【PS4】フィリスのアトリエ ~不思議な旅の錬金術士~
発売元 | コーエーテクモゲームス (オフィシャルサイト) |
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発売日 | 2016-11-02 |
価格 | 7344円(税込) |
レーティング | 【B】12才以上対象 セクシャル (CERO について) |
ショップ/リンク | Amazon |
タギングトップ3 | |
タイトル概要 |
■ ジャンル:錬金術再生RPG ■ プレイ人数:1人 |
- 総合ポイント
- 69
- (難易度)
- 2.00
- レビュー数
- 6
スコアチャート
GOOD!
■安定感のある調合システム
アトリエシリーズの肝となる、素材を集めて別のアイテムを生成するシステムです。
前作、ソフィーのアトリエと同じく、マスを埋めるパズル形式の調合になっています。
システムの詳細は説明すると長くなるので、公式HPなどをご覧ください。
はっきり言ってしまえば、前作からほとんど変化していません。
追加要素である触媒は、うまく使うことでより良いアイテムを作ることができる……というものなのですが、前作にあった錬金釜の選択と似たようなもので、また今作では錬金窯は選べなくなったため、単に入れ替わったような感じです。
しかしながら、前作の調合はわかりやすく、それでいてやり込みがいもある面白いシステムでしたから、それを引き継いだ今作の調合も同様に面白いものになっています。
前作を既プレイの人だと、少し新鮮さに欠けて物足りないと思うかもしれません。
前作をプレイしていない人は、コツを掴むと一気に面白くなる感覚をとても楽しめると思います。
また、今作で追加された、調合システムの一部である熟練度システムは非常に劣悪なシステムのため、BADで個別に記載します。
■オープンワールド風のマップになり、旅をしている雰囲気が出ている
シリーズのこれまでの作品でも、主人公が旅をしている設定の作品はありましたが、すごろくのようなマップ移動のためさほど旅をしている実感はありませんでした。
今作では広大なマップの中を歩き回って素材を集めるようになっており、また、ゲーム序盤の目的であるライゼンベルグまでの道のりは船に乗り山を越え……と旅には欠かせない要素が詰まっています。一応、ネタバレになるため詳細は伏せますが、道中の困難を錬金術で乗り越えるシチュエーションもあり、不思議な旅の錬金術士のタイトルに相応しいマップになっています。
また、一部情報媒体などでオープンワールドと宣伝されていたように思うのですが、あくまで"オープンワールド風"です。
マップ同士の繋がりはロードを挟みますし、あくまで、隣接するマップの繋がりが自然に感じられるように工夫されているだけです。
■旅するアトリエによる熱中感と止め時のなさ
広大なマップで自由に採取をできるようになったのに合わせて、今作ではアトリエが移動式になりました。
たき火のあるところならどこでもアトリエが出せるようになり、快適になりました。
素材を採取したあと、街に帰還してからあとはなにが必要なのか確認して……という手順がカットされて、材料が不足していたらすぐに採取に戻ることができるようになり、この辺でセーブして止めておこう思うタイミングがありません。
過去作では街に戻って調合を終えたタイミングで「一区切りついたなぁ」と感じるのですが、今作ではそれがなく、調合を終えても「次はこれを集めよう」と思わせるようになっているのです。過去のアトリエシリーズをプレイしたことがない方にはちょっと分かりづらいかもしれませんが、この移動式アトリエのおかげで、今作はアトリエシリーズでも一、二を争う熱中度を誇るように感じました。
■魅力的なストーリーとキャラクター
パーティメンバーはもちろん、重要なサブキャラクターである公認錬金術士の面々も個性的で魅力があります。
今作では特に、最初に公認錬金術士たちから3枚の推薦状を書いてもらうことが目的となるため、どういう人物なのか……というのは重要です。
公認錬金術士たちは、人の役に立ってこそというお人好しや、常に錬金術の上達を目指すべきだという研究者タイプなど、様々な価値観を持っています。そうした錬金術士たちを見て、フィリスはどのような生き方を目指すのか……というのが本作の大まかなストーリーで、テーマでもあります。
大雑把に言うならば壮大な自分探しの旅といった感じです。劇的な展開こそありませんが、フィリスがどんどん(良くも悪くも)成長していることが強く感じられるので、好きな人は安心して楽しめるストーリーだと思います。
その反面、上に書いた通り劇的に盛り上がる展開や、先の読めないハラハラするようなイベントなどは期待できず、人によっては退屈と思うかもしれません。このあたりは、アトリエ(特に、PS4/Vitaの"不思議な~"シリーズ)の個性の一つであるため、ストーリー・雰囲気が合うかどうかは一度プレイして判断してほしいです。
BAD/REQUEST
■熟練度システム
調合システムの一部として追加された要素です。
同じアイテムを繰り返し調合することで、完成品の品質や作成個数が上昇していく……というシステムなのですが、はっきり言って煩わしいだけのシステムになってしまっています。
その原因は、熟練度によって特性の引継ぎ数が増えていくことです。
特性というのは、様々なプラス効果・デメリット効果があり、例えば『猛獣の力』というのは、攻撃力を上昇させる特性なのですが、これが『丈夫な骨』という素材についていても意味がありません。うまく調合していくことで、『猛獣の力』の特性をもった武器を作ることで、初めて効果が発揮されるわけです。
このように特性の引継ぎを繰り返し、理想の特性をそなえたアイテムを目指すのがアトリエの醍醐味の一つです。
しかし、今作では熟練度が低いアイテムには1つくらいしか特性を引き継がせることができません。
そのため、『ただ熟練度を上げるためだけの調合』という不毛な、単に素材を集めるのが面倒なだけの作業が必要になることが多々あります。
触媒というものを駆使することで熟練度が低いアイテムに複数の特性を引き継ぐこともできる……のですが、この触媒というのも消費性なので、数を揃えるのは面倒です。また、熟練度を上げた状態で他の触媒を使えばもっと高性能になるのですから、解決になっているとは言い難いです。
アトリエは思い通りのアイテムを作成するまでの手間も含めて楽しむ、という部分もありますけど、この熟練度システムは単にプレイヤーの足を引っ張っているだけで、そこに何の面白みもありません。良いアイテムが欲しければ、時間をかけて同じものをたくさん作ってね、というだけですから。
ただし、ストーリーを進めるだけならば、熟練度上げは一切必要ありません。(ストーリー進行に熟練度は要求されません)
その点はまだマシだと思います。
■バグ・エラー
現代のゲームですから、多少のバグは仕方のないところでしょう。
が、しかし、今作のバグは多少ではありません。
いるはずのないキャラクターがその場にいるような苦笑いで済むレベルのものから、マップを歩いているだけで強制終了するものまで、かなりの数のバグが確認されています。
アップデートによって致命的ないくつかのバグが解消されましたが、2016/11/13の時点では、まだまだバグが残されています。
今後のアップデートで解消されることを期待はしていますが、現時点では、ある程度のバグは覚悟してプレイしなければなりません。
■戦闘のテンポ
悪いとまでは思いませんが、今一つ。
スキルを使うと、上半身(or顔)のアップ⇒発動⇒命中と分割されているような感じで、全体的にもっさりしています。
初期パーティーメンバーであり、必然的に序盤は頼ることになるリアーネは弓使いなのですが、この弓矢がまた、なんとも遅い。
全体を通して、もう少しキビキビ動いて欲しいなぁ、と思いました。
前作には早送りがあったのですが、どうしてか削除されてしまっているのもテンポの悪さを感じさせます。
ちなみに、あくまで戦闘アニメーションがもっさりしているのであって、入力してからの反応が遅いといったことはありません。
ストレスを感じるほどではないんですが、戦闘することは多いですから、地味に気になるといったところです。
■公認試験までのキャラクター性の薄さ
フィリスのアトリエは大きく、公認試験までの旅(制限時間あり)と、その後の自由な旅(制限時間なし)の二つに分かれています。これは発売前から明言されていたことで、分かれていること自体は問題ありません。
今作のイベントのうち、多くは自由な旅になってから発生します。
公認試験までの旅では……あまりにも、イベントが少なく、薄いのです。
公認試験を終えるまでフィリスには余裕がありませんし、将来のことなんてまだ考えてない時期ですから、イベント発生に制限があるのは仕方ありません。しかし、だからこそ、仲間との出会いイベントのような大切なイベントはしっかりしたモノでなければ。
今作のイベントは、自由度が増していつ発生するか分からなくなった弊害か、ぼんやりとしたものが多いです。
特に仲間との出会いイベントはそれが顕著で、フィリスのどこに魅力を感じたのか、なぜ旅に同行しようと思ったのか……そういった点があまり見えてきません。
一番酷いのでは、道に迷ったから街までついて行くといったきり、なぜかずっとアトリエに住み着いてるキャラまでいます。街についたんだから出てけよ。そう思ったのは僕だけではないはず。いくらなんでも仲間になる理由になってないのでは。
キャラクターについて深く掘り下げられ始めるのは、公認試験が終わってからです。
言ってしまえば、公認試験までの旅というのは長いチュートリアルみたいなもので、そう考えればイベントの少なさ・薄さにも納得できなくはありませんが……しかし、それにしては長い。公認試験までは、たっぷり寄り道すると20時間くらいかかりますから。
COMMENT
アトリエシリーズは前作(ソフィーのアトリエ)を含めた10作品ほどプレイ済みです。
プラチナトロフィー取得済みですが、高難易度のボス撃破などのやり込み要素はまだ残している状態でのレビューになっています。
今作はあまりにも極端に、素晴らしい部分と大きな問題が入り乱れているため、このような長文になってしまいました。
僕は、フィリスのアトリエは実に挑戦的だったし、魅力に溢れたゲームだったと感じています。
しかし、BADに書いたように、人によってはとても看過できない、致命的とすら言える問題点(主にバグ)を抱えていることも事実です。
発売当初に発生していたバグのうち、大きなものはアップデートによって修正済みのため、今からプレイする場合はそこまでエラーに怯えなくていいのかもしれません。今後の修正アップデートには大きな期待をしていますが、このレビューは、2016/11/13現在のバグ残っている状態での感想です。
また、GOOD/BADのどちらでも触れなかったグラフィックについてですが、難しいところで……ソフィーのアトリエから劣化している部分がある、という点ではBADなのですが、前作との比較なしで今作のグラフィックをみれば、これは十分GOODだと思います。そのため、判断しきれずに得点も中央値にしました。
ソフィー&プラフタ組のグラフィックは、前作のほうが魅力的だと思います。しかし、今作で登場したキルシェやメアは、前作まで含めても極めて可愛らしいと感じました。どうしてでしょう。僕がロリコンだからでしょうか。
また、BGMについては、これも難しいところで……正直、いつも良曲揃いのアトリエにしてはぱっとしないかな、と思いました。では駄目なのかというと、そんなことはなく、JRPG全体の中でも非常に高いレベルにあると思います。傑出して素晴らしいと褒めたたえるほどではない、という程度で、本来ならばGOODに入れてもいいくらいなのですが、僕の好みからは少し外れていたので、4点になっています。
以上です。
暇つぶしか、なにかの助けになれば幸いです。