PlayStation mk2 :: 戦場のヴァルキュリアレビュー

戦場のヴァルキュリアレビュー

発売元	セガ（オフィシャルサイト）
発売日	2008/04/24
価格	7,980（税込）
レーティング	【Ｂ】12才以上対象(CERO について)
ショップ/リンク	Amazon(廉価版) ／オリジナル・サウンドトラック
タギングトップ3
タイトル概要	■ ジャンル：アクティブ・シミュレーションRPG ■ プレイ人数：1人【廉価版】 ■ 発売日：2009/03/05 └ 価格：3,990円 ■ 発売日：2011/06/30 └ 価格：2,940円

オリジナリティー	グラフィックス	サウンド	熱中度	満足感	快適さ	(難易度)
4pt	4pt	3pt	4pt	2pt	2pt	2pt

総合点
59pt

GOOD!

●オリジナリティー（４点）および熱中度（４点）について
とにかく第一に、戦闘システムが非常に面白い。
いわゆるリアルな戦争の再現を追及した類のものではなく、
このゲーム独自の決まり事を多数盛り込んだ
１ゲームで１ジャンルを構成するタイプの作品です。
「似たゲームは？」と聞かれても、「思い付きません」と答える他ありません。

単に本編をクリアするだけならとても簡単な内容ですが、
全敵殲滅や最短制圧などの詰め将棋の如き世界に足を踏み入れると、
果てしなく自由で奥深い、恐るべきゲームである事を思い知らされます。
それはさながら、細かく分かれた特色溢れるパーツ群を
「ああでもない、こうでもない」と組み合わせて遊ぶブロック玩具の様な感覚。
あなたの自由な発想に、このゲームは存分に答えてくれる事でしょう。

逆に言えば、特にこれといって発想せず
ゲームから与えられた課題を最低限こなすだけのプレイスタイルでは
その他のタイトルと大差ない平凡なもの、またはそれ以下かもしれません。
やはり、ゲームとは作り手と遊び手が一体になって初めて生み出されるもの。
その基本を思い出させてくれる一本です。

●グラフィックスについて（４点）
中々に意欲的な仕上がり。世界観の表現に一役買っています。
これなら５点でも良いのではないか、というレベルの出来映えですが、
細かく見ると少々荒かったり開き直ったりしている部分が見受けられます。
（戦闘マップの雑さや、人物モデルの使い回しの多さ、等。）
しかし、作品として重要な所ではキッチリ良い仕事をしていますので、
普通にプレイする上で不快に感じる機会は少ないでしょう。

BAD/REQUEST

●満足感（２点）について
最も問題となるのは、
やはりシナリオ（及びそれを構成するテキスト）の拙さ。
そして一部キャラクター描写の放棄とも取れる不足ぶりでしょう。

さすがに、一応話としては戦争ものという事で
敵・味方・第三者を問わず死者はバンバン出ますから、
単にそれをして「感動した」「泣いた」と受け取るユーザーならば
満足のいく内容となるのでしょうが…
残念ながら、私は「薄っぺらい」と感じました。
人の死をもって人の心を動かすというのは、これはもう誰でも出来る事ですので
ここまで死という演出に依存されると
逆に胸焼けしてしまう、というのが正直な感想です。

それどころか、とりあえずシナリオ上から消す為だけに
取って付けた様な死を付加されたキャラが複数存在するという有様。
何ともはや…大安売りにも程があります。

テキストについては個別には言及しませんが、
文章センス以前の問題として、単純な日本語の間違いが目立ちます。
とはいえ、ゲーム全体に悪影響を及ぼす程の酷さではありませんので
特にその辺りを気にする方で無ければ問題ないレベルではあります。

キャラクター描写については、
これは詳しく書くとネタバレになってしまうので難しい所ですが…
特にマクシミリアンやファルディオ等は非常に勿体無い、
そのキャラが持つ表現力を活かし切れていないという印象でした。
その他にも、主要キャラは軒並み中途半端な感が否めません。

ただ、逆に脇役がかなり奮闘しており
簡単なキャラ設定と顔・声が付いているだけのモブキャラかと思われた
義勇軍隊員たち（何しろ５０人以上も居ますので…）ですが、
戦闘中セリフの豊富さや声優陣の好演もあって、非常にいい味を出しています。
（特定の組み合わせで救護に当たると専用のセリフが用意されている、等）
彼らは脇役なのでシナリオには一切絡んできませんが、
この世界観の一翼を担うものとして十分な役割を果たしたと言えるでしょう。

●快適さ（２点）について
致命的というほど操作性が悪い訳ではありません。
が、大きく分けて二つの問題点があります。

ひとつ、非戦闘時のボタンレスポンスの悪さ。
どうでもいい所くらい連打させて下さい。
演出に拘るのも解りますが、それをユーザーに強制してはいけません。
シナリオ読破や部隊編成など、あらゆる場面で不快感を伴います。
戦闘時は快適なのが救いではありますが…

そしてもうひとつ、情報表示の不足および間違いの多さ。
まず不足の問題ですが、これは情報としてはちゃんと存在するのに
必要な場面で表示されない、という事です。
わざわざ別の画面に行って確かめる必要があるケースが多々あります。
前述のボタンレスポンスの悪さとも相まって、これはさながら拷問です。
次に間違いの問題ですが、これは単純に
表示される情報と内部処理が食い違っています。
恐らく、製作陣の些細なケアレスミスによるものでしょう。
気を付けてプレイしていれば、すぐに気付ける程度のものでもあります。
しかし、やはりこういった所での手抜かりは頂けません。

COMMENT

「ようやく、ＰＳ３にも傑作が来たか…」
多くの人がそう考えたのではないでしょうか。
それどころか、ＷｉｉやＸｂｏｘ３６０、そして二十数年来の遺物を含めて
今まで多数のゲームを渡り歩いて来ましたが、
ゲーム全体から見てもかなりの良作・意欲作なのは間違いありません。
このゲームに出会えた事を感謝します。

レビューでは悪い所についてえらく長く書きたてましたが、
まぁ、それも高く評価しているが故という事で…
これほどのゲームなら、まだまだ上を目指せるでしょうから。
今回５点を入れなかったのは、未来を感じたという事の表れでもあります。

以上です。ここまで長文にお付き合い頂き、ありがとうございました。