PlayStation mk2 :: PS4/PS3/PS2評価レビューサイト

GOOD!

・オリジナリティー
百年戦争を舞台にしたゲームであること。ゲームでは案外少ないように
思います。自分は他にPSPのSRPGを知ってるくらいです。
また、システム面でも、部隊を率い戦うことを主眼においた、
無双シリーズに類似しながらも別の方向性を目指した工夫が見て取れ、
好印象です。

・サウンド
無双シリーズでは中華や和風の音色は味付け程度でしたが、
本作では西洋オーケストラがメインに据えられています。
ゲームの雰囲気にも合っていていい感じです。
何度も繰り返し聞かされているとさすがに飽きはきますが、曲の出来自体は
よいものが多いです。

・満足感
ひたすら似たような戦闘の繰り返しとなる本作ですが、
かなり多くのイベントが用意されており、その点ではボリュームが
あります。60時間弱かけてエンディングを観ましたが、イベントは
まだコンプしていません。

BAD/REQUEST

・複雑さ
操作可能な兵科が多いのはいいのですが、その数に比例して多い相性関係を
覚えるのがたいへん面倒です。相性の悪い兵種がいたので、事前に雇用しておいた
配下部隊を召喚したら、その部隊も相性が悪い、ということが多かったです。
これも覚えたら全然気にならなくなるのですが、とっつきが悪い。もう少し兵種を
絞ってもよかったのでは。
そして覚えた後も、数が多いゆえに戦場で出現するランダムな兵科から、
目当ての部隊を探すのは困難極まります。事前に3部隊を雇用できますが、
それで対処できない時は辛い。後半になってくれば相性を覚え、雇用できる兵科も
強化され、金銭面でも余裕が出てくるので、仲間を求めて戦場をウロウロすることは
少なくなります。これもまた前半に厳しい仕様といえるでしょう。

・世界観
上の話と少し関連しますが、この作品で、モンゴル騎兵とかサムライ部隊とか、
必要だったんでしょうか？　慣れれば慣れるものですが、こういうのは
オマケにした方がよかったのでは……。また、主人公は部隊長ですが、
配下の部隊員が死んでもペナルティはありません。生き残った部隊を
成長させる要素も無く（兵科の成長はあるが、部隊が全滅しようと成長
ポイントは残る）、次の戦闘では部隊を率いていない状態になるので、
部隊は使い捨てです。愛着も湧きません。傭兵どうしの縁や友情を
描いてもいる本作ですから、この辺も何か配慮があれば。

・味方の足が遅い
本作は無双シリーズと違い、味方と共闘しなければ苦戦は必至です。
なので、味方の進軍に合わせてこちらも進んでいくのが肝要なのですが、
その味方の足が遅い。プレイヤーの速度の半分程度もないんじゃないかと
思います。あちらの拠点に侵攻したいが、味方が別の拠点を目指してる
からそっちを先に……というのはむしろやってて面白いのですが、
だらだら進んでくる味方を待ってるのは苦痛でしかありません。
結局、とりあえず一部隊で突っ込んで、苦手な兵科には事前に雇用して置いた
部隊で対処、という、このゲームのコンセプトからは多分離れた戦法が
安定してしまいます。

・拠点制圧の仕様
拠点に突入しても、守備部隊を一定数撃破するか、味方が拠点内に進撃
してくるまで拠点隊長が出ません。この守備部隊が、一定数を満たさない
うちに出現しなくなることが多々あり、ストレスです。三十人からの
自部隊が拠点にいるのに出てこない拠点隊長とはなんなのか。

・単調さ
イベントが多いのはいいのですが、肝心の戦闘はやや単調です。
シナリオ戦闘はともかく、通常のランダム戦闘は、ただただ拠点を落としていく
だけの作業といっても過言ではないでしょう。それを楽しく感じている
うちはいいのですが、単調だと感じた途端にやる気が減少します。
兵科を育てるのも、けっきょくはひたすら敵を倒す作業ですし。
依頼されるミッションも、どこそこを守れ、誰それを探せ、等、
面白味がないわりに時間ばかり食うものが多いです。

・地図
戦況確認のため、ポーズ画面の地図を見る機会が多いのですが、
ポーズ→○ボタンというわずかな操作も何度も重なってくると
面倒に思います。通常画面上での広域図もあるのですが、大きさが
微妙で見づらく、使いづらいです。

COMMENT

続編が出ていないのが不思議なゲームです。
不満点はありますが、PS3黎明期に出たゲームとしては
意外なほどに長くじっくり遊べます。

馬が強いのは事実ですが（このゲームでたくさん出てくる歩兵系に対して非常に強い）、
それ以外の兵科も弓兵で敵の射程外からチクチク撃ったり、猛然と迫る騎兵を
パイク兵で迎撃したり、操作していて楽しく、特徴を出すために工夫されていると
感じました。マンネリズムの権化のように語られるコーエー／ωフォースも
こんな作品を出せるんだということで、好感度アップです。
それだけに続編が無いのが惜しい。売れなかったんですかね。

ストーリーについては主観的な面もあるということで、Good・Badや点数には
加味していません。ただ、全体的に、王道的で意外性のない話が多いです。
エドワード黒太子は陰謀なんて知らないようなイケメンですし、
ジャンヌ・ダルクは心優しく戦の現実に苦しむ、どっかで見たような少女騎士です。
テンプレート的で工夫がありません。
またデュ・ゲクランやリッシュモン等、史実の将帥の話はほとんど知らないのですが、
多分にコーエー的・無双的味付けや拡大解釈がされていると思ってよいでしょう。
戦争や政治の汚い面はほとんど描写されないか、薄味なので、安心して見られると
いえばその通りです。ただし百年戦争について知ることができるのは、
人物名や地名くらいになってしまっています。
主人公が傭兵である面は、個別ストーリー作るのめんどかったからなんじゃないの、
と最初は思いましたが、そこまで空気な存在ではありませんでした。
イベントでの台詞は最後までありませんが（笑）

悪い面も多く書きましたし、とっつきが悪いのは事実ですが、終わってみればいい面の
方が印象に残った作品でした。
次回作では史実人物をメインに据えて、百年戦争の展開を追っていくの面白いと思います。
……続編が出てないのは練り込んで大作に仕上げているからだと思っておきます。