【PS4】DOOM(ドゥーム)
発売元 | ベセスダ・ソフトワークス (オフィシャルサイト) |
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発売日 | 2016-05-19 |
価格 | 8618円(税込) |
レーティング | 【Z】18才以上のみ対象 暴力 (CERO について) |
ショップ/リンク | Amazon |
タギングトップ3 | |
タイトル概要 |
■ ジャンル:アクション ■ プレイ人数:1人(オンライン:2~12人) |
- 総合ポイント
- 78
- (難易度)
- 2.20
- レビュー数
- 5
スコアチャート
GOOD!
20年以上の時を経て復活した、おっさんゲーマーには懐かしく若者には新鮮な、とにかく走って殺して回復してシークレットを探して殺して走ってを繰り返すオールドスクールFPSは、昨今のリアルよりなのだかスポーツよりなのだか今いち線引きが曖昧な粗製乱造されるゲーム群において、頭一つ二つ飛び越えた感がある。
移動スピード、武器の破壊力、グローリーキルの爽快感、どれをとっても全くストレスなく機能するデーモンぶち殺しゲーム。
カバーに入ったり裏をいたりスキルやパークを駆使するよりも、火力と勢いで敵を殲滅するために走り回り、殺しまくる古き良きデザインとなっている。
特に、自動回復が存在しないため、回復や弾薬補充のためには敵をグローリーキル、あるいはチェーンソーキルしなくてはならない様は、まるで泳ぎ続けなくては死んでしまう人食い鮫にでもなったかのよう。
ショットガンで敵の半身を砕き、グローリーキルで口を裂き、BFGでマップ中の敵を肉片にする描写がてんこ盛りなのに暗い気持ちにはならず、MANHUNTやSOF、Kingpin、初代POSTALほど気が滅入ったり、陰鬱にならない。
本作の明るいバイオレンス描写は、ひたすら果物を切り続けるだけのFruit NinjaやMORTAL KOMBATシリーズにも似たスカッとした爽快感だけを味わえる。とりわけBFGで敵を一掃した時などは、エアパッキンを絞って全滅させたときの爽快感に似ているかもしれない。
とにかくテンポの速いゲーム進行。一部(後述)を除いて立ち止まったり、進行が阻害されたりすることのない飽くなき殺戮行脚。
寡黙だがとにかく粗暴で暴力的な主人公。
開幕から終幕まで、ほとんどのオブジェクトに対して、殴る蹴るの暴行を加える。
どれを使っても(そこまで)ハズレのない武器の数々。
種類が多いとは思えないけれど、それぞれにMODが付与されているため、単純に使い勝手としては武器がデフォルトの倍実装されているように思え、そのほとんどが使っていて楽しい。
最高の音楽。
DOOMといえばメタルといった風情があるが、それを吹き飛ばす、或いは書き換えるために据えられた音楽は、メタル調でありながら90年代末期のNINやTOOLを思わせるインダストリアル色が強く、DOOMとQUAKEの融合を思わせる。
さらに単なるインダストリアル・メタルに終始しているわけではなく、エレクトロニカ風のアレンジが加えられていたりと、旧来のメタル音楽に合わせて暴れるだけDOOMというスタンスにより高次元なエッセンスを加えている。
ボリューム感あるシングルシナリオ。
オープンフィールドでアップグレードのためにお使いミッションをやたらと繰り返しやらされるようなFPSと違い、探索を除けばほぼ一本道のつくりなのに不足感はなかった。
武器のアップグレードや、マップごとのチャレンジで作業感が多少あるとはいえ、マイナスになるほどのことではない。
BAD/REQUEST
FPSの始祖としてオリジナリティを本来なら5にしたかったところなのだが、作品の肝となるグローリーキル自体がBRUTAL DOOMの逆輸入であることを考えれば、どうしても1点減じざるを得ない。
限定されたマップ内で敵を殲滅するアリーナ戦が随所に設けられており、ほとんど場合そこにはパワーアップアイテムが設置されているのだが、パッと見わかりづらかったり、殲滅した後で気づくようなパターンが多く、都度マップを開いてアイテムの有無、所在を確認しなければならない(厳密にいうと、確認したほうが有利に戦闘を進められる)というデザインは幾分面倒に感じられた。
デザイン上パワーアップアイテムを拾って敵を殲滅するのが有利だと推奨されるのだから、もっとわかりやすく、目立つ場所にアイテムを置いておいてほしい。
グラフィックに関しては、ライティング、主人公、敵のテクスチャが及第点なのに対し、マップの一部オブジェクト、遠景等に粗が目立つため、これに関しても1点減点とした(PC版最高設定においてもテクスチャの粗は目立った)。
一部イベントにおいて、しょうもない話を延々と聞かされるパートがいくつかあり、それがゲームのスピード感、爽快感を削いでいると感じられた。
DOOMにある程度ストーリー性を持たせたいという開発側の気持ちはわかるが、大して意味のないイベントでデーモンぶち殺しプレイを阻害されるのは、多少ストレスであった。
また、物語も言うほど深くないため、そこまでキャラクターや真相を掘り下げる必要があるのだろうかという疑問にもとらわれた。
最近のゲームにありがちな、続編(あるいはDLC)にぶん投げるエンディング。
スタートからそこまで爽快にプレイしてきたのに、最後の最後で裏切られたというか、今いち消化不良なエンディングを味わうことになる。
初代、2にあった、パンクっぽいというか、変なカリアゲの主人公の顔がUIに表示されないのは多少物悲しい感じがした。
リメイクFPSにありがちな、旧来のデザインを廃し、より近未来的、SF的にアレンジされた武器。
拳銃、ショットガン、スーパーショットガン、アサルトライフル、ミニガン、ロケラン、ここら辺はオリジナルを踏襲したデザインにしてほしかった。欲を言えば、プラズマライフルを箱型にして、BFGを変に扁平にしないでほしかった。
COMMENT
長い年月を超えて甦ったDOOMの新作(個人的に3はなかったものとしたい)。
幼少時に見た走って殺して殺して走っての精神は、今作にしっかりと受け継がれている。
あのころと違いおっさんと化した私ではあるが、あどけない子供時代と変わらず、走って、跳んで、撃って、殺して、シークレットを探し続けるのが楽しくてならない。
95年にジョン・D・カーマックやジョン・ロメロが放ったDOOMのせい(より厳密に言えばWolfeinstein 3Dのせい)で、我々FPSプレイヤーは、マップをうろつき、武器を拾い、敵をぶち殺すってだけの作業を、猿のように延々と繰り返す羽目になってしまった。
挙句の果てにこの連中がネットを介した対戦(ドワンゴやKALIのせいだ)、Co-opなどをゲームに取り入れたせいで、我々の睡眠時間、可愛い彼女や気の置けない友人と過ごす時間を根こそぎ奪い取ってしまったのだ(可愛い彼女や気の置けない友人が私にいないのは、それらに時間を割かせないFPSのせいに違いない)。
とはいえ、コントローラー、或いはKBとマウスを握りしめた途端、私はスポンジのように軽い頭に脳内麻薬のどくどくした分泌を味わい、殺すか殺されるかのバイオレンスな世界に身を投じることができるのだ。
おま国や規制、誤訳等で取り沙汰されるBethestaだが、昨年のFALLOUT4は無規制だったし、Wolfeinsteinのリメイクも充分満足のいく出来となっている。
願わくば先に述べた諸々の問題解決に取り組み改善し、今後も優良なコンテンツの普及をしてくれるよう願ってやまない。
(MPに関しては未プレイ。シングルだけの不足レビューであることをご承知願いたい)