PlayStation mk2 :: PS4/PS3/PS2評価レビューサイト

GOOD!

○オリジナリティー/4点

システム自体は非常にオーソドックスなARPGのもので
特に目新しいものではないのだが、この作品では
カメラアングルを様々な位置に変える事によって
昔ながらの横スクロールアクションやゼルダの様な
上から見下ろし視点、またはFPS的なシューティングなどの
色々な要素を詰め込み、それらを状況によって
次々と切り替える事で、プレイヤーに新鮮味を覚えさせる。

今までのゲームの要素を取っ替え引っ替え
詰め込んだ、と言うと聞こえは悪いが、
全く新しいものを作らずに既存の材料を
うまく組み合わせて料理した、と言う感じ。
結果、「こんなゲーム触った事ない！」
とまでは行かないが
ミクスチャー的な「今までに無い」と言う感覚を
作るのには成功していると思う。

また、ボス戦闘等は弾幕シューティングゲームライクで、
今までのARPGとはかなり異なったイメージを受けた。
昨今の弾幕シューティングと同じに、
「こんなの避けられるか！」と言いたくなる弾幕が
目の前で繰り広げられるのはRPGとしてはとても新鮮。


○サウンド/5点

サウンドについては、楽曲が素晴らしいの一言。
悲壮感漂う世界観作りに見事にマッチしている。
殆どの曲に歌が入っており、
その一つ一つがとてもよく作り込まれている。
同じ曲のアレンジバージョンが多いが、
それらが効果的に使われていて
総合的な曲数自体はあまり多くないのだが、
プレイヤーを飽きさせない。
演出としてもとても良く機能しており、
とても良く「サウンドとゲームの相乗効果」
が感じられる逸品。
ボイスに関しても、声優さんの演技が
キャラクターにフィットしており
音楽での演出も相まって、
イベントシーン等での感情移入度はとても高い。

○熱中度/4点

ARPGであり、広大なワールドマップがある為に
オンラインRPGのようなクエストが大量に存在する。
その為、それらをこなしつつシナリオを進めると
ストーリーが間断なく進んでいくのも相まって
やめ時がわからなくなる。これは良い意味でも悪い意味でも。
また、ストーリーを早く進めたい場合は
ストーリーだけに集中して進めれば
とてもサクサクと進むため、
熱中度が削がれることもあまりない。
道中の難易度は人によってはやや難しめではあるものの、
タイトル画面でいつでも難易度設定が変更できるため、
自分は「難し過ぎて進む気が起きない」と言う様な事は無かった。
ストーリーがとても良い為に、
ストーリーを早く進めたいがクエストもこなしたい…
と言ったようなジレンマが起こって、
気がつくと時間が経ち過ぎていた！と言う状況が多くて、
一気にクリアしてしまった。
クリア時間はむしろ短い方なのだろうが
周回プレイを前提として作ってある作品のため
そこまで気にならないし、
やり込み要素をしっかり遊んで行けば
かなり長い間楽しめるだろう。


○快適さ/4点

前述のように、難易度に関しては設定が可能なため
遊びやすかった。また、インストールが可能で
(容量は4GBほど。結構大きめ？)、
インストールした状態であればロードも短く、
またロード中にちょっとしたコンテンツが表示されるために
ロード関係で不快に思った事はなかった。
ちなみにインストールしなくてもプレイ可能。

ボス戦等でゲームオーバーになった場合も、
リトライポイントの設定がとても親切で
すぐにやり直す事ができるため、
何度もチャレンジする気になった。
(例えば一つのボス戦がいくつかの段階に分かれている場合、
ゲームオーバーになってもゲームオーバーになった段階から
やり直す事ができる)

アクションの操作レスポンスも快適。
細かいアクション・魔法等は設定を変更する事で
自分好みに設定できる。欲を言えば、
魔法の数が多い為にボタンのコンビネーション等でもっと
ショートカットを魔法に振り分けて、設定画面を経由せずに
多種多様な使い分けができると良かったのだが。
また、キーコンフィグできるのはLRボタンのみなため、
攻撃ボタンをデモンズで慣れたR1に設定(個人的に)、
なども可能であれば更に快適だっただろう。

フィールドが広大なゲームは移動速度がネックになりがちだが、
今作では移動速度が高速なのと、
一部地域で使用できる乗り物が超高速なために
ストレスは感じなかった。

BAD/REQUEST

グラフィック/2点

グラフィックに関しては、PS3の作品にしては
とても奇麗と言えるレベルではない。
巷でPS2.5と言われているが、
正にその通りと言ったレベル。
ライティングや全体的な雰囲気作りがうまい為に
プレイ中はそこまで気になるものでもないが、
同世代の他作品と比較するとやはり
かなり粗が目立つ作りになっている。
エフェクト等も同様、奇麗と言えるレベルではない。

後は、ゲーム内のクエストの内容が
結構おつかいを強要されるものが多いため
(これに関してはまあ仕方がないとは思うが)
ルーチンワークになりがちなのが欠点か。

ゲーム途中で挿入されるサウンドノベル(！)
のシーンにおいては、意見が分かれる事と思う。
個人的にはアリだと思ったが、万人向けとは言いがたいだろう。
とても読ませる文章なのだが、やはりRPGを
プレイしようと思ってプレイしているわけだから
グラフィックが無くなって文字だけになるのは衝撃的だった。
しかし嫌いな人も、
決して長く続くわけではないので何とか乗り切れるだろう。

長時間PS3を起動しっぱなしでプレイしていると、
バッファが切れるのかサウンドの音飛び現象が起こる
(他での同様の報告あり)。
これは本体を再起動すれば解決するが
せっかくのサウンドがとても勿体ないし、
何より重大なバグなのではと思ってしまうのでマイナス。

一部のクエストや機能などの説明がやや不親切で、勘違いを誘うような作りになっていたりする。
例えば最初の釣りはみんな一度は騙されると思う。
本当に最低限のチュートリアル以外は、
自分で見に行かなければいけないと言うのも
気付かない人もたくさんいるのではないかと思う。

後、武器強化に使用したりクエストに使ったりする
一部の素材のドロップ率がとても低く、
素材集めにとても時間がかかり、
延々と素材集めをやらせるような仕掛けになっているのは
マイナス要素だと思う。
お気に入りの武器を鍛えたいのに、
必要な素材をどこで探せばいいのか検討もつかない…
と言うような事が多かった。
レア強化やとても難易度の高いクエストであれば
文句はないかもしれないが、
通常の武器強化やクエストでそれらの素材を大量に
消費すると言うのはやり込み要素の一つと
捉えることもできるが、それにしてもドロップ率が低かったり
入手方法が不明なものが多過ぎる。
クエスト等の説明ももう少し親切でも良かったと思う。

COMMENT

とにかく世界観やストーリーが素晴らしい作品。
最近の日本のRPGと言えば、
とってつけたようなストーリーやキャラクター描写に
お粗末な演出、と言うものが多いように個人的には感じたが
「ニーア」は久しぶりの大当たりの作品のように思える。
細かい所まで作り込んであり、
スタッフの熱意が伝わってくるようだ。

確かにお世辞にも「すごく奇麗」とは言えないグラフィックに
細かい要素への要望も沢山ある作品ではあるが、
何よりも「しっかり作ってあって、普通にとても面白い」
作品だと言える。

決して「こんなゲームはもう二度とないと言えるほど素晴らしい！」
と言うレベルではないが、純粋にフルプライスで
ゲームを買って満足できたと思える出来。

最近特に「損した」「売ったらいくらになるか」と
すぐに考えてしまうソフトが多い中、
完全新規タイトルでこれほどの満足度を与えてもらえれば文句無しである。

願わくば、こう言う「良作」にこそ
しっかり売れて欲しいものだとつくづく思う。

次回作がもしあったら、
今度はグラフィックも是非大幅に強化してください。
そうすれば文句の付けどころがなくなります！(笑)