このソフトのレビューを書く

【PS3】Demon’s Souls(デモンズソウル)

発売元 ソニー・コンピュータエンタテインメントオフィシャルサイト
発売日 2009-02-05
価格 6980円(税込)
レーティング 【D】17才以上対象 (CERO について)
ショップ/リンク Amazon(廉価版)
タギングトップ3
タイトル概要 ■ ジャンル:アクションRPG
■ プレイ人数:オフラインモード:1人 / オンラインモード:最大4人

【廉価版】
■ 発売日:2010/02/25
■ 価格:3,800円



オリジナリティー グラフィックス サウンド 熱中度 満足感 快適さ (難易度)
5pt 5pt 4pt 5pt 5pt 4pt 4pt
総合点
95pt

GOOD!

★高い達成感

このゲーム、敵やトラップが凶悪なんだけど、単にそれだけじゃない。
まず、死ぬとステージの最初からリトライなので、プレイヤーの行動が自然と大局的になり、アクションの腕だけじゃなく普段ゲームでは使わないような思考力も引き出される。
また、一度も死ぬことなく数々の障害を突破しなければいけないので、巧く倒せたり倒せなかったりという曖昧な腕ではなく、確かな腕が要求される。
その上、「死ぬとソウル(お金みたいなもの)を全て失う」というシステムによる恐怖と、リアルでダークなステージの恐怖によって、難易度とは違う所で心理的なハードルが上がってる。

そんなステージを見事攻略した際の達成感は、他のゲームでは有り得ないレベルに達してる。相当気持ち良い。

そして「ゲーム巧い人しか楽しめない」という事もない。一般的なアクションの腕があれば問題なく楽しめる。
何故かと言うと、「覚えゲー」的な面が強いからだ。
このゲームは、どれだけ操作が巧いかよりも、敵の配置や行動パターン等に対する知識の有無が生死を分ける局面が多い。
そのため、操作が巧くても初見のステージで慎重さを欠けば瞬殺されるし、特別アクションが得意じゃなくてもパターンを学習すれば鮮やかに立ち回れる。
つまり、ゲーム巧い人とそうでない人の両方が緊張感を維持出来て、両方が上達感に酔いつつ最終的に強敵を倒せる、なかなか懐の深いバランスになってる。

また、改善点が解り易いため死んでもモチベーションが途切れにくいのも、覚えゲー故だ。
腕次第では初挑戦でもクリア可能なバランスであるのも良い。
否定的なニュアンスで使われることもある「覚えゲー」だが、このゲームの場合は高度な計算に因るものだろう。

★引きの強いゲーム展開

各エリアは雰囲気も登場モンスターもそれぞれ異なり、立体的な作りのステージは先に進む度に景色や作りが変化し、その至る所に演出やアイテムが散らばっている。

ステージに隠された装備品の中には、ユニークな特性のものが多い。また、ゲーム全体に程良い自由度があるため、一本道的なゲームのように入手武器の強さが直線的な段階を踏む事もない。
なので、次に発見する武器がどのようなものか読めず、期待値が高い。

ステージのトリを飾る各ボスとのバトルシーンには特に力が入っていて、実に多彩でドラマチック。一つとして被ったり地味だったりするボスはいないと言って良く、特に「塔のラトリア」の最終ボスは、今までこんなに興奮するボス戦は見たことがないというレベル。
「次のボスはどんな相手なのか」という興味が尽きない。

全体的にゲームの底が読めない作りにされていて、最後まで新鮮さや好奇心、期待感といったものを強く感じつつプレイ出来る。
良ゲーは大抵ここを抑えてるが、それらと比べても高レベル。

★独特なオンライン要素

最大3人でのco-opは、ホストを他PCが守るというチームワークが自然に生まれて面白い。ソロでクリア出来ない人への救済処置としても機能してる。
他PCの世界に侵入しソウルを強奪出来るPK要素は、侵入する方にもされる方にもリスクとリターンがあるので、かなりドキドキな戦いになる。しっかり駆け引きがあるのも良い。激闘の末に見事相手を打ち負かした時の快感は、病みつきになるレベル。
また、「他PCの死に様をリプレイする”血痕”」「同じステージにいる他PCが幻影として見える”徘徊幻影”」「定型文から作成するメッセージ」「メッセージの評価システム」などのおかげで、ソロプレイ中も常に他人と影響を与え合っている感覚がある。

そしてこれらの要素が、ゲームの中にシームレスに溶け込んでる。

さらにこれだけオン要素が濃いのに、co-op前提のデザインだったり、チャットしたりと言う事がないので、オンゲーにありがちな煩わしさが少ない。
なにより、恐怖感や孤独感に支配された世界観が損なわれていないのが良い。だからこそ、オン要素が一層引き立つんだろう。
腐れ谷の底等で一人心が折れそうな時には、徘徊幻影を見ただけで闘志が沸いてくる上、なぜかその人と戦友気分になる。

やはりソーシャルな要素が強い中でのゲームプレイは、俄然モチベーションが沸く。このゲームの高い難易度設定も、オンライン要素があるからこそ問題なく成立しているんだろう。
プレイする際は、ソロで己を試すにしろ他PCと力を合わせるにしろ、ネットに繋ぐことを勧める。

★良好なプレイアビリティ

操作のレスポンスが良く理不尽な攻撃もないので、死んでも自分の不注意だと納得出来、やる気が削がれない。

ステージは意外にシンプルな作りになっていて、しかも一度特定の地点まで進んでギミックを作動させれば、次からはショートカット出来る場合が多い。また、一部の強敵は倒せばリスポーンしないし、取得したアイテムは死んでもロストしない。
つまり、途中で死んでスタート地点に戻っても、「前進している」という実感が沸くようになっている。
ちなみに死亡時のソウルのロストも、再び死なない限りは取り戻せるチャンスがある。

また、緊張感あるゲームとは言え、終始そんな状況に置かれる事はない。「楔の神殿」と言う、ソウルを使ってパラメータを上げたり武器や魔法を取得出来る安全な場所があって、ここを拠点に各ステージへアクセスする事になる。
ここには癒し系のNPCが多く、そういった意味でも心が安らぐ。

さらに、ボス撃破の度にご褒美が挟まれるので、能動的にプレイ出来るサイクルが生まれている。
まだ見ぬステージへの好奇心と相まって、止め時を見失う。

★豊富なロールプレイ要素

プレイヤーを現実に引き戻すような、物語世界と乖離感のあるシステムが、このゲームにはあまり無い。
なのでプレイ中は常にゲーム世界や操作キャラへの高い没入感がある。

特に効果的に機能してるのは、前述の高難易度と重いペナルティから生まれる緊張感あるゲームプレイが、ダークファンタジーの物語設定と絶妙に噛み合ってる点。
微かな音にも耳を傾けながら、暗がりの中を盾を構えつつ慎重に進み、友好的な人間との出会いには安心し、ボスと闘いでは死の恐怖と威圧感に足がすくむ。一連のプレイを通して生まれるこういった状況や心境は、おそらく劇中の主人公のそれとかなり近い位置にある。
加えて、PS3らしい表現力が、そういった場面を構成する要素全体にリアリティをもたらしてる。

そのため、「ダークファンタジーの物語の主人公」というヒーロー像を、想像力で補わずともゲーム的な行為の中で自然にロールプレイ出来るようになっていて、場面によってはなかなかの陶酔感を味わえる。

キャラメイクや「生まれ」の選択、伸ばすパラメータや装備や魔法によってガラリと変わる立ち回り、数々の個性的な衣装など、ロールプレイの楽しさを堪能出来る要素は他にも見られる。
戦士や魔法使いは勿論、重装備に身を固め防御主体で戦う騎士、気配を消し後ろから急所を突く暗殺者、魔力の宿った剣と魔法を駆使する魔法剣士、鋼の肉体と信仰の技をもつ僧兵などなど、数々のファンタジーらしいヒーロー像をゲーム的な行為の中でロールプレイ出来る。

さらに三人称視点なので、ヒロイックな格好でそれらしいアクションを行う自分を視認出来、一層酔える。

★迫力ある景観

ステージには地に足の着いていない浮ついた造形物がなく、うそ臭さの無い重厚なファンタジー世界が構築されている。
と言っても教科書通りの面白味の無いものになっている訳ではなく、独特な雰囲気を表現出来てる。
楔の神殿の神秘的さとスケール感、腐れ谷の見事な腐れっぷり、塔のラトリアの荘厳さと邪悪さのミスマッチが生む不気味さなどなど、ステージの景色がゲームプレイをしっかり盛り上げる。

見た目だけじゃなく、作りも良い。
エリアはシームレスで結構広く、見えない壁で通路が途切れていたりする事がない上、全方位遠くまで描かれている。
なのでステージには絵としてではなく空間としてのリアリティがあり、ゲーム世界の実在感はさらに増してる。

また、それらを人間の視点に近い自由なビハインドカメラで捉える事になるので、実在感あるファンタジー世界に入り込んだかのような臨場感がある。
この低めのカメラは、ボスや建造物の巨大さを直感的に伝えることにも成功していて、ゲームにさらなる迫力が加わっている。

★味わい深い物語性

ムービーで物語を語ることはほとんど無い。
しかし、NPC達の台詞の端やアイテムの解説文、ステージの構成などの中に、起伏の設けられたドラマがしっかり存在している。しかも日本のゲームらしい繊細な情緒がある。

また、物語にゲームならではの臨場感がある。
映画等の物語は「見た目」や「心理描写」等のリアリティを高める事でより真に迫ろうとするが、このゲームには「リアルタイム性」「人間の視点」と言った、ゲームならではのリアリティもある。なので物語は映画等とは別の方向で真に迫り、独特な物語体験を提供してくれる。
凝ったストーリーラインがある訳ではないし、映画的な物語にあるダイナミックさもないが、しっかりプレイヤーの心に迫るものになってる。

さらに、物語の全容はあえて伏せつつ、そこら中に物語の断片を散りばめる事で、プレイヤーの想像力を巧く刺激している。
ゲーム内で表現された部分を越えた所にもゲーム世界の息遣いが感じられ、ゲーム世界の実在感や深みはさらに増す。

BAD/REQUEST

ゲームの掴みでもある最初のステージでは、パラメータ強化もco-opも出来ないため、下手したらここが一番キツいかもしれない。不安な人は「貴族」でスタートするのがお勧め。

また、最大の魅力でもあるオンライン要素だが、残念なことに勝率稼ぎ目的の悪質なPCもいるらしい。
対処法が無いわけではないけど。

あと、アクションがやや地味め。
不出来と言う話ではないし、レスポンスやSEが良くて動かしていて気持ち良いんだけど、PVだけで判断されると辛い。

他にも、ロックオンの仕様には疑問が残るし、オストラヴァもいつの間にか撲殺される。

COMMENT

自分から見て高いハードルを越えたときの強烈な達成感、底が解らないからこその新鮮さや好奇心、ソーシャルな要因。
ゲームが流行った頃や子供の頃、つまり、アホみたいにゲームに熱中した頃にあった要素の大部分がこのゲームにはある。
実際自分はこのゲーム、小学生の時と同じように寝食を忘れて熱中したんだけど、おそらく制作者の意図の内なんだろう。
また、チェックポイント無しの高難易度ゲームとは言え、今の時代にもフィットするように色々と趣向が凝らされている。

没入感、臨場感もレベルが高い。
操作を通じて画面内に表現された世界やキャラに深く没入出来るという要素は、映画などのメディアは勿論、競技としてのゲームにも真似出来ない、ビデオゲーム最大の強みだ。
このゲームはその強みを様々な部分で活かしている。
また、フィクションで人の心に迫ろうとする時リアリティはどうしても必要になるけど、それは双方向であるゲームも例外じゃない。
リアリティが高いため今までに無い真に迫った体験を味わえるゲームが、ハードの表現力の向上に比例して増えているけど、このゲームもその系譜と言って良い。
見た目のリアリティを追求する事で映画的な迫力は増す一方、実質のリアリティには手を加えないためゲーム体験としては従来的、そんな安心感のある進化を辿るゲームもあるが、そういうものとはまた違う。

雰囲気の好みやプレイスタイルで人を選ぶゲームではあるけど、コアで次世代機らしい日本産RPGを待ち望んでいたゲーマーにとっては、 5年に一本レベルの傑作となるだろう。

   
プレイ時間:30時間以上60時間未満(クリア済)
白さん  [2010-02-01 掲載]

このレビューはオススメ? はい  いいえ


Demon’s Souls(デモンズソウル)のTOPページへ戻る

総合ポイント
89
(難易度)
3.90
レビュー数
164
スコアチャート Demon’s Souls(デモンズソウル)レビューチャート

Demon's Souls(デモンズソウル) 購入する
0%
0-9
0%
10-19
1.8%
20-29
1.2%
30-39
6.7%
40-49
4.3%
50-59
5.5%
60-69
12.8%
70-79
25%
80-89
42.7%
90-100
【60点以上】
86%
【標準偏差】
17.44