PlayStation mk2 :: PS4/PS3/PS2評価レビューサイト

GOOD!

○オリジナリティ　

明らかにＷＩＺシリーズの伝統を引き継いでおりオリジナリティに関しては特筆すべき点はなさそうです。ただ、WIZシリーズをプレイしたことのない人は、見慣れない点が多いと感じるかもしれません。

○グラフィックス

「今時のゲーム」の水準には達していないかも
しれない。でも、抑え目の色調の一枚絵で描かれた世界は、いかにも中世風ファンタジーらしいですし、非常に見やすいです。
それからモンスターデザインは、非常にセンスがいいと思います。アイテム図鑑に掲載される武器・防具やアイテムのデザインも秀逸です。
『エルミナージュ』にはムービーもないけれど、私はムービーの有無がゲームの良し悪しを左右するとは考えていません。以上の点を考慮し、グラフィックスは４点とします。

○サウンド　作品の世界観並びに各場面と見事にマッチした曲が、揃っています。（例えば、探険気分を掻き立てる洞窟の曲、気分を聞いているだけで一息つける宿屋の曲、厳かな城の曲、哀愁漂う夕暮れの廃墟の曲など）。旋律も覚えやすく耳に残りやすいです。もしサントラが出たら、買いたいです。

○思わず５をつけたくなる熱中度。『エルミナージュ』をプレイしていると、時間の経過を忘れてしまいます。
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・キャラ育成面の自由度が極めて高いこと。訓練場でキャラを作成するとき、名前、性別、種族、性格、顔グラを選んでいるだけでも、わくわくします。一定の条件を満たすと転職することもできます。こうしたキャラ育成システムにより、
プレイヤーがそれぞれの育成計画を練る楽しみが生まれます。

・錬金で武器・防具を強化できること。錬金術師と錬金用素材を活用して武器・防具に回復効果や特殊効果を付加すると、プレイがぐっと楽になります。錬金を活用する・しないで、難易度はかなり変わってくると思います。

・盗賊が「盗む」のスキルを習得すると、熱中度はさらに上がります。

・この作品にはストーリーらしいストーリーはありません。プレイヤーが文字通り冒険者になりきって、未知の世界を探検します。ストーリーやパーティメンバーの個性、並びにパーティメンバー同士の会話は、ゲームから与えてもらうのではなく、プレイヤーが自由に想像して頭の中で作り出すことができるのです。

○難易度（難易度については美点と欠点が入り混じっていると思います）。
　　　↓
・ダンジョンの奥、または下の階層に行くと、途端に敵が強くなります。レベルが低いうちに、うかつにダンジョンに深入りすると、たちまち全滅してリセットの世話になる羽目に…。この意味で、『エルミナージュ』は慎重さを要求するゲームです。

・プレイヤーは最初のイベントをクリアした後、いきなり作中の世界に放り出されます。全体的にプレイヤーを「突き放す」タイプで、「あっちへ行って○○をしなさい」「こっちへ行って××をしなさい」と、手取り足取り教えてはくれません。故に、次にどんな行動を取るべきか、迷う人もいるでしょう。でも、この点は『エルミナージュ』の醍醐味の一つでもあります。

・この作品で高性能の武器や防具を入手する方法は、基本的に「戦闘後に出現する宝箱を開けること」、もしくは「盗賊のスキルを活用して敵から奪うこと」です。アイテム収集に関しては、運に左右される部分が多いです。レアアイテムを集め
ようと思ったら、粘り強く戦闘を繰り返す必要があります。

○快適さ

　戦闘シーンではモンスターがカクカク動かないし、無駄に派手で時間のかかるエフェクトもないので、戦闘は非常にテンポがいいです。目も疲れないです。
　ダンジョン探索時に移動速度が調節できることと、どこでもセーブ可能なことは、非常にありがたいです。余分なアクション要素がないため、反射神経の鈍い私でも苦痛を感じません。BADの項に記すような欠点がなければ、快適さをもっと高く評価できたかもしれません。

○満足度

幾つかの欠点は目につきますが、期待を大きく上回る作品で買って損したとは露ほども思いません。欠点を補って余りある魅力も沢山あります。
よって５をつけます。（詳しくはCOMMENTで）。

BAD/REQUEST

・ロードが長過ぎること。この作品では、ダンジョン探索中にリセットしたくなる（というか強いられる）局面が驚くほど多いせいか、尚更ロードの長さが気になってしまいます。

・WIZシリーズの特徴と言えば特徴ですが、戦闘不能のキャラの蘇生に失敗すると、キャラがロスト（消滅）してしまうことがあります。（お気に入りのキャラがロストした場合は、リセット必須かも…。）

・文字がつぶれたようになっていて、少々読みにくいこと。

・アイテムのソートができないこと。

・買い物やアイテムの交換、及び武器や防具の性能確認の際、不便を感じることがあります。

・イベントをクリアしたときの報酬が、少ない気がします。（人によっては、特に気にならないかもしれませんが）。

・次のレベルまでに必要な経験値を、ステータス画面上でも確認できるようにしてほしかったです。

COMMENT

○『エルミナージュ』は、DQやFFとは明らかに趣が違い、癖の強い部分も多いです。加えて、（グラフィックを含め）あらゆる点で「今風のRPG」とも一線を画していて、至ってシンプルな作品に仕上がっています。
「リアルなグラフィックや凄いムービー」があるわけでもない。およそフルボイスではない。（パーティメンバーが敵にやられた時、「ウォォ」という声を上げるくらいです）。「壮大なストーリー」や「ドラマチックな演出」があるわけでもない。プレイヤーはダンジョンと町を行き来しつつ、キャラを育成したり様々なアイテムを収集したりするだけ。
それでも、私は『エルミナージュ』の世界に魅せられました。何故なら『エルミナージュ』がRPGの本質をよく弁えており、「作業感」や「（ゲームを）やらされてる感」と無縁だからです。（ちなみに、私の頭の中ではRPGの本質とは、「何になろう？」「どこに行こう？」「何をしよう？」と常に頭を悩ませ、様々な局面で各プレイヤーが自由に工夫を凝らせることです）。私の期待に応えるだけではなく、ゲームの面白さを改めて教えてくれた…そんな『エルミナージュ』との出会いは、私のゲーム人生の貴重な体験となりました。ですから、満足度５をつけずにはいられません。

○「隠れた名作」と呼びたい『エルミナージュ』ですが、癖が強いためやはり「万人向け」とは言い難いです。各プレイヤーがRPGに何を求めるかによって、向き・不向きが分かれると思います。

『エルミナージュ』に不向きだと思われるのは…
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・ロードの長さに耐えられない人。
・高画質のグラフィック＆ムービーや派手なエフェクトを見たい人。
・一本道型RPGを好み、尚且つストーリーを追って感動し涙を流したい人。
・フルボイスを求める人。
・今までにない、斬新なシステムを期待する人。
・作品の地味な雰囲気に馴染めない人。
・プレイヤーを「突き放した」ような感じに馴染めない人。
・短時間でエンディングに辿りつけるゲームをプレイしたい人。

逆に、こんなタイプの人には是非プレイしてほしいです。
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・グラフィックを重視しない人。
・「RPGといえば自由度」と思う人。
・「ゲーム中のキャラが声付きで喋ったら、うっとうしい」と思う人。
・純粋な中世ヨーロッパ風RPGが好きな人。
・じっくりと腰を据えてプレイするRPGに抵抗を感じない人。
・今時の映画風のRPGに違和感を覚える人。
・ゲームの単純な面白さに特化したRPGを求める人。