【PS3】白騎士物語 −光と闇の覚醒−
発売元 | ソニー・コンピュータエンタテインメント (オフィシャルサイト) |
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発売日 | 2010-07-08 |
価格 | 6980円(税込) |
レーティング | 【B】12才以上対象 (CERO について) |
ショップ/リンク | Amazon(廉価版) |
タギングトップ3 | |
タイトル概要 |
■ ジャンル:RPG ■ プレイ人数:オフライン:1人/オンライン:1〜6人 【廉価版】 ■ 発売日:2011/07/14 ■ 価格:2,980円 |
GOOD!
■グラフィック
モデリングやテクスチャは、平均的です。
メインキャラに関しては、男性キャラは渋く格好良く、女性キャラは美しく可愛くと、つぼを押さえていると思います。
自分で作るアバターキャラも、ストレートなキャラから凄いおばちゃんや凄いおじいさんまで幅広く、どんな顔を作ってもそれなりに見えます。
自分や知り合いにそっくりな顔も頑張れば作れるので、文字通り、ゲームの世界に飛び込むことができます。
まあ、そのアバターのストーリー中の扱いは、酷いの一言なのですが……
■サウンド
音楽や効果音は、耳に残らずゲームを邪魔せず、とくにいいとも悪いとも思いませんでした。
悪いと思わなかったので、GOODに記述します。
■熱中度
オフラインの熱中度は、古の鼓動パートの時は普通でした。
オンラインの熱中度は高いです。
クエストとマイタウンをひたすら行ったり来たりして、気付けば2〜3時間ということも多いです。
ですが、ここは「人と人との交流は面白い」というゲーム以前の要素が関係しているので、差っ引いて考えないといけないでしょう。
BAD/REQUEST
■オリジナリティ
ありません。
古の鼓動をプレイした時には、巨大な敵と騎士や、小さな人物が一緒に戦うというところがよかったですが、光と闇の覚醒はそこから何も変わっていません。
(もちろん、元ネタは「変身ヒーロー」ものなので、古の鼓動の時点でも低いオリジナリティではありますが)
それ以外は、自ら「王道」というだけあり、全ての要素が見事にどこかで見たことのあるものです。
目新しさは一切ありません。
■グラフィック
棒立ちで口しか動かない会話シーン、叫んでいるのに一定以上に開かない口、身体に張り付いてぐにゃぐにゃに動く甲冑と、「動き」が加わるとリッチに見えなくなります。
特に甲冑は、PS2のFFXIIでジャッジの鎧をみて「硬い部分は変形してない!」と感動していたこともあり、「PS3なのに……」とがっかりレベルが高かったです。
■サウンド
ジングル(ファンファーレ?)のクオリティだけが著しく低いです。
誰かが仲間になったり、クエストを完了したり、アイテムを入手したりする時に鳴りますが、全体的に冗長でふわっとして迫力がないです。
ゼルダの「パパパパーン」のように、切れのあるジングルが欲しいですね。
■熱中度
光と闇の覚醒パートでは、後述の戦闘システムのせいでゲームオーバーになることが多く、面倒になってオンラインに逃げることが多々ありました。
■満足感、快適さ、難易度
以下の不満点を踏まえて、採点します。
■ストーリー
「王道」といわれる物語は、本当に力のある作家じゃないと陳腐でありきたりのものになる、とはよく言われることですが、まさにその通りでした。
心の底から面白くありませんでした。
古の鼓動パートでは、お姫様の奪還チャンスを棒立ちで逃したり、ご都合主義的に敵キャラの登場と退場が繰り返されたり、サイラスは飲んだくれてばかりで、
「これをストーリー重視の日本市場でフルプライスで売って、続編が売れると思ったの?」と本気で思いました。
FFシリーズでよく「イベントシーン長いよ」と不満に感じていたこともあり、白騎士は「イベントはさくさくで戦闘多くていいね」と思った私ですが、
進むにつれて、「この部分、もっと語っておけばよかったのに」と思うことが積み重なっていきました。
シーザーとカーラの関係、レナードとシズナ姫とユウリの関係、ユウリとミウの関係、エルドアとみんなの関係、フォーリア勢とバランドール勢の関係などなど、
描写に厚みがないせいで、イベントが起こった時にも感情移入できず、一歩引いてみていることしかできません。
光と闇の覚醒パートでは、前作の場所を逆に回り、死んだ人たちとの交流して登場人物の成長を描きたかったのでしょうが、
そもそも成長する前の部分の描写が圧倒的に足りない(またはない)ので、何とも思えません。
感動のシーンでも、アバターキャラになったかのような置いてけぼり感しかありませんでした。
イベントシーンで「にやり」と怪しげな笑みを浮かべる人が多く、そしてその人たちは本当に怪しくて、
正体が判明しても「ああ、そうだよね、だって悪そうな笑いしてたもん」と思うことがしばしばでした。
海外ドラマでは、登場人物が善人とも悪人ともいえない表情をして、はらはらさせる手法がよくありますが、あのようにできないものでしょうか。
最後の最後まで、「この展開は予想外だった」ということがなく、逆にすごいと思いました。
また、前述の成長譚云々や、後述の装備破損も含めてですが、「ここは本当はこうしたかったんじゃないかな」
「予算と時間がなくてこうせざるをえなかったのかな」と思うような部分が多いです。
古の鼓動パートの冒頭にて、フォーリアの王様がバランドール王国内で殺害され、国際問題に発展するといわれていたことや、
光と闇の覚醒のPVでの、白騎士の目から光が消える部分は、その際たる箇所でした。
光と闇の覚醒パートではシズナ姫のモノローグが多く、エンディングも「ほら、終わらせましたよ」レベルで、
本来製作者が考えていた理想の形がどのようなものか、興味があります。
あと、エルドアは渋く格好いい賢者キャラ的なポジションなのですが、パーティメンバーを支える大黒柱としての役割や、
心に響く台詞などは一切なく、本当にただの「生き字引」レベルの出番と深みしかなくてがっかりでした。
■戦闘
古の鼓動パートでは、ほどほどに寄り道してほどほどにクエストをこなしていれば、ほどほどの苦労でクリアすることができました。
敵によって攻撃の種類を切り替えるのも、「飛んでるのは突き、硬いのは叩き、獣系は切り」と大体抽象化できるので、
いちいち試さなくてもそれなりにプレイできます。
しかし光と闇の覚醒パートから敵がぐっと強くなることで、不満が噴出します。
一番大きなものは、AIのしょぼさです。
FFXIIはガンビットで、FFXIIIはライブラによる情報の蓄積と作戦で、AIの戦闘をプレイヤーに託すことができました。
ですがこちらは、大まかな戦闘方針を決定できる以外、何もできません。
同じ部位を集中攻撃しつつ、弱点属性を突けばあっさり勝てる敵なのに、その両方をしてくれないせいで、無駄に時間がかかります。
回復関係でも、ダメージを食らっているのが一人だけなのに全体回復を使ったり、大勢ダメージを食らっているのに単体回復を使ったり、
死んだら即ゲームオーバーのゲストを放置して死なせてしまったり、MPの枯渇しそうなキャラを無視して自分だけMPを回復したり、酷いものです。
また、強力な範囲攻撃を無防御で食らって、気絶することもしょっちゅうあります。
■ギルドランク
オフラインをクリアしたら、大抵の人は「さあ隠しダンジョンに行くぞ!」と思うでしょうが、なんと条件にギルドランクがあります。
私の場合、クリア時のギルドランクは13でしたが、隠しダンジョン解禁の21になるまで、2150万ポイントを稼ぐ必要がありました。
とあるクエストをマラソンすると、一時間で100万ポイント稼げるそうですが、冗談ではありません。
ジオラマ作成やクエスト参加など、オンラインに関係するところをギルドランクで縛るのはいいでしょう。
ですが、隠しダンジョンは縛らなくてもいいのでは。
せめて、第一層だけでも入れるようにして、凄まじい敵に蹂躙されて追い出されるようにでもしてくれた方が、同じ縛りでも余程やる気がでます。
また、やっとアバターが変身できるようになったものの、ストーリーではほとんど使う機会がなく、クエストに期待と思っていたら、
そちらもギルドランク16で初めて使えるようになるとか(因みにそこまでは400万ポイントほど必要らしいです)。
大々的に「アバターも騎士に!」と宣伝したのに、実際変身できるようになるのは最後も最後、更にそれを思う存分体験するのに、なぜマラソンが必須?
COMMENT
■装備破損
(GOODともBADともいいにくいので、COMMENTに書きます)
古の鼓動の途中からセーブポイントで修理できるようになったため、武器が破損することがなくなりました。
剣は標準的な性能で壊れにくい、斧はクリティカルが出やすいけど壊れやすい、といったわけがあります。
街でしか修理できなかったころは、ボスだけ斧に切り替えるとか、壊れそうな武器を使い続けるかとか考える余地がありましたが、
今では、セーブポイントに到達したタイミングで修理をしていれば、斧でもまず壊れません。
修理にかかる料金も多くなく、セーブポイントに触れた際に一手順増えてしまっただけで、ゲームシステムとして機能していません。
■難易度
難しい難しくないかでいえば、AIのせいで難しいです。
また、オンラインを十分に楽しむために長時間のマラソンが必須になることもあり、その点の難易度も高いといえるでしょう。
■総評
凄まじく悪し様に書きましたが、不満の大部分はオフライン関係なので、オンラインはまだまだプレイ中です。
一緒にプレイする人がいて、同じクエストを何度も繰り返し、何時間でも遊べるのであれば、いずれこのゲームの楽しさに触れることができるかもしれません。
しかし、もし買うのであれば、そこまで達するには極めて狭い門を通らなければならない、ということは念頭においておいたほうがいいかと思います。
こういういいかたは賛否両論あるかと思いますが……。
個人的には、毎回酷評されるFFシリーズが、いかに完成度の高いゲームかを実感した二作でした。