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【PS3】機動戦士ガンダム ターゲット イン サイト

発売元 バンダイナムコゲームスオフィシャルサイト
発売日 2006-11-11
価格 7329円(税込)
レーティング 【A】全年齢対象 (CERO について)
ショップ/リンク Amazon
タギングトップ3
タイトル概要 ■ ジャンル:アクション・シューティング

【廉価版】
■ 発売日:2008/03/19
■ 発売日:2009/09/03
└ 価格:2,980円



オリジナリティー グラフィックス サウンド 熱中度 満足感 快適さ (難易度)
2pt 4pt 3pt 2pt 2pt 2pt 3pt
総合点
45pt

GOOD!

・グラフィック
機体のグラフィックは、さすがPS3と言える美しさです。
マップは特にすばらしいとは思いませんでしたが、
こまごました地表のオブジェクトもよく描き込まれています。
・ロードの短さ
インストールはしていませんがロードはあまり気になりません。
訓練でのブリーフィングがうっとうしいくらいでしょう。
ミッションを失敗しやすいだけに、リトライが素早くできるのはありがたいですね。
メーカーロゴを飛ばせるのも地味ながら評価してもいい部分だと思います。
・サウンド
BGMは特筆すべきものもありませんが耳障りなものもありません。
ボイス(およびテキスト)が日本語・英語切り替え可能なのは気分転換に
いいですね。
・機体の重量感
本作は他シリーズのようにビュンビュンブーストを吹かして高機動戦闘をする
作品ではありません。鈍重さと言ってもいい重量感と存在感は旧作を含めても
随一でしょう。
・機体の強化
ちまちまと機体を強化していくのはそれなりに楽しいです。
武装くらいは最初からすべて使わせてほしかったですが。
・ドム
他の機体を使った後にドムを使うと高機動っぷりがイカします。
要は方向転換や後退のスキと減速が無いだけなんですが。
・ヘッドバルカン
連邦軍の最大の発明はガンダムなんかではなくヘッドバルカンです!
武器が吹っ飛んだ時のまさに命綱。シミュレーション作品などでは冷遇されがちな
バルカンが、本作ではマシンガンと同等近い威力と射程、重要性を誇ります。
もしザクやドムにもバルカンがあったら一年戦争の趨勢は変わっていたでしょう(笑)。

BAD/REQUEST

悪い点の方がずっと多いです。

・インタフェース
まずミッション選択時のインタフェース。新規に増えたミッションも、
今現在選択可能なミッションもどのマップにあるかわかりません。
つまりいちいちマップを選択して確かめないといけません。
ミッションごとの期間制限も同じく確認しにくいです。

次にMS(機体)画面。武器の弾数・射程・攻撃力がわかりません。
なにかボタン操作があるのかもしれませんが自分が試した限りでは
表示できませんでした。ミッション前の武装選択では確認できますが……。
機体強化にしても、いったいどのような強化がされるのか事前にはわかりません。
本作のメカニックはいろいろ秘密主義のようです。

さらにMS購入画面。いったいどんな性能・武装のMSなのか皆目わかりません。
同じ軍隊にいるんだからそれくらい見せてくれたっていいでしょう。
機体強化もそうですが、高いカネを払って買う(本ゲームはポイント制で、
ミッションで稼いだポイントでMS購入や武装・性能強化を行う)んだし……。
これらの点はたぶん簡単に改善できるものばかりだと思うんですが、
テストプレイヤーの方は不満に思わなかったのでしょうか?
あと、ブリーフィング後の武装選択画面でMSの乗り換えができればよかったです。
たぶんブリーフィング中のローディングでマップといっしょに機体も
読み込んでるためにできないのでしょうが。

・演出
演出は地味にもほどがあります。キャラクターのグラフィックなし、
ムービーなし(PS3のソフトウェアアイコンのアレだけ)。戦闘中のイベントも
マップ上のMSの棒立ちor歩行姿に台詞が入るだけ。あとたまにカメラが動きますが(笑)。
一年戦争の進行もウインドウに表示されるテキストのみで表現されます。
オープニングとエンディングは一枚絵を表示していくだけ。
あと僚機もしゃべりません。ダメージを受けてもオペレーターが警告してくるだけです。
もしかしたら僚機はAIという設定なのかもしれませんが、機械音声でも
いいのでなんか言って欲しかったです。僚機としてシリーズ作品のキャラも使えますが、
顔もボイスもなく、名前と数値だけの存在では魅力も何もありません。このさい、
シリーズキャラを減らすか無くしてでも(僚機はラリーやアニッシュのような
特定の2人だけにしてでも)声は入れてほしかった。
そのくせ敵の断末魔はよく聞こえますが、主人公が盗聴してるのか、
オペレーターが盗聴してるのか、なんにせよ不自然かつ不要です。
原作でも敵が死ぬときに声が聞こえるのはニュータイプくらいだったでしょうに。

・役立たずの仲間
僚機に指示が出せますが、上述のように返事がないのでちゃんと入力できたかわかりません。
いちおう指示の効果はあるようですが、そもそも元の能力がダメです。敵を前にして
棒立ちになったり、もしくは自機に向かって(つまり敵に背を晒して)歩いてきたり。
敵MSの相手なんかできないし、させられません。戦車・航空機相手がせいぜいです。
僚機より友軍NPCの方がまだなんぼか役に立つ気がするんですが……。

そんな役に立たない仲間でも、弾避けにはなります。しかしその僚機が
なぜか出撃できない(もしくは1機しか出られない)ミッションがけっこうあります。
その背景は説明されないことの方が多いです。たぶん、表示能力の限界でしょうが……。
それともイジメですか? ジオンのラストミッションなんかひどいです。
ジオン地上軍の危機の中、同僚2人はなぜ待機だったんでしょうか……。
バランス取りにしても他にやりようがあるでしょう。

あと細かいところですがオペレーターももう少し仕事をしてください。
僚機がダンマリなせいで大変なのはわかりますが、どの方角から、何機、何のMSの
増援が来るかくらいは言ってくれても損はしないと思います。新型かどうかがわかるなら、
機種識別もできてると思うんですが……。みんな揃ってイジメでしょうか?

・戦闘
リアルを追求するのは大いに結構です。弾薬補給、部位破損など。
しかし本作では、自分はそれらの要素を不快に思うことの方が多かったです。
いちいちマップの端もしくは激戦区の中央部まで補給に戻らされるのはまだいいです。
改造が進むと弾数がかなり増えますし、補給作業中は無防備なため、緊張感があり
またいつ補給を行うか戦術的な判断が求められます。ただバズーカやビームライフルの
弾が少なすぎるとも思いました。だいたいが10発〜30発程度で、MSを一機撃破する
ためにはおよそ3発程度が必要です。命中率もそう高くはありません。
結果として、弾数が多いマシンガンばかりを使うことになりがちでした。

一方部位破損は不愉快に感じることが多かったですね。本作では仲間が役に立たないので、
ミッション中にメイン武器が破壊されるとほぼ詰みです。いちおう格闘攻撃も
できますが、敵が3機もいれば蜂の巣にされます。格闘は2、3回は斬りつけなければ
撃破できませんし、斬ってる間に胴体にバズーカを2発も食らえばおしまいです。
敵のバズーカやビームライフルを腕や武器に1発でも食らうと、あっさりと壊れますし……。
ちなみにミッション中に修理はできません。盾を捨てれば残った手で武器は使えますが、
もちろん両腕を無くすとどうしようもありません。
長いミッション後半に武器か腕がなくなると、ホント辛い。その場合、
無理に格闘するより、最初からやり直した方が確実で早いです。
ミッション初期に胴体にバズーカやビームライフルを食らった場合も同様ですね。
一撃でオレンジor真っ赤になるのは厳しいです。それで後半までがんばったのに
クリア直前にマシンガン数発でやられたりするより、やり直した方がよい。
演出とあわせて、なんでもリアルにすりゃいいってもんじゃないなと思いました。

リアリティとは別の問題としても、ロックオンのシステムが謎です。
視界に入った機体しかロックできず、視界から外れるとロックが解除されます。
もうちょっと融通をきかせてもよかった部分ではないでしょうか。
戦車や航空機と、主要な脅威対象であるMSとの種別切り替えもできません。
弾も限られているので先にMSを撃破したいのですが、切り替えしづらくて難儀します。
また破壊してはいけない敵ターゲットも平等にロックしてくれるので、
非常にイライラさせられることも、たまにですがあります。
ロックしてもサイトが出るだけで、機体名も体力も何も出ないところが
それに拍車をかけます。今なにをロックしているのか、目視以外ではわかりません。

あと航空機にやたら攻撃が当たり辛いです。航空機の動きはまったくリアルではなく、
ヒョロヒョロと上空を、あるいはカタツムリのように地形の起伏に沿って飛んでるだけ
なのですが、偏差射撃をしてくれる自動補正がないので、ちょっと旋回されるとビームも
マシンガンもまるで当たりません。これはMSでも同様で、ちょっと横に歩かれると
(走りやブーストでは当然)、弾が当たりません。自分も同じ条件なのはいいですが、
宇宙世紀だというのに射撃補正もないって……。ビームの速度も遅すぎです。
光速とは言いませんがもう少し早くてもいいでしょう。弾のグラフィックも手抜きですね。

また細かいことですが、リロードアクションがありません。ドムなどではフル改造で
750発ものマシンガン弾薬を持てるのですが、まさかこれが1マガジンに入ってるわけもない
と思うのですが。このためマシンガンは敵味方ともにほぼベタ撃ちになってしまい、
リロードのタイミングを気にすることもありません(できません)。
弾薬補給のタイミングがそれに代わるものですが、戦闘中のマグチェンジと
戦術的な補給では意味合いがまったく違うものでしょう。リアリティを掲げている割に、
これはよくわからないオミットです。

・マップとミッションの少なさ
マップは全部で8つしかありません。連邦・ジオン編ともにマップは共通です。
地形的な特徴やオブジェクトもあまり多くはありません。
そのくせたいがい狭いです。戦闘中、マップの端にひっかかることが頻繁にありました。
見えない壁扱いなので、気付かずにひっかかると敵の弾を食らいやすくなります。
これでまたストレスがたまります。前世代機の作品の方がまだ広かった気がします。

ミッションも特に目新しいものは無し。敵全滅、護衛、一定時間耐久、特定の敵・施設破壊、
そんなところです。すべて前世代機からあったものですね。

・難易度
私がヘタクソというのもあるでしょうが、高いといってもいいと思います。
少なくともアクションおよびシューティングゲームにおけるライトユーザーには
薦められません。敵の射程が長い(視認できる距離なら精確に撃ってきます)うえに
被ロック警告がなく、被ダメージが高く部位破壊が致命的なことが高難易度の原因です。
一部理不尽なミッション(ワケもなく僚機出撃不可とか、ただの航空機に一定エリアに
進入されるだけで失敗とか、両腕を破壊して無力化した敵を逃がしただけで失敗とか)も
ありますが、ゲームとしての理不尽さの範囲内でしょう。

ポイント&経験値稼ぎ用の訓練ミッションも通常ミッション並に難しかったりしますが、
中には非常に易しく、かつ報酬を稼げるステージもあり、救済措置とも思われます。
ただそれは別としても、基本スコア(ステージクリアでランクに関わらず貰えるスコア)の
違いにより、同じ訓練なのに、がんばってSランクでクリアした基本スコア500のステージ
より、開始十秒で胴体を貫かれてやられた(訓練はやられても報酬がもらえます)
基本スコア1000のステージの方がスコア=報酬が高いこともあるというのは
どうなんでしょう。機体改造が進まないうちはどうしても稼ぎプレイが救済ステージに
集中しやすくなり、ただでさえステージ数が少ないのに、飽きが早くなりがちです。
基本スコアはそのままに、もっとランクによるスコアを大きくしても
よかったように思います。

・バグ
これは環境によるかもしれませんが、マシンガンやバルカンをベタ撃ちしていると
音声にノイズが混じり、最終的には全音声が消える現象が3、4度ほどありました。
ソフトの再起動で直りますが、本作以外では遭遇したことのない現象なので悪い点に
入れておきます。

COMMENT

以上および以下の評価は、難易度ノーマルで連邦・ジオン両編をクリア後のものです。
対戦プレイはしていません。

本作は、グラフィックとそれに関する演出以外は、すべて前世代機でも
再現可能な作品だと思います。キャラゲー、原作ゲームとしての演出は、
むしろ大幅に退化している、もしくは意図的にオミットされています。
本作はむしろ「MSゲー」と言った方が正しいでしょう。
モビルスーツの重量感と美しさがすべてです。
しかしPS3ローンチソフトということを考えても、インタフェースの作り込みの甘さなどは
技術的問題以前のものですし、美麗なムービーが無いのはむしろハードの
性能アピールとしてマイナスではないでしょうか?
本作では「リアリティ」が特徴とされていますが、作り込みの粗さを
リアリティの名のもとに押し切ったように思えてなりません。
確かに自分もミリタリーやメカニック方面のリアルさは望むところですが、
こういうやり方でしか表現できないのなら、リアリティなんて捨ててくれてもいいです。
ゲームとしては、PS2戦記やジオニックフロント等の方がはるかに面白かったですね。
リアリティにしても、戦術や仲間の重要さを描いたジオニックフロントの方が、
戦争・戦場のリアリティ表現としては成功していると思います。
本作は、戦記タイプのシューティングゲームに、グラフィックに合ったリアル「っぽい」
仕様をそのまま工夫もなくねじこんだだけに思えてしまいます。
本作から次回以降の作品が受け継いでほしいと思えるのは、グラフィックだけです。
つまり私にとって、本作はグラフィックくらいしか手放しで評価できる点はありませんでした。
このグラフィック(あくまでグラフィックだけ、です)で旧作品群をリメイクして
ほしいものです。

本作はローンチタイトルですが、内容的にはガンダム作品ファンに向けたものとも
それ以外のアクションゲームユーザーに向けたものとも言えません。
前者にとっては演出があっさりしすぎており、後者にとってはリアリティを重視した
重たい動き、単純なシナリオとミッション内容で、共に訴求するところがありません。
それは今現在においても同様で、本作は上述のように、リアルなモビルスーツを見て
動かしたい、「MSゲー」をやりたいと思う人にのみ薦められます。最近ガンダムゲーを
やってないから久々になんかやるか、という私のような人には向きません。少なくとも
3000円を出す価値はありません。1500円くらいなら手を出してみてもいいかな、と思います。
とはいえ、「しょせん(やっぱり)ローンチ」「しょせんキャラゲー」
「しょせんバンナム」のすべてが通用してしまうソフトなので、あえて買うことはない、
というのがいちばんの正解のように思えます。
しかし以降、いつかこのグラフィック(後発なのだから本作以上でしょう)で
面白い内容のガンダムゲーを遊べると思うと、非常に希望が持てます。
その希望が叶うことを、PS3戦記の悪評を読みながら祈るばかりです。

そういえば、リアルさを追求した本作でひとつわかったことがあります。
やっぱりMSはリアルな兵器としてはダメですね。最も守るべき場所である胴体の
投影面積が大きいため被弾しやすく、武装が換装可能とはいえ装甲の薄い腕がやられたら
ただの的(ヘッドバルカン考案者はここをよくわかってた!)。
頭をやられたらセンサーが死に(そういえば、本作ではカメラは死にません)、
脚をやられたら機動力低下と、どこを撃たれても致命傷です。
人間と同じカタチしてるんだから、アタリマエだろといえばそうなんですけどね。
ロマンがないです。本作自体もそうなんですが。

 
プレイ時間:15時間以上30時間未満(クリア済)
メビさん  [2010-11-29 掲載]

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総合ポイント
53
(難易度)
2.68
レビュー数
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70-79
7.1%
80-89
0%
90-100
【60点以上】
39.3%
【標準偏差】
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