PlayStation mk2 :: PS4/PS3/PS2評価レビューサイト

GOOD!

（ファンタシースター（以下「PS」）・PSオンライン・PSユニバースの各シリーズは一度もプレイしたことはありません）

まず何と言ってもSEGAを代表するRPG「PHANTASY STAR」シリーズ全４作+PSIIテキストアドベンチャーがたったの2500円で楽しめるというのが良いですね。そして裏技を使えばPSの外伝が二作品追加されていますので、このソフト一枚でなんとPS関連作品が７作品もプレイできるようになります。一作あたりの値段を考えてみると、本編４作品が外伝３作品よりも高いとして、本編１作あたり４００円、外伝１作あたり３００円で楽しめるという計算になります。Wiiで配信されるファミコンソフトより断然安い！お得感が凄すぎます。

さらに各作品のプレイをより快適にするために、本編全作品で「移動速度１・２・４倍速機能」「エンカウント率を下げ、獲得経験値・金額を増加させるEASY/VERY EASYモード」が搭載されています。
さらにPSIでは「メッセージが全部カタカナで読みづらい」との声に答えて「メッセージをカタカナ・ひらがな混じりに変換する機能」が追加され、４種類のマルチエンディングを搭載したPSIIIでは「セーブデータを発売当時の２個だけから４個に倍増」しました（PSIVでは発売当事に存在した深刻なバグが解消されていますし、逆にオプションでそのバグを再現することもできます）。
その他にもキーコンフィグや連射機能も充実、さらには「ギャラリー」で発売当時のイラスト集や説明書などが閲覧できたり、ゲーム内で使われるBGMや効果音を聴くこともできます（さりげないことですが、ゲーム開始直後からギャラリーが全部見られるのも良い部分です）。
またソフト本体に付属されている説明書の最後には、シリーズ各作品に登場する全テクニックなどの説明・PSIIとIVのモタビア星のマップが掲載されていて便利です。

PSは、SEGAがエニックスのドラゴンクエストに対抗して製作した本格RPGです。システム面に関してはドラゴンクエストやスクウェアのファイナルファンタジーシリーズと大差は無いですが、特筆すべきは世界観。それまでにあったRPGのほとんどが「剣と魔法」の世界を舞台にしたのに対し、PSはいわゆる「人間」が住む緑と水の星「パルマ」・砂漠の星「モタビア」・雪と氷に閉ざされた星「デゾリス」の３惑星が存在する「アルゴル太陽系」を舞台にした、「剣と魔法と科学」の壮大なスペースオペラRPGになっています。剣や銃を片手（両手）に人間や人工生命体やアンドロイド達が宇宙船に乗って各惑星を往復しつつ、（バイオ）モンスターやロボット達を統率する諸悪の根源に戦いを挑むという展開に心躍ります。

　そしてゲームを彩る音楽と映像の素晴らしさ。一度聴けば忘れられないような美しい音楽。そしてドラクエなどの代表的なRPGが8ビットのファミコンで発売される中、SEGA MARK IIIで発売されたPSIや16ビットのメガドライブで発売された以降のPSシリーズの映像の美しさはかなりのものです。１作目の3Dダンジョンの滑らかさ、そして「モンスターが動く」ことへの驚き。そしてシリーズを重ねるにつれ映像は進化し、PSIVでの華麗なイベントシーンでその極地を迎えます。

　これから本編全４作品をレビューしたいのはやまやまですが、PSII〜IVはWiiで配信されていますので、それら３作品はWii mk2でレビューし（別にいいですよね？）、以下ではWiiでは何故か配信されていない「PSI」」についてある程度詳しくレビューし、その他の作品については一言だけ触れることにします。

「PSI」
・オリジナリティー
……前述の通り、当時としても、現在の立場から見てもオリジナリティーは高いと言えるでしょう。ただし…（「悪い所」に後述）、5点、とまではいきません。4点
・グラフィックス
……3Dダンジョン、モンスターのグラフィックスはスーファミ初期のゲームを上回る綺麗さではないでしょうか。ただし…（「悪い所」に後述）、オリジナリティーと同じく5点、とまではいきません。4点。
・音楽
……ダンジョン音楽3種類・モタビア星・デゾリス星・ボス戦の音楽が素晴らしいです。それ以外の音楽も全て高レベルです。4点。
・熱中度
……「悪い所」に書きます。3点。
・満足感
……「悪い所」に書きます。3点。
・快適さ
……PSIは元から結構快適なゲームだったと思います。そこに「移動速度2倍機能」が使え、さらにPSIだけに搭載される「ブースト機能」を使えば、音楽・ダンジョン内の移動以外の全てが2倍ほどに加速することができます。またどこでもセーブができるので、ダンジョンから出られなくなって全滅、というパターンがある程度避けられます。4点。
・難易度
……3Dダンジョンがむちゃくちゃ難しいです。立体迷路の攻略法「壁に手を添えながら移動する」があまり通用しません。とはいえ、普通の2DダンジョンになったPSIIの方が「圧倒的に」難しいので、3点。

・総合点
……69点。良作。

「PSII デキストアドベンチャー」
……う〜ん、今まで色々とベタ褒めしましたが……。「ネイ」の冒険はネイの過去が分かって興味深いかな…？　残念ながら後は「悪い所」に書きます。

「PSII」
……1作目から1000年後の、科学が極度に発達したモタビア星が舞台。グラフィックスが綺麗で、音楽が大変素晴らしいです。

「PSIII」
……3世代に渡る壮大なRPGであり、ドラゴンクエストVより以前にRPGで初めて「結婚システム」を採用した（と思われる）作品です。それまでのシリーズとは打って変わって、中世ヨーロッパ的な世界観です。音楽「は」シリーズ最高だと思います。

「PSIV」
……2作目から2000年後を描く、文句無しのシリーズ最高傑作。仲間との掛け合いが楽しく、戦闘においてキャラクターの行動パターンを事前に決めておく「マクロ」コマンドが斬新かつかなり使いやすいです。

BAD/REQUEST

　オプションで色々と快適な設定にすることができるのですが、若干詰めが甘いです。
　キーコンフィグにおいて、例えばメガドライブで言うAボタンに「○ボタンと□ボタンを同時に対応」させることはできますが、どういうわけか「○ボタンと△ボタン」を同時に対応」させることはできません。また方向キーにいたっては、「十字キーと左スティックを同時に対応」させることがどういうわけかできません。
　ギャラリーでは当時の説明書も見ることができるのですが、説明書はどういうわけかギャラリーの後半にあり表示させるのに時間がかかる上、ギャラリーを終了させても直前に見ていたページが記録されないため、「説明書を見ながらゲームを楽しむ」というプレイがしづらいです（ちなみにギャラリー観賞中、左スティックで資料の移動、右スティックの上下で資料の拡大縮小ができますが、本体の説明書にはそのことが記載されていません）。

　PSIVにおいて、「キャンセルボタンを押しながら移動すると、障害物を自動的に回避することが無くなる」という結構重要なことが本体の説明書には書いていません。
　PSIVでは重大なバグは回避できるのですが、どういうわけかPSIIにおける二つの重大なバグが回避できません。一つはメニュー画面の並び替え画面で方向キーの上を押しながら決定ボタンを連打することで発生するバグ、もう一つはエンディングで必ず発生するバグです。なまじこのゲームでは「連射機能」が使えてしまうので、前者のバグには注意してください。

「PSI」
・オリジナリティー
……ええっと、これって「スター・ウォーズ」の完全なパクリですよね？　町の入り口にいる警備兵がどう見ても「ストームトルーパー」ですし、モタビア星の住人「モタビアン」に似た異星人がスター・ウォーズのエピソードIVに出てきましたし…。そもそもモタビア星が「タトゥイーン」で、デゾリス星が「ホス」…そのまんまじゃん！
・グラフィックス
……フィールド画面は…う〜ん。3Dダンジョンはどのダンジョンにおいてもグラフィックスが同じです。色は違いますが。ただ4点としたのは、3Dダンジョンの滑らかさやモンスターのアニメーションに感動したためです。
・音楽
……悪い所は特にないです。
・熱中度
……とにかくダンジョンが難しい。やる気が削がれます。そして町人が色々とヒントを言ってくれるのですが、どの星にあるのかも分からない未知の地名が出てくるばかりで、結局どこに行っていいのかがよく分かりません。そして使用用途がよく分からないアイテムも多いです。
・満足感
……「熱中度」の後半に書いた箇所が大きく響きました。
・快適さ
……乗り物の乗り降りが面倒です。さらに乗り物はアイテム扱いになっており、その他にも大量の「捨てられない」一般アイテムが手に入ってしまい、アイテム欄が非常に圧迫されてしまいます。また瞬間移動魔法が「最後に教会を訪れた町」にワープするものなので、長い洞窟を抜けた先にある町の教会に入ってしまったときには大変です。マジックの効果や消費MPがゲーム中では分からず、さらに蘇生マジックに至っては戦闘中に使えないときます。4点としたのはそれらを差し引いてブースト機能が快適だったからです。

「PSIIテキストアドベンチャー」
……ネイの冒険以外、プレイする必要はないです。ゲームとして面白くないし、ストーリーも良くないです。そもそもPSIIのゲーム性からして、PSIIに登場する各キャラクターの過去や性格はプレイヤーの想像に託されているものだと思います。開発者が押し付けたキャラクターの過去なんて、自分は認めません。

「PSII」
……プレイしなくてもいいです。残念ながら。他の仲間に感情移入がしにくいです。戦闘中に使用可能な装備品について把握していないと、クリアはほぼ不可能です。

「PSIII」
……プレイしないほうがいいです。真に遺憾ながら。結婚候補の女性への感情移入がほぼ不可能です。シュールレアリスム全開の敵や意味不明なストーリー展開についていける人でないと、プレイはほぼ不可能です。

「PSIV」
……他の作品に比べ、若干音楽が劣るかな？　あとは終盤のストーリー展開が、う〜ん、となる以外は特に悪い所は無いです。

「その他の2作品」
……面白くないどころか、「PSの歴史をぶち壊す作品」らしいのでプレイしていません。

　ちなみに全体の「快適さ」が3点なのは、移動速度を4倍にしようとPSII・IIIがあまりにも快適でないため、4点から1点引かせていただきました。

COMMENT

「良い所」のではあんなにPSシリーズについて大絶賛していたのに、よくよく考えたらPSIとIV以外は全く褒めていませんね。それでも「熱中度」と「満足感」をそれぞれ3点にしているのは、この1作でPS全作が楽しめることからきています。それに正直テキストアドベンチャーと隠し2作品についてははっきり言って「オマケ」ですし、PSIIは悪い所ではけなしていますけど、そこまで悪くはない作品ですしね。IIIは…うまいことリメイクしたらきっと良作になりますよ、た、たぶん…。
　う〜ん、あんまり言いたくはないけど、WiiでPSIVだけプレイするのが一番いいのかもしれないです。でもPSIVはPSIをプレイした方が数倍楽しめますし、WiiではPSIは配信されていないので、PSIをプレイしたい人はこのプレイステーション２のコンプリートコレクションを買えばいいと思います。IIIはともかく、IIは信じられない難易度なので精神力を鍛えるためにプレイしてもいいかと思われます。

　結局、PSシリーズは「良作」止まりの作品と言えるのかもしれませんね。Iが良作で、IIが微妙で、IIIが絶望で、IVが傑作。なのですが、IVでアルゴル太陽系の数千年に渡る物語に終わりを告げるのは速すぎたのではないかなと思います。あと1作品PSがやりたかった！　PSVがプレイしたかった！　そしてもしPSVが傑作だったなら！
　そう考えると、非常に惜しい作品です。確かにPSは面白いですが、仮にPSシリーズがメガドライブではなく当時日本で一番普及していたスーファミで遊べていたとしても、ドラゴンクエスト・ファイナルファンタジーの牙城を崩すことは不可能だったでしょう。この両者に唯一対抗できたのが傑作PSIVだったのですが、いかんせんこれ1作だけではねぇ…。

　というわけで、SEGAは「PSV」ならぬ、「PSオンライン」という超弩級の大傑作を製作するに至るのでした。ゲームキューブ版が現在ネット上で1万円を超えるほどです。やっぱりPSシリーズって、凄いんですね。