
ボスキャラの純粋な戦闘力だけなら、ハッキリ言ってシリーズ最弱と呼ばれる9の軍団に少し毛が生えた程度だが、その分、ボスの見せる搦め手の数々が、その戦闘力の弱さをカヴァーするかのような激しさを持つ(アラクラトロのメダパニーマやブギーのギガマホトラには、本当に泣かされた)。
そして、本作の中ではこの傾向にある場合が多過ぎる(例外を挙げるとすれば、人食い火竜やガリンガぐらいか)。
ドラクエの場合、本作の特徴となるものも含め、多彩な難易度の構成を見せていた。そして、それが「次のダンジョンや中ボスはどういう風に難しいんだ? それとも簡単なのか?」との期待を煽り、プレイヤーの高揚感を誘っていた。
ところが、本作ほど偏っていると、そのような昂揚を味わうのが難しい。仮に、上述の期待を抱いていたとしたら、ガッカリさせられる危険性がある。
また、全体のバランスについても不満がある。3DS版よりも序盤の難易度が落ちた結果あるべき状態には近づいたものの、総合的にはクリア後や裏ボスも含め、序盤と終盤で殆ど難易度が変わらないのが本作だ。
流石に斯様な道程では手応えをあまり感じられない。つまり、ゲームバランスはシリーズの中でもあまり良くない部類に入ってしまう。
そして、本作において「本格的におかしくなって行った事」はゲーム構成です。確かに「時間」を主軸に置いた物語展開自体は斬新な試みだったとは思いますが、その分「場所、舞台」は拡がっていかないというデメリットが生じる事となったと思います。
発売前に全体マップを始めて見たとき既に嫌な予感がしてたが、峡谷に挟まれた一本道だらけで、肝心の自由に旅をする感覚は大きく失われている。
そしてムービーでのイベントシーンが多く、見せ方において一時期のFFと見紛うくらいだ。
それでも、まだこのドラクエ11では寄り道要素であるクエストや楽しいミニゲームであるカジノ等横道的に楽しむ要素はないわけではないのですが……
つまり、前述の「おかしくなった」事とは「プレイヤーの目を引く、新要素を盛り込むのはいいが、その為に見方によっては退歩だととられかねない制限を課せられてしまう。」というジレンマに「ドラクエ」という名作ロールプレイングゲームシリーズも嵌っていく事になっていったという事なのです。
このため、せっかくの物理攻撃と魔法の使い分けのバランス面や、物語、世界観におけるドラクエ8からの改善点が生かされていないように思えるのが惜しい。
「偏っている」という、あまり歓迎できないであろう感想も、恐らくここから来ているのではないかと思う。
COMMENT
良い点に挙げた2点は、DSPSP3DSと永らく続いた携帯機の時代がPS4Switchという据置機主導へ交代しようという時期であり、そして両代表ハードに超大作を作ることになった狭間期にあってなお、作品(シリーズ)を進歩させる気概を抱き続けたスタッフの姿勢を反映しているように思える。
そして自分は、彼らに対して大いなる敬意を払いたい。
一方、気合の入っていない箇所に関しては、本当にどうにかならなかったのかと感じられて仕方がない。
そのいい例が、上述の悪い点の通り要所要所で戦うボス戦の単調さだ。きつい物言いになって申し訳ないが、本作のボスは歴代ドラクエの中で最も面白みを感じられなかった。
ボスのやってくることが読みにくい搦め手ばかりだから、(アビリティの使い分けの豊富さにも関わらず)戦略もゴリ押しがちにパターン化されてしまう(選択肢の割にゴリ押しがちな戦略は9にも言えることだが)。
工夫こそ見られたもののバランスが悪い。3、7、8と同じ「道中ボスよりラスボスの方が簡単」という事態も再発してしまっているのだ。
ラスボスについてはもはや語ることはありません(笑)。シリーズ1,2を争う弱さと思う。(もう一人は9のエルギオス)
そのため、本作のボス戦には、前半は退屈さを、後半は違和感を抱き続ける羽目になってしまった。
クリア後も同様に「搦め手ばかり使ってくるそこら各地の中ボスより裏ボスの方が簡単」。
しかも、裏ボスに対しては敢えて弱体化アイテムを用いない意図的な強化を行えるのだが、こちらはステータス面からして3DS版の方が圧倒的に強い。元々、3DS版には追加のダンジョンやボスがあるのに、だ。
これはつまり、3DS版でさえ乏しかったエンドコンテンツが益々乏しいことを意味する。
逆に、低レベル低スキルクリアを目指しても、仲間メンバー加入の仕様上、平均レベル34ぐらいが物理的な限界である。
ここまでやり込みをしようと思わなかったドラクエは、過去に無い。
本作に対しては、秀逸な箇所と首を捻らされる箇所が混在している印象を受けるが、これは、最後まで良きものを探究し続けたがゆえなのかも知れないし、力を一点に集中しすぎた結果なのかも知れない。
だから、自分が本作に対して抱いている感想は、かなり複雑なものとなっているのだ。
よって、評価は普通点とさせていただこうと思う。