PlayStation mk2 :: PS4評価レビューサイト

GOOD!

今作での変化は主にこの三点です
・2008年シーズン終了時データで支配下選手全員登録
・2008年度使用ユニフォーム完全収録。球場改修対応
・ゲームバランスの調整

支配下選手全員登録は文言通りの意味しか持たず、なんの注釈も必要ないかと存じますが、ゲームバランスについては気になる方も多いでしょう。そこで考証のために二十試合ほどプレイしまして、目に見えて5より改善されている点を下に列挙してみました。長くなりますが、ご了承ください。
（※記載していない点に関しましてはプロ野球スピリッツ５の項を参考くださいませ）
▼内野安打
バッターの走り出しが非常に早くなり、内野手の送球が緩くなり、かつ内野手の守備範囲が小さくなっています。そのため内野安打は非常に生まれやすくなりました。
またバッターランナーのスピードが上がったことで、ゲッツーが減少し三塁打が増加しました。これらのバランス変更は非常に現実に即した形になっており、俊足選手・左バッターの優位性がはっきりと生まれましたね。
▼打球感
・コースによる打ち分け
コース別に打ち分ける打撃をすることが要求されます。アウトローを引っ張っても中々ヒットにならず、×ボタンによる流し打ちも非常に脆弱なため、ここでようやく流し打ちボタンの優位性が確立されました。
・ゴロヒットの増強
内野手の守備範囲が狭くなり内野ゴロの打球パターンも増えたので、しっかりと捉えた当たりが正面を突くというパターンは減少し、内野の間を抜けるゴロヒットの割合が増えた印象です。内野安打の増加とも絡んで、ゴロを打たれたときの嫌らしさがなかなか上手く表現できているのではないでしょうか。
ポテンヒットの増加
ポテンヒットも内野の守備範囲がリアリティーを獲得したことに伴って微増しています。いい当たりが正面をつく割にポテンヒットが殆どなかった５と比べれば、打撃の爽快感はかなり増しましたね。
・逆方向への打球
後述しますが、逆方向への当たりにも改良が加えられています。広角打法の優位性はもちろんのこと、強振状態の流し打ちもだいぶ強化されました。
▼打者の個性
先にも少し触れましたが、広角打法という能力が非常に強力な武器になってます。同様にプルヒッター・流し打ち・アベレージヒッター・ラインドライブ・アーチスト・パワーヒッターなどの能力を持った選手の打球に特色が出るようになりました。
打者の個性はシリーズで一番上手く表現できていると思います。
▼ファールボール
細かい変更点ですが、なかなか嬉しい仕様です。
明らかにファールなのにバッターランナーが一塁に向って走り出すという部分も改善されています。残念ながら、完全に消えたわけではありません。
▼捕手の個性
リードレベルによってピッチャーのスタミナの減りが目に見えて顕著になったので、キャッチャーがチームに及ぼす影響が大きくなりました。
ワイルドピッチの割合がリアル目に設定されたので、捕球という能力値が非常に重要性を増しましたね。低めのカーブを捕球時に盗塁を仕掛けられたりすると、捕球の値が低いキャッチャーはなかなか上手く投げられなかったりします。
▼守備能力の個性
厳しい体制で捕球したりすると、スローイングの値が低ければ低いほどなかなか上手く投げられなかったりします。
サードやファーストが強烈な打球を捕球する際、なぜかスライディングするという仕様はなくなりました。
守備モーションのコマ数を増やしたのか、動きが前作よりも滑らかになりました。
▼AI能力の向上
・打球の方向
センター返し中心のバッティングで外野に殆ど打球が飛ばないなんてことも多かったのですが今作ではしっかりと改善されています。あと、緩い球はちゃんと引っ張りにきますね。
・打撃難易度
打撃難易度スピリッツの能力が上がりました。ただボール球もちゃんと振ってくれるので、理不尽な強さではないです。リードの幅はさらに現実的ベクトルに広がったのではないでしょうか。
難易度が最高だとセフティーバントなども仕掛けてくるようです（未確認）。
・監督AI
先発ピッチャーが五回くらいで降りてしまう仕様はどうやら改善された模様です。ピッチャーにもよりますが三失点くらいまでなら七回くらいまでならちゃんと引っ張ってくれますね。
・投球難易度
中に入ってくる際どいボールが増えました。前作と比べて緩急を上手く使ってくる印象もあります。
・走塁AI
ダブルスチールを仕掛けてきたり、中々積極的です。
▼細かい変更点
・スターダムモードにおける無駄に厳しい続投基準は緩和された模様です
・ペナントにてオリックスの神戸での試合は敵地判定にならなくなりました
・長打を打った際のバッターランナーの無駄なスライディングがなくなりました
・特殊能力ジャイロボールがスピン○に名称変更されました。
・外野に陣取るファンの比率は変わってないのですが、見るからにホームスタンドの客が多くなりました。
・デモシーンが増えました。
・三振シーンが幾分まともになりました。
・いくつかの変化球には軌道の修正が加えられています。フォークはよりフォークっぽくなり、体人戦における高速シンカー無双は幾分か軽減されました。
・追加されたフォームの完成度は由規や高橋尚をはじめ悪くないです。その他杉内や中村紀など、既存のフォームにも改良が加えられているものがあり、中々よく似ています。
・多田野の「超遅球」も中々の再現度です。体人戦では大変盛り上がるボールだと思いますｗ
・５で使い込んだ設定を決定版にまで引き継げるのはいいアイディアだと思います。コナミさんにしては細かい気遣いですね（汗

全体的に全選手登録ということもあって、個々の選手の特色をより濃く表現したいという製作者サイドの情熱が伝わってきます。
野球部分に関しては非常によく出来ていますね！

BAD/REQUEST

このゲームというよりかは、このシリーズ全般に対する不満となりますが…

・ペナントがまだ弱いような…
パワプロではいまやCp制度が導入され、FAの人的保障まであることを考えると、FAすらないこのシリーズのペナントの魅力がはまだまだ弱い感が否めません。
フリーペナント的な要素がこの完全版にて復活しましたが、このシリーズの目玉にはなりえていないのが現状です。

・装備品に不備がありすぎるような…
私はあまりそういうことを気にする性質ではありませんが。
こればっかりは単純なミスだと思いますので、修正して欲しいものです。

・査定がマズすぎるような
選手選手の個性を前面に押し出した査定が増えているようですが、どこかイメージ先行の傾向があるように思えます。ex)阿部捕手のリード能力
あと、一部で騒がれていた阪神びいきの査定はやや緩和された模様です。

・選手紹介の廃止
このことを改悪と捕らえておられる方も多いようなので、Badの欄に書いておきました。
私個人としてはそこまで悪いことだとは思わないんですが。

・ミット音
これが一番批判の多かった部分ですね。
音源は現場から録音したものだと思いますが爽快感がなく、このゲームで唯一改悪された部分だと思います。

・グラフィック
まだまだ改善の余地があります。というか、PS3レベルで言えばぜんぜんまだまだですね。
このゲームの進化の余地を考えるとしたら、明らかに演出面での強化なんですよ。ないがしろにされている守備モーションとか走塁モーションはもっと増やされるべきだし、演出シーンなんかはいまの何倍あってもいいはず。その中にバットが折れるとか、ハーフスイングとかも入ってくるでしょうしね。

選手の顔が人間味のない顔をしています。木材を削り取って作ったようで繊細感がまるでないです。選手の体型にも疑問があります。体つきのいい選手にユニフォームがぴっちりしてるのはいいんですけど、細い選手の体型にまでユニフォームが追随するのがどうしても気に食わない。

・フィールドプレイ
先で野球部分を手放しで褒めましたが、フィールドプレイに関してはまだまだ課題が多いように思われます。
特に外野守備。もう少し快適なレスポンスを追求できないものでしょうか。

・応援曲
パワプロで応援パターンが増加していたので、期待してた分裏切られたと感じる部分でした。残念ながら前作から少しも増えていません。

・エディット諸々
エディット搭載が不可能なのは分かりました。ならせめて既存選手の体格・容姿などの使用できるようにするとか、オリジナル選手にも成績をエディットできるとか。そういう細やかな気遣いがあればいいですね。そうすればエディットがなくたって、不満の声はだいぶ少なくなるとは思うんですけど。

COMMENT

ゲームバランスはかなりよくなりました。マイナーチェンジ版とはいえ、プロ野球スピリッツ５完全版は紛れもなくプロスピシリーズ最高傑作であると断言できます。
ただ変更点が細かすぎるので、５を既に持っている方がフルプライズで５完全版を購入すべきかどうかは少し判断に迷う部分です。もちろん前作を売れば感覚的には安くなりますが、PS3版ならそれでも5000円くらいの出費は覚悟せねばならないでしょうし…。この変更に5000円の価値はあるかなぁ。
私は十二分にその価値はあったと思っています。しかし、皆様におきましてはどうでしょう。一般化して考えて見ようと思えば思うほど、答えは出そうにありません。
（※公式ページに『５の持ってない人に買ってもらうのが理想』との言葉がありますが、本当にその通りだなぁと思います）


このゲームはシリーズが進むにつれて緩やかながらしっかりと完成に近づいてきてるのが分かる、大変稀有なゲームです。そして、そのシステムバランスは今作でほぼ完成したと言っても過言ではないでしょう。ですから、満足度と熱中度に最高評価である「５」をつけさせていただきました。

この出来に開発スタッフが慢心せず、次回作となるであろう６でどのような改良を加えてくるつもりなのか、非常に期待しています！

長文大変失礼いたしました。