PlayStation mk2 :: PS4/PS3/PS2評価レビューサイト

GOOD!

まず何といっても映像の質の高さが目を引きます。建物や衣装に貼られているテクスチャの濃淡は絶妙で、安っぽさや違和感をさほど感じさせません。街を巡回する警備兵の衣装も騎士団ごとに細かく作り込まれており見ていて飽きません。さらに、操作キャラの挙動に不自然さが見られないことがすばらしい。ほとんど全ての動作が一つの流れの中に収められており、人とすれ違う際に肩をひねる動作や人をかき分ける動作、様々な場所を登る際の動作など細かい部分まで表現されています。あと、馬の操作性や動きが、実際に乗ったことはないけど「きっとこんなんだろう」と納得させるに十分なほど説得力があります。

音楽は特殊な状況を除いて前面に出てこないのですが、中東風の旋律は雰囲気に合っていると思います。また人の多い広場や市場などでは都市の喧噪が聞こえてきて、逆に裏路地などでは静かになったりと、まさに中世の街に入り込んだ気分に浸れます。

そんな街の中を歩き回り、走り回り、あちこち登ってはバンジージャンプし放題なのは素晴らしい。個人的要望としては、街の一つくらい減ってもいいから建物の内部構造まで作り込んで出入り可能にして欲しかったです。とはいうものの、中世の街並みを堪能出来るほどの圧倒的なクオリティと街の規模があり、一度のロードで自由に動き回れるので満足しています。

警備兵との戦闘の際の演出に好感が持てます。カウンター(コンボ)が決まった瞬間からカメラアングルが切り替わり、ダイナミックな動作で敵兵を葬りつつスムーズに通常視点に移行していく様は圧巻の一言。格闘ゲームのような入り組んだコマンド入力など必要なく簡単な操作で済むのは親切設計でしょうか。対象をロックした際の演出も、肩越し視点のようなアングルに移行し、操作キャラと対象のライン以外は少しぼかしが入った格好になって臨場感がわきます。

BAD/REQUEST

建物の屋上にある隠れ場所(？)は多すぎると思います。あれは景観を害していると感じました。映像の質が非常に高いだけにやたら数が多いとごちゃごちゃしていて見苦しく感じてしまいます。

大きな任務中のサブミッション的なものの種類が少なく、内容も警備兵暗殺以外は物足りないと感じます。盗聴はベンチに座って対象をロックするだけ。スリはロックした対象に接近してタイミング良くボタンを押しっぱなしで成功。尋問は対象を殴り倒せば終わり。バリエーションが少ないため途中からマンネリ化・作業化し、終盤はストーリーを追うために最低限をこなすのみとなってしまいました。

真後ろで他の警備兵と大立ち回りを演じているのに全く気付かない警備兵がいたり、高い場所から視認できているハズだけど仕様上無視してくれたり、逆に感度が敏感で警戒モード突入だったりと警備兵の対応がちぐはぐなのは少々興ざめです。

物乞いや精神薄弱者がもの凄くうざったい。彼らが反応するのはプレーヤーに対してのみ。任務遂行の障害になるものが「地形的要素」や「警備兵の存在」「他者の目から見た不審度」だけでは不足かと思います。ですので障害として人数が多いのは仕方がないとしても、しつこくまとわりつかれると流石にストレスが溜まります。物乞いの台詞や薄弱者のうめき声(？)は喧噪よりも音量が大きく且つ不快であり、彼らが行動する範囲内に進入すると否応なしに(屋上を移動していても)聞こえてくるのでそのへんもマイナス要素でしょうか(嫌なら消ｓ…)。またフレームレートが不安定な点も快適さを削いでいます。わたしの場合は終盤に突然画面がカクついてきて戦闘どころではありませんでした。それ以外でも遠景を見渡す際に不安定になるときがあります。

COMMENT

「ソーシャルステルス」がテーマの暗殺ということで、物足りない部分もありますがかなり再現度が高いと思います。暗殺＝スニーキングステルスではないので、メタルギアやスプリンターセル、ヒットマンなどが好きな方は肩すかしを食らうのではないでしょうか。あくまでも「群衆に紛れて対象を暗殺する」ので、人知れず密かに暗殺するために頭を廻らすことが好きな方、見つからないように行動する緊張感が好きな方には注意が必要かと思います。

ストーリーのラストシーンが唐突気味でした。大抵の作品はカットシーンからスタッフロールまで切れないのが主流でありそういったものに慣れていたので違和感を感じましたが、ちょっとしたギミックを交えて次回作を期待させる演出は上手いと思います。

ゲーム性としてみると不満な点は多々あるものの、グラフィックと臨場感で不足分を帳消しにして尚余りあるといったところです。次回作でゲーム性を高めたら相当いい作品になるのではないでしょうか。