【PS4】ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて レビュー
発売元 | スクウェア・エニックス (オフィシャルサイト) |
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発売日 | 2017-07-29 |
価格 | 9698円(税込) |
レーティング | 【A】全年齢対象 (CERO について) |
ショップ/リンク | Amazon |
タギングトップ3 | |
タイトル概要 |
■ ジャンル:RPG ■ プレイ人数:1人 |
- 総合ポイント
- 72
- (難易度)
- 1.31
- レビュー数
- 29
オリジナリティー | グラフィックス | サウンド | 熱中度 | 満足感 | 快適さ | (難易度) |
---|---|---|---|---|---|---|
3pt | 3pt | 4pt | 1pt | 2pt | 2pt | 1pt |
43pt
GOOD!
今までのDQを振り返るリバイバル的要素のナンバーであり
懐かしいBGMや固有名詞などを作中に組み込んでいる。
同時に意欲的な新要素も幾つか取り込んだ独特さもあり
グラフィックは格段に進化していました。
戦闘は公式が縛りプレイを用意する程にデフォではヌルい。
回復ポイント・セーブポイント・オートセーブが多めで
ライトユーザーでもクリアし易い難度になっています。
ネトゲからの流用であり事前に心配された鍛冶システムですが
個人的にはこのくらいなら苦痛に感じる手間でないと思います。
大成功の+3作りは殆ど趣味の領域なようなゲーム難易度ですので。
ジャンプやモンスターによる飛行は面白かったと思います。
生身ジャンプが最初の都市でネタ使い切られ、あと傾斜に使うだけになる失速感は残念ですが。
BAD/REQUEST
マップの広さに比して主人公があまりに遅く、オートランやジャンプより
生身にもダッシュをつけてくれと言いたくなります。
本作の癌はストーリーにあり、使い回しな展開が非常に多い。
実は悪人だったー騙された!パターンが胸やけするほど含まれており
何の事情説明もなく見返りもなしに手伝ってね!!(勇者ならこのくらいやって当然だよね!)
という展開が続くのもうんざりします。善意を強要する割に勇者は序盤以後長期に渡り極悪人扱いなんですが。
実は倒したボスが死んでない!→NPCの見せ場活躍で撃破も繰り返されますが
プレイヤーの育成努力による戦闘結果はシカトで開発様の演出した必殺技が全て!をDQでやるなと
とても強いNPC様に護衛していただくソロ()バトルも頻繁ですが
DQ5で成人してもパパスがついてくるような戦闘のどの辺がウリなのでしょうか?
勝っても達成感がなく冗長な間延びした戦闘になるのでひたすら退屈です
戦闘にかかわるイベントが基本、主人公をNPC様のかませ役に使っており
何百と魔物を始末してきた勇者がイベントでは初めてスライムと相対したような
情けない有様でオロオロするばかりの描写を見せられるのは激しく熱中を削ぎます。
勇者が指名手配犯という展開から、後半になっても英雄NPC様の名無しのお供扱い受ける始末。
そして後半で作中最大の事件が起きるのですが、
それが発生した原因が……(ネタバレにより削除いたしました)……して発生、というハァ?と言いたい理由で発生します。
あと何LVか上げればラスボス始末できる後半にきて絶対勝てない悪役様劇場が始まることといい
どれだけ操作キャラを間抜けな雑魚扱いすれば済むのかと。操作してる人間を馬鹿にしすぎでは?
サブクエ、特に人探し系は時刻限定など条件を搾る割にノーヒントで報酬はカスなどもう少しやる価値を持たせて欲しい
COMMENT
ゲーム自体はヌルさはともかく光る部分も感じましたが
聊か出来の悪いストーリー演出がプレイ内容に比して多いことが
本作の熱中度を大きく害してる印象があります。
図鑑埋めを派手に失敗したとは思いますが、2週目この劇場を見たいかというと……
次回作ではNPC様の活躍の横でウロチョロする操作キャラという構図を疑問に持って頂きたいと思います。
オリジナリティー | グラフィックス | サウンド | 熱中度 | 満足感 | 快適さ | (難易度) |
---|---|---|---|---|---|---|
2pt | 4pt | 3pt | 2pt | 2pt | 2pt | 1pt |
45pt
GOOD!
どこを切り取っても、往年のドラクエシリーズらしさ全開で楽しめます。
ただ、今作はどこのレビューサイト見ても結構賛否あります。
■ストーリーは想像の上をいく事はさほどありませんでしたが、しっかりとした王道路線なので幅広い年齢層の
方々が楽しめるかと思います。
私は初代からほぼ全作プレイしてますが、そういう歴代ファンにも新規の方も楽しめる様な仕上がりは
素晴らしいですね。
堀井氏のストーリー、すぎやま氏のBGM、鳥山氏の画の組み合わせは、やはり落ち着きます。
まぁさすがに30年という月日で飽きが来ている方々も多いのは事実ですが・・・。
少なくとも、『ドラクエらしさ』はしっかりと出ていますので、ファンには嬉しいかも。
■グラフィックもドラクエの雰囲気を壊さずに高画質にしているのは好印象。際立って綺麗とまでは
言えませんが、十分満足いくレベルだと思います。
特にモンスターの仕草はひじょうに良いです。スライムナイトの戦闘時はスライムに騎乗しているのに
フィールドではスライムを気遣う感じで一緒に歩いている姿は、戦うのを躊躇うくらいです。
モーションの種類は少ないですが、個々によって戦闘とフィールドでの生態が違うのは面白いですね。
BAD/REQUEST
今作は、あえて書くと賛否の否の方が少し目立った様な感覚がありました。
■全てにおいて、良くも悪くも古臭い印象。ただ、この箇所は『だからこそドラクエ』という意見も多いと
思いますし、私もおおむね賛成です。おそらく制作側も大事な芯の部分は守ろうという思いで作ったの
かなと感じました。
が、2017年のこのご時世にここまで懐古的な作りをしなくても、とも思えます。
先が読みやすいストーリー・キャラ達の親切すぎる説明付きの言い回し・無駄に初代から踏襲している
効果音やテンポが悪いシステム系等、そこまで徹底して昔のドラクエを踏襲する必要があったのか
少し疑問です。
効果音も1つ1つに懐かしさは感じますが、ここまで無理に入れ込む必要はないのではと思う箇所が多々。
セリフもあえて文字のみで、感動のシーンも声の演出は一切なし。
プレイ再開時にあらすじが出るのですが、あらすじを表示中にロードすればいいのに、あらすじを全表示後に
改めて15~20秒ほどのロードをしだすという無駄な謎仕様。
買い物や他入力操作のレスポンスの悪さ等、あえて歴代らしさを大事にして変更してないとは思いますが
『ここをこうすれば・・・』と思う点が多々あります。
良く言えばここも『ドラクエらしい』。悪く言えばただ単に不親切。
■戦闘方法は一応2パターン程ありますが、どちらも大して変わり映えしない作り。一応キャラを動かす事は
出来ますが、動かした所で敵を360度視点で見れるというだけで、背後を取ったからダメージが増える
わけでも回避が上がるわけでもなく、ただただ決まった範囲内を『動けるだけ』という微妙過ぎる仕様。
あれなら潔く今までの仕様のみでも良かったのでは。
戦闘前の敵の出現モーションも毎回見なければならないのも時間の無駄ですし、何人何匹出ようが
皆同じ動きなのも少し萎えます。ここはもう少しバリエーションが欲しかった所です。
■カメラワークは結構ストレスになる場面がありました。通常は問題ありませんが、森林等では木々が
透けないので単純に視界の妨げになります。
アップデートでどうにか改善してもらいたい箇所です。
■無駄過ぎるジャンプアクションとオートラン。ジャンプは同じ高さの所でも飛び越えれる箇所が
明確に決まっているし、行ける箇所も微々たるものなのでまったく必要性を感じません。
オートランもこれを導入するくらいなら倍速で移動できる様にしてもしかったですね。
どちらもなぜ採用されたのか疑問に思えるくらい無駄な仕様。
■購入した友人らでも賛否あったのが、セリフの音声なしという仕様。確かに歴代から派生まで含め
声は『ヒーローズ』しかありませんが、3DSは仕方ないとしても、初のPS4版として考えたら出来れば
導入してほしかった所。それかオンオフ機能で切り替えれる様にしてほしかった所です。
あと、ドラクエは歴代全て主人公はあえて無言というスタンスをとってますが、以前の2D時代なら
まだしも、今作みたいに綺麗な3Dグラフィックになってくると、この仕様は結構違和感があります。
ユーザーの補完でというのも大事だと思いますが、もうそろそろ勇者も会話しても良いのでは。
いつまでも身振り手振りだけで周りのキャラが『えっ!?~~~だって??』なんて勇者の代返を
するシステムはちょっと萎えます。
相変わらず仲間や身内がどんな事されようが感情を大して表に出さないので、本当にこんな淡白な
勇者でいいの?と思える場面も多々ありました。
もう11作目にもなるんですから、こういう面の進化はあえて取り込んでもいいのではないでしょうか。
■個人的に私含め、友人らでも一番の大減点だったのが、オンライン専用ソフト『ドラクエX』の
中身をかなり流用している点です。
背景・オブジェ・BGM・キャラ・各モーション・鍛冶システム等、細かい所まで結構な使い回し量。
歴代シリーズを基に作るのなら分かりますが、そのまま丸ごと持ってくるとなると完全に手抜き
にしか思えません。
オンラインをプレイしていない方には減点対象にはなりませんが、私みたいにオンラインも
プレイした方は、その使い回し度に真新しさ激減かと。
使い回しで言えば、歴代BGMやキャラもやはり使い回しが多いです。
ここも良く言えばファンには嬉しい懐古仕様ですが・・・。
キャラもドラクエ=鳥山明はもはや鉄板ですが、ここまで使い回し&類似が多いと、さすがに
飽きが来ます。大半が何らかのシリーズに出てきたキャラばかり。
というか、スクエニも鳥山先生に頼りすぎかと。1人で全シリーズを全て担ってくれば、
そりゃここまで類似キャラが氾濫しますよ。
主人公ら仲間キャラもどこかで見た事あるキャラを少し変えてるだけ、新規敵キャラも他敵キャラの
面影がちらほら。
私は鳥山世代なので作品や画自体はひじょうに好きですが、いくら鳥山先生でもこれだけの年数を
描き続けるのは流石に無理があると思えます。
かと言って他作家に変わったらドラクエではなくなる様な気もしますので難しい所ですが、
FFと違ってドラクエは新作頻度が極めて間があるので、せめて新作ごとの真新しさは出して
ほしいです。
ここまで全体的に使い回しが多いと、『ドラクエXI』というよりも『ドラクエX-II』ぐらいにしか
思えません。
COMMENT
グラフィックだけが先行して中身はスカスカのFFシリーズと比べたら、ひじょうにユーザーの事を考え
作ってくれているなというのは伝わってきます。
BAD欄で色々書きましたが、総じて安定した面白さはあります。
が、私は正統なナンバリング作品としては、素直に大手を振って楽しめたとは言えませんでした。
なぜここまで使い回しばかりでOKが出たのか不思議なくらいの出来です。
『ドラクエX』をプレイした私には、それくらい違和感があり不満が残る新作でした。
これが8000~9000円というのは、あまりにも理不尽。ネームバリューだけで納得いく作品では
ありませんでした。
どこのレビューでも『ドラクエだから』という理由でかなり賛否が分かれていますが、昔ながらの
王道RPGがしたいという方、昔ながらの変わらぬドラクエが好きな方やオンライン未プレイの方々は
70点以上。
私みたいにオンラインをプレイした方、PS4作品だからもっと色々な進化を感じたい方は50点前後
くらいかもしれません。
ただ・・・何だかんだ言ってもあのドラクエならではの全体的な雰囲気やキャラ・グラフィックが
あわさると、楽しめてしまうんですね。
まぁそれでも8000円台は高い。良くて6000円台です。
オリジナリティー | グラフィックス | サウンド | 熱中度 | 満足感 | 快適さ | (難易度) |
---|---|---|---|---|---|---|
3pt | 4pt | 4pt | 5pt | 5pt | 4pt | 1pt |
89pt
GOOD!
本当に期待していた通りのドラクエです。
楽曲、雰囲気、システム、ストーリー、などなどドラクエが好きで待ち望んでいた人のイメージを全く崩すことなくプレイできます。
ドラクエのアニメ調の世界観なので画像がとびぬけて良いわけではないですが、それでもPS4版は水の表現や武器や防具の素材感、モンスターの質感など十分再現されていると思います。
楽曲も最近ではおなじみとなりましたが、本物のオーケストラによる演奏によるものなので聴きごたえあります。反対にキャラのボイスはなく、会話もいつものピロピロという効果音で進行しますが、この方がテンポがよく好きです。
戦闘は全く難しいことはなく、これまでのシリーズ通りです。レベルが上がった際にスキルポイントがもらえますので、それを各キャラクターのスキルボードに振り分けることで新しい技やステータス上昇などの恩恵があり、それを駆使して進めれば何の問題もなくクリアまでいけると思います。
BAD/REQUEST
GOODにはキャラのボイスがないことをプラスに書きましたが、最初のムービーで字幕が流れた時は一瞬とまどいました。これは好き嫌いが分かれるかもしれません。
良くも悪くも本当に昔ながらのドラクエなので、常にお使いのようなイベントで物語が進行します。最近のオープンワールドRPGなどが好きな方でドラクエに特に思い入れがない方はきついかもしれません。
戦闘のテンポは若干悪いかも。ただ、ドラクエ好きの方には許容範囲。
カメラ酔いする方が多いようなので、カメラ速度や視点の距離などを調整する必要はあるかもです。
COMMENT
一言で言うと『これでいい』です。
古臭いかもしれませんが、ドラクエが好きな人たちはこれがやりたいんです。新しいことにチャレンジするなら別のタイトルで発売すればいいと思います。エフエフもぜひ原点回帰してほしい。最新技術を楽しむだけがゲームじゃない。そんなものなくたって楽しいものは楽しいし、感動だってできます。
まだプレイ時間は浅いですが、しばらく楽しめそうです。9、10でオンライン要素を取り入れてからドラクエも終わりかと思ってしまいましたが、今後も期待できそうです。
Amazonレビュー
レビュー日: 2017-08-02
オンラインの10を除くとDSの9以来8年ぶり、据え置き機だとPS2の8から13年ぶりのナンバリングドラクエって事で全ての情報を遮断して楽しみに待ち、PS4版は近所の店で並んで買って、3DS版はアマゾンで注文っていう買い方をしました。
そして29日からは睡眠時間が削られて削られて…('д`)
ほんとに楽しい。
これに尽きる。
ほんと何をしててもドラクエテイストというか、自分は今ドラクエをプレイしている!という気持ちにさせてくれます。
時代の流れからか、「へんじがない、ただのしかばねのようだ」の様なおなじみの台詞が「へんじがない、すでにこときれているようだ」みたいにちょっと変わってたりするのは寂しいかなぁと思うけど、それでも台詞回しがほんとドラクエ。
勇者が居て魔王が居る王道のストーリーだからなんか古いなぁと感じる人も居ると思うけど、それがドラクエでそれを求めて1からリアルタイムでプレイしてる自分からすると「それがいいのに!」と言いたくなる。
戦闘も今時のRPGやってると古くさく感じるかもしれない。
でもやっぱりドラクエだからそれがいい。
…さて、コントローラー充電少し出来たし、次のキャンプまでは進めておかなきゃ!
GOOD!
【おもてなしを体現している】
「なにがドラクエか?」という話は人によって異なるとは思いますが、一歩引いた視点でまとめてしまえば「おもてなし」のサービス精神こそがドラクエではないでしょうか。
かわいらしいモンスター、レベルを上げればクリアできる難易度、因果応報がしっかりしたストーリー、迷いにくいレベルデザインなど、これらの要素を組み合わせて「プレイヤーを不安にさせない」「楽しんでもらう」という製作者の意志がしっかりと感じられました。
そして、過去作を思い起こさせるシーンや展開も多く、ファンサービスも旺盛な作品でもあります。
【様々なタイムスパンをもつ伏線が用意された、続きが気になるストーリー】
短いものであれば、町のメインクエストをこなせば伏線が回収され「めでたしめでたし」となります。一方で、もう一度その町を訪れ、違うクエストをこなしたときに回収される中期的なものがあったり、クリア後に回収される長期の伏線もあります。
様々なタイムスパンをもつ伏線を配置し、しっかりと回収することで「続きが気になる」状態を維持しています。展開に統一感と一貫性があり、また意外性も用意されており、満足度が高い。
ストーリーは基本的に一本道で、進行に自由度が増す中盤で船を手に入れて以降、若干緊張感が薄れますが、進行が一本道に戻ると再びストーリーが大きく動きだします。
攻略の難易度が簡単な分、詰まってレベル上げや金策に奔走するということもなかったため、次から次へとストーリーが進んでいきます。ご都合主義に感じることもありますが、それ自体は枝葉の部分で、プレイの没入感を妨げるほどのものではなかったと思います。
なによりも、それぞれのキャラをしっかりと掘り下げており、どのキャラの扱いも丁寧で愛着を持ちました。いたるところで本棚を全部調べていて良かった。ストーリーの出来は非常に良かったです。満足です。
また、サブクエストについてですが、連携や転生モンスターなどの機能の説明や攻略の手助けになる製作レシピ・レアアイテム報酬が少々という感じで数が絞られているのが特徴です。メインストーリーの分厚さを考えれば、的確なバランスだと感じました
【RPG史上最高の旅立ち】
ネタバレを防ぐために詳細を書けないのが心苦しいのですが、序盤の展開が特筆するほど優れています。
主人公が「お前は勇者だ」と告げられ、言われるがままに村から王国に行き、今度は一転して悪魔の子呼ばわりされ、逃避行の中で出身の村に戻って過去の経緯を知る……という一連の流れはドラクエ史上、いや、自分がプレイしたRPG史上最も優れた「旅立ち」ではないかと思いました。
とくに出身の村に戻ったときのひねりの効いた演出は最高でした。画面内の主人公と同じく、私自身もしばらく動けなかった……。
【先進的なクリア後コンテンツ】
「ニーア:オートマータ」っぽいといえば、そうなのかもしれませんが、メインストーリーのエンディングを早めに持ってきてゲームとして長くなりすぎないうちに満足度と達成感を与え、クリア後にアナザーストーリーと労力を伴うキャラ育成要素を用意し中古売り対策を行っています。
このクリア後コンテンツは単純な繰り返しコンテンツではなく、メインストーリーの裏にあった世界設定に関わるお話や回収しきれなかった伏線が回収されるという形のもので、真っ当なクオリティとなっています。ボスの難易度も上がり、キャラ育成を本格化させないといけない分、育成するためのコンテンツも別途用意されています。
あまり長いゲームはできなくなってきているというプレイヤー側の事情と、かといって短いゲームにするとすぐに中古市場に出回ってしまうという開発側の事情とが、うまく噛み合って Win-Win の解決になっている思いました。そういう点で先進的だと思いました。
【修正パッチなし】
これは本当に素晴らしいと思います。他のゲームが真似出来ない「国民的RPG」の誇りがゆえではないでしょうか。
BAD/REQUEST
他のゲームなら不満に思うことも「ドラクエらしさ」であり、ブランド価値でもあるといえますが、3点あります。
【カメラ酔い問題:障害物透過、背景のモーションブラー】
カメラに近い障害物がなかなか透過せず頑固に居座るので、画面のほとんどが障害物が埋まるシーンが多いです。結果、カメラをこまめに動かさないといけないので、酔いやすい。
また、ゲームの特徴的として、ツボ・タンス・宝箱を探してまわるので、屋内にいる間は狭い屋内でカメラを左右に振りながら背景を注視しなければならず、酔いやすい。 Witcher3 の「ウィッチャーの感覚」を常時発動して、しかも頻繁にカメラを動かす感じです。非常に負担が大きい。
さらに、背景のモーションブラーが悪いのか、背景のフレームレートを下げているのか、カメラを動かすと背景がガタガタに動き、この問題に拍車をかけています。
総じて、3Dゲームに対するノウハウが少ないのかな?という印象を受けました。ただ DQ10 にはこの問題がなかったので不思議です。今作では開発の初期段階でルーラをしたときのロードが30分かかったという話だったので、その最適化が重要課題で、カメラまでは手が回らなかったのかもしれません。
これからプレイする人にアドバイスしますと、カメラ設定を自分の好みに変えるのは各所で言われていますが、それだけでは間に合わないので、カメラを動かすときは画面左下のマップをみることをおすすめします。カメラ移動中に画面全体をみないようにすると良いと思います。
【セリフ付きムービーまでボイスなしは不自然】
ドラクエがボイスなしで違和感がないのは「吹き出し+セリフ+効果音」のスタイルだからだと思いますが、今作のオープニングムービーとエンディングムービーはそのスタイルが崩れているので、不自然でした。
この話はドラクエファンには嫌われるものですが、なにもフルボイスにする必要はないわけです。最近自分がプレイしたものだとイース8がありますが、重要なセリフと「やあ」「うーん」のような感動詞ぐらいしかボイス化されていません。テンポが悪くなることはないですし、むしろ移動中に状況説明などをしてくれるので没入感があります。
そうした部分ボイスにしないにしても、さすがにムービーであれ?ってなるのは潰してほしかった。ムービーにセリフをいれないというやり方もあったと思います。この違和感は「ドラクエらしさ」で擁護できるものではないですし、はっきりいえば欠陥だと思います。
【BGMが大きすぎる:音の大きさのバランスが悪い】
BGMの音量が非常に大きいです。ボイスがないので、歴代BGMを常に鳴らし続けようということなのかもしれませんが、常にBGMが盛り上がり過ぎている感じがして不快でした。もちろんBGMの音量を設定で心地よいレベルまで音量を下げたのですが、これには落とし穴があって、終盤の重要シーンで流れる BGM が今度は小さすぎて聞こえなくなってしまいました。
前述した2点と根本は同じように思いますが、PS4という世代の機器でプレイするには、心地よさの点で手が届いていない、あるいはノウハウが足りないのかもしれません。
COMMENT
総評に行く前に2点補足します。
【オフライン特化した DQ10 であり、 DQ10 再評価のきっかけになった】
敵のモデルやこちらの特技のモーションだけでなく、鍛冶のシステム、イベントの配置、マップを使いまわすストーリー構成、船操作時のマップなど、やればやるほど画質が良くなって全く別のお話になった DQ10 だと思いました。この画質で DQ10 をやったらどれだけ満足できるだろうかと思ったほどです。 DQ11 をやっていると DQ10 をやりたくなります。 DQ10 はMMOとしては異色の作品ですが、今回、改めて DQ10 が成し遂げたことの素晴らしさを実感しました。
ちなみに DQ10 の戦闘には「相撲」というシステムがあります。 DQ11 にはそれがなく普通のコマンドバトルに先祖返りしているわけですが、「相撲」は直感的なわりにゲームの難易度そのものを大きく押し上げてしまうので DQ11 にはなくて良かったのかなと思います。
※「相撲」がある DQ10 はプレイヤースキル差が大きく、サポート仲間と呼ばれるAI利用者(ソロプレイ)ではクリアが困難なコンテンツもあり、プレイヤー間の力量差が開きすぎた結果、難易度調整に苦労している
【オヤジ臭さとステレオタイプ、そして不気味さ】
2D時代や2頭身キャラを超えて、PS4版はアニメ的ですがリアルな描写になっています。この状態で「ぱふぱふ」やらツボを壊すのは違和感がありました。おいろけ要素や一部の連携技のオヤジ臭さとステレオタイプに「これはドラクエだが……いやしかし、なんか嫌だな……」と思わずにはいられませんでした。
いわゆる「不気味の谷」とは異なりますが、それまで「記号」として捉えられていたものがリアルになって「記号」としては考えられなくなっている要素が DQ11 にはありました。
「ポーランドボール」と呼ばれる国際的な偏見を扱うジョークがありますが、これの毒気が少ないのは「記号」として描いているからだと思います。また、ドラマの「勇者ヨシヒコ」はその毒気を徹底的にパロディにすることで無毒化しているといえます。
DQ11 ではこうした「記号」が普通にリアルになることで毒気が増してしまい、不気味になってしまっているのだと思います。今作の表現がギリギリだなと感じました。
【総評:過去作の集大成ではあり、ドラクエの良さを実感できる秀作だが、今後に不安を感じる】
コアゲーマーでなくても遊べる「おもてなし」精神にあふれ、「これぞ、ドラクエ」とファンを確実に満足させる出来であり、完成度も高い秀作です。
一方で、なにか進化の袋小路に入ってしまった感があり、このままでいいのだろうかと思ってしまう作品でもあります。この作品自体の出来うんぬんよりも、シリーズとしての今後に対する不安がよぎります。他の方のレビューで低めの点数が出ているのはそういった部分が反映されているからだと思います。
とはいうものの、今作そのものを評価する限り、ゲームとしては優れており「国民的RPG」の名にふさわしい出来だったといえます。